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EADVへの参加のためにアムステルダムです。
ここ最近は毎年EADVに参加していますが、新薬開発の勢いが増してきていることを感じます。
日本からもいくつか良い薬剤がでていますが、世界全体を見渡すと、せいぜい2-3%位の貢献度でしょうか?
EADVに日本からの参加者は、製薬会社に勤務している方がメインでアカデミアからの参加者はかなり限られています。
ここまで2日間フルで学会場にいますが、アカデミアの方には5-6名しかお会いしていません。
これって本当によくないことで、我々が、創薬開発、start up companyの設立、clinical trialのactivityを世界と協働してあげていかないと、世界から見放される、取り残されることに繋がります。
また、最近は学会がアカデミアと製薬会社のdiscussionの場としての重要な役割を果たしています。ところが日本の臨床の学会では、せいぜい製薬会社が自社の製品の紹介のようなスポンサードシンポジウムがある程度で、global企業の方が日本に来て、アジアの臨床の第一人者とdiscussionするような場には発展できてません。
かなりハードルは高いのですが、学会の成長の一つとして、この方向も真剣に考える時期が来ていると思います(実際、そういう話を本学会に参加している某F先生とも話をしたところです)。
アムステルダム空港に着いたらいきなりEADVに関連した化粧品や薬剤の宣伝がありました。
JEADVのboard meetingです。
IFもあがり、なかなか採択されなくなりました。国別のacceptされた論文数のランキングがありましたが、日本は20位くらいだったでしょうか。
中国などの他のアジア勢にも大きく後れを取ってました。
こういうブースが40位くらい学会場にあり、それ以外にもちかくのホテルなどは製薬会社の催しが複数開催されています。
ただ、アカデミアと製薬会社のこういう付き合いは、年に数回、こういう学会のときだけ。日本みたいに頻繁に製薬会社主催の勉強会などありません。大学の人が各地に頻繁に講演にいく、というのは海外のスタンダードからするとある意味異常です。
本来は大学でしっかり考える時間を確保しないといけないのですが、そうなっていない。この要因の一つは、大学の待遇があまりよくないので、副業をしないと生活がままならず、外来のアルバイトや講演料が必要となっている、と言うこともあります。
根深い問題です。
今日の試合はすごかったですね。
ネットで数字を見る限り驚きだったのは、マーリンズの監督が敬遠を選ばなかったシーン。これだけ点差がついても敬遠してもおかしくないところでした。
この記事を読んで、この監督、肝が据わっているし、ベースボールへのリスペクトが強く感じられました。
点差が大きかっただけでなく、今シーズンのマーリンズがプレーオフ進出から遠ざかっていることもあるでしょうけれど、ただ、今後、このチームは成長する気がしました。
川上民裕先生が会頭を務められた日本皮膚科学会東部支部総会に参加してきました。
自身が一度会頭を行うと、主催者側の苦労が忍ばれます。今回は血管炎や白斑など会頭の独自色が出ていて、これが支部総会の醍醐味でもあります。また、参加者へのおもてなしやお心遣いも至る所で感じました。お疲れ様でした。
こちらは早めに学会場を後にして、大学に戻って溜まった仕事の整理をしなければならなかったですが、こうしてみんなと再会できるのは幸せなことでした。ただ、それにしても、僕自身の問題でもありますが、一年の間ほとんどの週末が学会や研究会で埋め尽くされてしまっているのは充実しているとも言えますが、落ち着いて研究の事を考えたりするのは益々大変になってきます。あと、教室員とのdiscussionの時間なども。
何でもできることも大切と思いますが、僕は、僕にしかできないことがあるのであれば、それを見つけてしっかり極めていきたい、と思ってここまでやってきました。ただ、この年になるとマネージメントなども増えてくるし、自分の存在価値が一体どこにあるのか、ということを考えてしまうことがあります。
若い人達がどう考えているのかはわかりませんが、うちの教室員には、自分にしかできないことを見つけてそれを伸ばすように、と願ってきましたが、自分自身がそんなんではダメですね。
今朝の日経を読んでいたら、海外からの旅行者は増えているけれど、日本から海外へ旅行する人の数は回復していない、という数字が出ていました。学生の留学志願者数も非常に低い、とのことです。
自分の長所と短所をしることから、自分にしかできないことが見えてくると思うのですが、そのためには、自分をできるだけ客観的に見ることができる場に身を置くことが大切です。そしてそれを実践する一番いい機会が、いつもと異なる環境に身を置くこととおもうので、そういう意味で、国際学会に参加したり、留学したりすることは、とても大切です。日本の社会的流動性の低さが生産性・効率などの低さと連動している気がします。
総裁選が進んでいるようです。最近はちょっと社会情勢から遅れているのでどの方がふさわしいのかなど僕の意見は特にないのですが、ただ、このままではじり貧で沈んでいく国になってしまうので、改革をきちんと実行できる方に就任していただきたいです。
先日、山口大の下村先生にセミナーに来ていただきました。エネルギッシュだし、有言実行だし、こういう方が教授だと、教室は発展すると思いました。最近よく、研究ができる大学の数が減少が指摘されますが、たしかにそのとおりかもしれず、その責任の一端が運営交付金の削減だったり、森林省研修制度だったりするとは思うのですが、そういう中でも発展する大学もあります。僕が入局した頃の皮膚科のsocietyは旧帝大とか関係なく、各地域に名士がいて、そこかしこから世界に通じる研究成果がでていたものでした。僕が産業医大にいた頃も、北九州の小さな大学からきらと光る仕事を出してやるぞ、という気概がありました。
そういえば、某有名大の教授と話をしていたとき、だんだんもういいや、という感じで惰性になりかけていたときに、某研究費の申請を落とされて、それが怒りになって、気合いが入り治った、という話をされてました。メンタルって本当に大切なんですが、その大切さをどうやって「うまく」ハラスメントとかとられないように伝えていけばいいのか。。。メンタルの強さって、研究だけでなく、どのような場においても大切なのですが、一方、どのように鍛えていけばいいのか?それはそういう場をたくさん経験すること、つまり挑戦し続けることが一番とおもいます。
本庶先生はゴルフ、山中先生はマラソンなどの趣味がありますが、お二人とも中途半端でなく、本気で趣味に打ち込んでいるところが共通しています。
総会のときに、藤本先生のお誕生日会が開催されました。おめでとうございます。
欧州研究皮膚科学会(ESDR)に参加してきました。
日本人の若手研究者が初めて海外の学会に参加するのであれば、この学会がベストかと思います。
アメリカ人に比べて欧州の人はそもそも英語を母国語にしている人がせいぜい10%くらいなので、日本人のつたない英語に対しても忍耐強く耳を傾けてくれます。
また、この学会はcoffee breakをしっかり取っていて、social eventも充実しているので、海外の方と知り合いになる機会を設けやすいです。実際に、social gatheringでは、日本の研究者は医局の垣根を越えて知り合いになっていたし、また、海外の方とコミュニケーションを取っている姿を何度も見かけました。
ただ、ちょっと残念なのは、日本からの参加者が今年は少なかったことです。実際に数字を聞いてませんが、感覚的にはコロナ前の半分くらいでしょうか。円安などでチケット代が高騰しているのもあるかもしれません。
日本皮膚科学会(JDA)からのトラベルグラント制度などをしっかり利用してもらえればと思うのだけど、今年はまだ案内がでていないので、そういうことも影響したのかもしれません。JDAの理事として、そのあたり、きちんとできなかったことで、僕も責任を感じています。
さて、今回のプログラムは極めて充実していて、Elaine Fuchs先生の講演はもちろんのこと、Muzlifah Haniffa先生の話もいつも通り興味深かったし、天谷先生のlectureはしびれる内容で、日本人として誇りに感じました。Human Cell Atlasならぬ、Human Phenotype Atlasというイスラエルを中心にしたプロジェクトは日本ではとてもできない大規模studyで、日本はもうこれから世界の激動的なサイエンスの変化について行けなくなっていくのではないか、という危機感を改めて感じました。
ISIDの理事会のあとで。Presidentは天谷先生です。アジア人で初めてのPresidentではありますが、完璧にorganizeされました。天谷先生がおられる限り、日本のpresenceは安泰ですが、頼りすぎてはあかんよなあ、、とも感じています。
Elaine、今回のESDRをorganizeしているEnikoらと。とっても光栄なことに、Elaineが以前僕の発表内容を覚えてくれていて、今回の発表もきちんと耳にしてくださりました。実はポスドクの行き先として、Jason CysterとElaine Fuchsの二つの選択肢をずっと考えていたのですが、大学院のボスの成宮先生より、「椛島君はきちんとCell Biologyのtrainingをしていないし、またこれまで学んできた分野ともかなり異なるので、Elaineのところはちょっと厳しいんじゃないか?」とアドバイスをうけて、諦めてしまった経緯があります。それが良かったのか悪かったのか、人生一度切りなのでわかりません。
JIDのChief EditorのErwin,一緒にESDR Hononary Memberに選出されたChris Griffithsらと。。。
名誉会員になるにはちょっと早いと思うのですが、でも、これからしっかり皮膚研究のsocietyの発展に貢献していかないといけない、と言うことを感じました。
京大関係者と最終日のお昼にみんなでランチへ。
ぼくにとってESDRやSIDは20年近い付き合いのある友人たちと年に1-2回会えるチャンスなので、どうしてもそちらに気持ちが行ってしまいがちですが、自身の教室のみならず、次世代を背負う日本の若手にもっと海外の先生と知り合いになってもらえるようにsupportもしないといけないとも思っています。
自分が大学院生のころは、教室などからの海外学会の参加の支援は全くなかったので、自腹での参加となりますから、学会に参加している数日間は本当に気合いを入れて臨んでいました。abstractに予め目を通しておき、qualityの高い質問ができるように準備していました。学会では、海外の方とできるだけコミュニケーションをとって、憧れの先生たちがどのように研究テーマを見出し、そしてそれを証明するためにどのようなmethodで取り組んできたのか、そういう生の声を聞けるように努力していました。
お金があまりなくて、ホテルの予約もせず、知り合いの日本人の部屋に転がり込んだりしたこともあり、それはちょっとダメだと思われますが、でも、そういうspiritsのある若者がいてもいいのになあ、と思います。
カタリン・カリコ, 笹山裕子: ブレイクスルー ノーベル賞科学者カタリン・カリコ自伝
これ、本当によい本です。是非多くの人が目にしてほしい。彼女の仕事がなければ、コロナのワクチン開発もどうなっていたか、わかりません。。。。ノーベル賞の受賞者はやはり普通ではないですね。
葛西 健一郎: パルス色素レーザー治療スプリーム: 形成外科医・皮膚科医のために
先日の日本皮膚科学会で教育講演をしていただきました葛西先生の最新刊です。PDLは応用範囲の広いレーザーですので、正しく、そしてうまく活用していくことが大切と思っています。
そういう意味で、この本は、レーザー界の第一人者の方の執筆されたものですので、信頼できます。あと、照射前後の写真がきちんと提示されているのもありがたいです。
ルシア・ベルリン, 岸本佐知子: 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集 (講談社文庫)
原著で読むか悩んだ挙げ句。。。やっぱ、kindleで原著で購入すれば良かったかな。まあ、いいや。
小泉 八雲, 鈴木 大拙, 宇野 弘蔵, 大塚 久雄, 中村 元, 土居 健郎, 鶴見 和子, 河合 隼雄, 多田 富雄, 網野 善彦, 阿部 謹也: 最終講義 学究の極み (角川ソフィア文庫)
多田富雄先生の最終講義に興味があって。
谷川俊太郎, 尾崎真理子: 詩人なんて呼ばれて(新潮文庫)
谷川俊太郎の生涯に興味がありつつも、まとまって読む機会がこれまでなかったので、いい本をみつけたなあ、、と。
谷崎 潤一郎: 痴人の愛
学生時代の衝撃を、この年になって再読したらどう感じるのかを確認するため。
鷲田 清一: 「聴く」ことの力: 臨床哲学試論 (ちくま学芸文庫 ワ 5-5)
彼の作品も大体読んでいたつもりだったけど、本屋で目にとまり、パラパラめくったら上田正治の写真もなんかあったりして。。これって、本屋に行かなかったら買ってないです。
十三, 伊丹: ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
最も好きな映画監督の一人。どうして自殺したのか、それは僕はいまだにあまり納得できて無くて、こんな人がヨーロッパをどんな感じで旅行していたのかに興味があって。
岡本 太郎: 岡本太郎の眼 (角川文庫)
岡本太郎の著書は全て読んでいたつもりだったけど、漏れていることが判明したので。
北岡伸一: 覇権なき時代の世界地図(新潮選書)
購入した理由。
これから世界は激動の時代を迎える気がしています。ちょうど、いま、日経の私の履歴書に本書の作者が登場していますが、魅力的な人物ですので、それもあって。
カタリン・カリコ, 笹山 裕子: ブレイクスルー ノーベル賞科学者カタリン・カリコ自伝
なぜ購入したのか?
カタリン・カリコ氏の人生に興味があったから。
小林 祐児: 罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法 (インターナショナル新書)
kindleで購入しましたが、かなりの良書でした。タイトルはちょっと違和感ありましたが、内容は至極まともで、なぜ管理職が魅力が無く映るのか、管理職の何が問題なのか、そして、それをどうすれば解決できるのか、ということをlogicalにかつ具体的に解説されています。
始めに、の部分から抜粋します。
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さて、ではこのバグの原因は何でしょうか。
あまり気が付かれていませんが、この管理職の「罰ゲーム化」には、放置すると負荷が上がり続ける、まるでインフレ・スパイラルのような構造が存在します。
ここ10年ほどで現れたハラスメント防止法、働き方改革、テレワークの普及など、新しいトレンドの多くが、管理職の負荷を増やし続けています。
すべてのゲームには、「作り手」がいます。
会社という世界の中で言えば、働く環境やルールを決める側、経営や人事といった人たちです。しかし残念ながら、ゲーム環境の作り手の多くも、この「バグだらけの職場」を放置し続けています。
社長と人事の間、部長と課長の間、事業部門と管理部門の間には、まるで半透明のベールがかかっているように、課題への認識も切実さも噛み合うことなく、すれ違い続けているのです。これが実は、「罰ゲーム化」の根本的原因です。
このゲームは、本当のゲームのようにやり直しがききません。
人生もキャリアも一度きりであり、リセットボタンは存在しません。
雇用や組織の研究者の端くれであり、端くれらしく民間企業のビジネスの現場に近いところで研究している身として、この状態を放置することはできません。だからこそ、この本は書かれました。
様々な方にとって本書が、この問題を真剣に考え、議論し、行動を起こす助けになれば、筆者としてこれ以上の幸せはありません。
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管理職は、大学の教授職ももちろん当てはまるわけです。具体的にどう動くか、ちょっとずつまずは試していってみたいと思います。この本は、現在管理職の方のみならず、管理職に興味がある人も早い時期からこういうことを知っておく方がいい気がします。
大前 研一: 日本の論点2024-2025
ついつい彼の本がでると読んでしまいます。政治の表舞台に立つことは叶いませんでしたが、彼のような人が都知事とかなれば、もう少し日本も面白くなったんじゃないか、と時々思います。
目次に目を通すだけでもそれなりに意味があります。
特に
論点10 外資系企業誘致よりも、日本人技術者を海外へ派遣せよ
は、つくづくそう思います。
Partt1 〈日本編〉
巻頭言 2024年、日本が目指すべきは真の「観光立国」だ
論点01 岸田首相をはじめ日本の政治家が誰も理解していない、日本凋落の根本原因
論点02 岸田政権が続く限り、日本人の給料は確実に下がり続ける3つの根本原因
論点03 植田日銀総裁が、黒田「異次元緩和」路線と決別するために行うべき新たな金融政策
論点04 岸田政権が「異次元の少子化対策」の前に取り組むべき、「ごく普通の少子化対策」
論点05 産業振興目的の「大学10兆円ファンド」が、税金の壮大な無駄遣いになる理由
論点06 いまや国民病である花粉症患者が増え続ける根本原因と、その裏に潜むさまざまな利権
論点07 「ソロ社会」「ソロ活市場」の出現に伴い、日本企業が直面するビジネス環境の大変化
論点08 「日本を変えたい」という政治的野心に燃えた稲盛和夫氏の知られざる生涯
論点09 ネット配信時代のNHKは、受信料からチャンネルごとの課金制に移行すべし
論点10 インボイス制度導入よりも、サラリーマンに不公平な税制度の改革が急務だ
論点11 日本のシニアが楽しい定年後を送るための秘訣と、そこに眠るビジネスチャンス
論点12 介護崩壊を放置する日本の末路と、残された2つの選択肢
論点13 10年前に予見できた、モバイル事業以外に楽天グループが抱える衰退理由
論点14 移動モビリティの規制緩和とルールづくりにおいて日本が欧州から学ぶベき理由
Partt2 〈海外編〉
巻頭言 混迷極める世界情勢。「異形の大国」ロシアとのつきあい方を改めて考える
論点01 最新AI「ChatGPT」を開発した天才経営者が目指すのは「悪の帝国」か
論点02 新・世界一の富豪ベルナール・アノーとイーロン・マスクの違い
論点03 ミサイル防衛よりも防空壕のほうが安全⁉ 日本の頼りない安全保障の実態
論点04 「日米同盟」&「中国包囲網」は、勉強不足で時代遅れな外交戦略
論点05 米欧銀行連続破綻は、世界金融危機のトリガーとなるのか
論点06 インフレに苦しむイギリスのスナク政権に残された「EU再加盟」という選択肢
論点07 ウクライナ侵攻が長期化しても、プーチンの支持率が高い歴史的理由
論点08 「プーチン政権崩壊後」を見据えて始まっているロシア国内外の動き
論点09 不動産不況に苦しむ習近平政権はなぜ“日本いじめ”を始めたのか
論点10 外資系企業誘致よりも、日本人技術者を海外へ派遣せよ
論点11 グローバル化の時代にもかかわらず、日本人の英語力が一向に伸びない理由
デビッド・クラーク, 石川 由美子, 林 康史: マンガーの投資術
都知事選ですが、石丸さん、最後の追い上げなかなかすごかったです。無党派層がきちんと投票して、政治を変えようとする。漸く時代が少し変わってきつつあるのを感じました。
ただ、まだ、SNSでの発信だけでは、勝ちきることは難しい。。知名度も大切でしょうが、彼の様なきちんと経済や自治体のことを学んだ人に政治をやって欲しいと思うのは、当たり前のことなんだけど。
一方、国民自身ももっと医学や経済、政治のことは理解しておく方がよいわけで、そういう意味では、先日、The Tao of Charlie Munger(邦訳タイトルは「マンガーの投資術」)を読みましたが、なかなかよかったです。マンガーさんは、ベフェットの右腕として知られていますが、哲学者のような人であり、この本を「投資術」という訳語を入れたのは、ちょっと残念。この本は、マンガーさんの考え方をまとめた書であり、たしかに経済のことが多く記されていますが、今後も何度か読み返そうと思えるような書でした。
本書の山崎元さんによるあとがきは、キャリアを築くためのルールで締めくくられていて、これをサイエンスの言葉に書き直すとすれば、「自分が本当に面白いと思う仕事・研究をすること」ということかな、とおもいました。
仕事が溜まっていたり、論文の執筆などで、休日も出勤することがしばしばありますが、僕も仕事を面白いと思ってやっていますので、苦に思ったことはほとんどありません。
そしてうちの研究室でも週末は、結構多くのメンバーを見かけます。働き方改革がとかくいわれがちですが、週末にちょっとmedium交換とか、マウスの処置をするだけで実験が前に進むのであれば、僕だったら丸一日休むよりも、ちょっと出かけて仕事をする方が、結局自分の人生の時間を有意義に有効に使える気がします。
よくアメリカの研究室はみんなが働かない、と言われますが、少なくとも一流のラボはそんなことない、というのが僕の留学から学んだことです。週末普通にみんな実験していたし、あるいは、家族との時間を大切にする人たちも、週末ささっと絶対にやらないといけないことだけはやって、それから残りの時間を家族と過ごすとか、みんなメリハリを付けてうまく時間を使ってました。
働き方改革を全て悪いと僕も思っているわけではありませんが、そう言う事を全て一方的に否定して何でもすべてルール化してしまうことは、プロフェッショナルを目指す人にとって、足を引っ張るし、しっかり頑張る人を評価しなかったらこの国の未来はどうなるの?とは思います。
三宅香帆: なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)
日経新聞の広告枠にこの本がベストセラーになっているのが目にとまり、「なんとくだらないタイトルの本なのだろう・・・」と思って見向きもしなかったのですが、先日東京で少し空き時間ができてので、丸善で30分ほど時間を潰しました。
そのときに、この本が山積みになっていて、ぱらぱらめくってみたら、タイトルとは全然異なる内容で、むしろ、書籍と現代文化との関わり、あるは本・テレビ・スマホなどがどのように我々に影響を与えてきたか、について触れられた現代文化論のようなものです。主観を交えながらもきちんと客観的・大局的に捉えられていて、押しつけがましくなく、また、僕のような中高年の人間もきちんとtaget読者層になっています。目次をみればすぐに僕の意図がわかってもらえるかと思います。
まえがき 本が読めなかったから、会社をやめました
序章 労働と読書は両立しない?
第一章 労働を煽る自己啓発書の誕生――明治時代
第二章 「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級――大正時代
第三章 戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?――昭和戦前・戦中
第四章 「ビジネスマン」に読まれたベストセラー――1950~60年代
第五章 司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン――1970年代
第六章 女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー――1980年代
第七章 行動と経済の時代への転換点――1990年代
第八章 仕事がアイデンティティになる社会――2000年代
第九章 読書は人生の「ノイズ」なのか?――2010年代
最終章 「全身全霊」をやめませんか
あとがき 働きながら本を読むコツをお伝えします
さて、僕にとって読書とは、おそらく最も大切なモノの一つなのですが、多くの人にとっては、忙しいから本を読まないのではなく、読書よりも面白い事が多いから読書しないだけなのではないでしょうか。
僕の時代は情報はかなり限られていたため、自分の楽しみが読書に向かいました。今だとnetflixとかyoutubeとか、ゲームなど、気軽に何でもできるので、敢えて寝る前に読書をすることもない。。。また、僕にとって、本を購入することはとてもうれしい瞬間で、その本に折り目を入れたり、書き込んだりし、それをまた折に触れ、手に取って読み返す、、、そういう作業がかなり幸せでした。いまはkindle本だったり、pdfのダウンロードだったり、、。本を所有する物欲って、現代の若い人にはほとんどなくなったと思われます。
話をもどしますが、そうやって選択肢が多くなりすぎると、自らある一つのことに没頭できる能力が育まれにくくなるのかもしれません。また、若い人達を見ていると、多くの人達は、effortの管理など、僕からするとあまりうまくいっていない気がします。自分が本当に何をやりたいのか、やるべきなのか、ということをしっかり考えてfocusするのではなく、多くの情報に乗っかって、振り回されたり、何かをやらされていることだけで、一杯一杯になってしまっている。これからは、相当、いろいろな情報などを切り捨てていかないと本当にやりたいことが見つからないままあっという間に高齢者、、、という感じになってしまうかもしれません。それは自分にも当てはまります。
本庶先生の日経新聞の私の履歴書が先月末で終わりました。どんな言葉で締めくくられるのかと思っていたら、
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PD-1抗体薬「オプジーボ」の登場で、現代医学では完治できなかったがん患者の多くの命を救うことができるようになった。一方で残念ながら半数以上の患者には効果がないこともわかった。人間の体はやはり不思議だ。効く人と効かない人とがいる。
がんという病は、自らの細胞がほんの少しだけ変化して無限に増殖するようになり、体をむしばんでいく。「自己」から生まれた「非自己」は果たしてどこまで私たちの敵なのか。人類ががんを完全に克服する日が来るかどうかの「予言」は難しい。
がん研究の主戦場はがん免疫へと移った。米国が圧倒的にリードする。日本は相変わらずがんゲノムなどに注力し方向転換できていない。これでは若い人材も育たない。
がん免疫によって免疫学も大きく変化した。いま最も興味あるテーマが「ネオアンチゲン」だ。細胞の遺伝子変異によって新たにできるがん抗原を指すが、変異が繰り返されることで必ず発生するというものでもない。個人によってばらつきも大きい。
ネオアンチゲンとは一体何ものなのか。がん免疫の更なる進化にはこの正体を突き止めねばならない。
解明に向けてある仮説をたてた。それを近いうちに証明するつもりだ。仮説こそが科学や医学研究の神髄である。手の内をこの場で明かすことはご容赦願いたい。
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とのこと。人生最後まで現役。しかも自分の「独自の仮説」の証明にずっと執着され、また、時に傍からするとその仮説はおかしいんじゃないか?と思われたとしても、自分自身が納得するまでやり続けられる。
僕のような凡人がまねることはできませんが、でも、僕の目指す生き方の方向性は、情報に溺れて生きていくのではなく、やはり本庶先生かな、、とそんなことを考えながら6月の本庶先生の私の履歴書を読んでました。
話が飛び散りましたが、そんなのが僕の頭の中です。すみませんね。。。
宮島未奈: 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ
本屋大賞を受賞した話題作。女性を主人公にした青春モノはなかなか共感しにくいこともあり、読まないつもりだったのだけど、audibleで見つけたのでジョギング中に聞き終えました。
僕のど真ん中の本ではなかったですが、この本は読む人に元気と勇気を与えてくれます。やはり一押しは、「俺たちの箱根駅伝」なんですよね。。個人的には。
町田 康: 私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか? (NHK出版新書)
睡眠前の読書がある意味至福の時間なのですが、この本を読むと思わず笑いこけてしまって、眠気が吹っ飛んでしまい、不適切本と認定しました。
マウンティングポリス: 人生が整うマウンティング大全
先日日経の書評(以下)を目にして興味深く思って購入してみました。
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相手よりも優位に立ちたいがために、さりげなく自慢話をする「マウンティング」。醜い、不毛、残念だといった従来のイメージを覆す書籍「人生が整うマウンティング大全」
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これはある意味名著です。自分のブログ、友人のSNSなどを含め、世の中は、マウンティングに満ちあふれていていることに気づきます。まあ、一度だまされたと思って読んでみてもらうといいかな、と。そして、こういうのを読むと、SNSなんてやるもんじゃないな、という気持ちにもなります。。。。
池井戸 潤: 俺たちの箱根駅伝 上 (文春e-book)
池井戸潤と言う作家は、読者が引き込まれてしまう世界を見事に作ってしまいます。これまで、半沢直樹、下町ロケット、陸王など、どれも僕ははまりましたが、今回の「俺たちの箱根駅伝」も、これまたすごい作品でした。あっという間に読了。また、甲斐監督が関東学生連合チームのランナーを育て、活躍させていく道程は、今の日本のリーダーとして、かなり理想的なのではないかと思われました。これもドラマ化されるだろうし、かなりの視聴率を取ること間違いなし。
今年ナンバーワンの小説でした。
宮坂昌之, 定岡知彦: ウイルスはそこにいる (講談社現代新書)
これまで何度も大変お世話になった宮坂昌之先生の最新刊です。コロナは比較的落ち着いてきて、それは大変喜ばしいことではありますが、病院ではいまもマスクが必須ですし、完全終息ではありません。当分はマスクをつけたままなのだと思われます。
僕ら医者は、患者さんの表情を見ながら診察をしますし、また、顔面の皮膚の状態はいろいろなことを教えてくれるので、マスクをつけたままでの診察というのは、貴重な情報を失うことになってしまっています。
さて、我々は、一体この数年間でどれほどのことを自ら学んだのでしょうか?ただ、世間から支持されるがままに過ごし、そしてワクチンが開発されて、何となく今の状況がある、と言う程度の方がほとんどなのでは。僕自身、今回の件で新興ウイルス感染症の恐ろしさを経験はしましたが、サイエンティフィックなところをどれだけ学べたのかそれほど自信はありません。
本書は、コロナのみならず、そもそもウイルスとは何か、そしてどのようにウイルスと共存してきたのか、また、コロナ以外の様々なウイルス(帯状疱疹、パピローマウイルス、など)の特徴や病態との関わりなどをカバーしています。
一般の方でも十分理解できるようにわかりやすく書かれていますので、お勧めです。
著者は宮坂先生と定岡知彦先生なのですが、定岡って、そういえば、宮坂先生のお嬢さんが定岡さんだったなあ、とか思っていましたが、あとがきを読んで、やはりそうだったんですね。宮坂ファミリーの傑作です!
公房, 安部: 笑う月 (新潮文庫)
どこかの書評か何かで目に止まり、購入したもののしばらく積まれていたこの作品を出張の移動中に読みました。安部公房は、学生時代にかなり影響を受けた作家の一人なのですが、この作品集を読めてませんでした。。。
この作品集は夢にもとづく短編小説集、エッセイで、誰もが見る夢をこういう作家がどう感じるのかを垣間見ることができて、なかなか楽しかったです。ただ、僕は夢を見ても、起きたら一瞬で忘れてしまいます。村上春樹氏は夢を見ない、とのことでした(ホントかしらん?)。
町田康: 口訳 古事記
こんな口訳をしても、右翼団体に襲われないのか?と心配になるような笑い転げる内容でした。
古事記はこれまで何度トライしても挫折を繰り返しましたが、町田康にかかれば、一気に読んでしまえます。
これからの国内旅行が新たな視点から楽しめそうです。
エリック・R・カンデル, 大岩(須田)ゆり, 須田年生: 脳科学で解く心の病: うつ病・認知症・依存症から芸術と創造性まで
エリック・カンデル博士は、この50年における神経科学界における巨人だと思います。94才でまだご存命ということも喜ばしいことです。2018年に執筆された原著は、須田ゆりさんによって翻訳され、須田年生先生によって監修されています。
須田ご夫妻とは長い間お付き合いさせていただいておりますが、サイエンスのみならず文化・教養に満ちあふれたご夫妻です。そして、このカンデル先生も神経科学を通して人類の本質や社会性、感情、快楽、意識などへの理解を深めてくれます。まだ読み始めたところですが、めちゃくちゃ面白いので読了前に紹介させていただきます!
吉木竜太郎: マンガでわかる皮膚診療 レジデント皮膚科診療所出向記: 出向先がいろんな意味でヤバかった件
吉木本の第二弾です。
今回は、とあるレジデントが変わった院長がいる皮膚科診療所で送った研修生活が描かれています。
作者の熱い思いが、この漫画にも表れています。五感(プラス第六感)を使うことの大切さなど、各章で一つ一つ、作者が日常診療で思うことが盛り込まれつつ、全体で、レジデントが成長していく過程が描かれています。100ページちょっとなのではありますが、十分読み応えがありました。
山崎元: 経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて
まずアマゾンが届いた本書をみて、字がでかくてスカスカな割に値段が高いな、と。
ただ、彼の経済に関する考え方にずっと賛同してきたし、また、がんの再発の後の生き様に感銘を受けていたので、どんな内容かと非常に興味がありました。また、死を前に、18才の息子さんに向けた人生指南としての遺書でもあるので説得力もあります。
期待を裏切らない内容で、そのメッセージを要約すると、
「自分の時間を売ってお金を得る」時間売りのビジネスモデルではなく、あたらしい働き方がスタートしている。常に適度な「リスクをとること」、そして他人と異なる事を恐れずに、むしろそのための工夫をすることが大切であること。
そのために、早い段階で起業に参加してみる。また、自己投資を知識、スキル、経験、人間関係、時間の5つに向けて行うこと。そして人材価値のピークは35才くらいで、その頃には、個人の人材価値に対する評価が定まるとしています。ちょっと早すぎる気もしますが、たしかに35才くらいでそれなりに芽が出ていないとその先は厳しいというのが現実かもしれません。
となると、35才くらいまでにしっかり自分が成長しておかないと行けない訳ですが、その点でいうと、みんなのんびりしすぎていますね。
もう一つ共感できたのは、ワークライフバランスの点です。各界の著名人が十分成功したあとで、「人生には仕事よりも大事なものがある」とよく語っていますが、そういう成功者も大抵は若い頃は仕事の虫であり、やはり「夢中になって高度に集中する時期が必要」とのことです。全くその通りだと思います。
また、彼は経済評論家なので、株式をしっかり理解することの大切さも説いています。
デビッド・クラーク, 石川 由美子, 林 康史: マンガーの投資術
いろいろな投資関連の書籍がある中、本書は、バークシャー・ハザウェイ副会長のチャーリー・マンガーの投資に対する考え方が記されています。単に、この株が有望だ、とかそういう者を求めるとがっかりするかもしれませんが、マンガー氏の哲学は、投資という枠を超えて、とても魅力的です。
ウォルター・アイザックソン, 井口 耕二: イーロン・マスク 上 (文春e-book)
いま、イーロン・マスクの伝記をウォルター・アイザッックソンとアシュリー・バンスによる二人の著者の読み比べをしています。深掘りの度合いが違い、圧倒的に前者がよいです。
両方の作品を読んでいて思うのは、マスク氏が、時代の先を読む力がある、というか、自分であたらしい未来を作ってきた人物である、と言うことかと思います。
研究も同じで、あたらしい技術やコンセプトを作り出せる人と、それに追随する人との違いはとてつもなく大きい。また、誰もがやったことがないことをとりあえずやってみる、ということができることはとても大切であることに気付かされます。今の若い人達は、実際にとりあえずやってみる、ということにたいするハードルが高いように見受けられます。失敗してところで大して失う者はない訳ですから、一度の人生、やってみて、それからまた考えてみたらいいのに、と思うことがしばしばです。
また、最近の日経を読んでいると株価とかNISAの話題がよく出てきます。最近「マンガーの投資術」という本を読みましたが、将来性のある会社を見つけ、その株価が適正な時に購入しなさい、とあります。そんなのなかなかわからないですよね。というか、どの株の値段が上がるのかなんて、予測は本当に難しいですし、いい企業を見極めることも容易ではない。NVIDIAだって、僕らが年金生活に近づく10年後にどうなるのかもわからない。それまでそういう株を買って、一喜一憂しているほど暇でもない。となると、自分に投資するのが一番よいのではないか、と言う結論です。自腹を切って本を買ったり、国内外の学会に参加したり、登山をしたり、何でもいいからいい経験を積むことが大切ではないか、と。
永田 和宏, 小池 真理子, 垣添 忠生, 小池 光, 徳永 進: 寄り添う言葉 (インターナショナル新書)
とてもよい本でした。先日、ちょっと小旅行に行きましたので、そのときに一気に読んでしまいました。研究者であり歌人でもある永田和宏先生の対談集なのですが、作家の小池真理子さん、医師の垣添先生、歌人の小池光さんは、伴侶を先になくされていています。徳永先生はホスピスケアの診療を行われている方です。
冒頭に、「どっちみちどちらかひとりがのこるけどどちらにしてもひとりはひとり」という歌が取り上げられています。そういうことをあまり意識することなく日常を過ごしていますが、でも、それは確実にいずれ訪れる訳で、それなら、今からもう少し意識していてもよい気がしました。
うちの家内は、「絶対に自宅で最後を迎えたい」という事を常々から言っているので、それは叶えてあげようと思っています。
トーマス・S・マラニー, クリストファー・レア, 安原和見: リサーチのはじめかた ――「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法
文系の著者ではありますが、サイエンスにも通じるところあり。また、特に、研究をどうすればいいのか、途方にくれているような場合には、こういう本は指南書になる可能性があります。僕は、後輩の指導の際に何か得られるのかな、と期待して読みましたが、その観点からもまずまずの答えが得られたかな、と感じています。
小澤 征爾, 大江 健三郎: 同じ年に生まれて―音楽、文学が僕らをつくった (中公文庫 お 63-1)
この本も、また、お勧めです。
小澤 征爾, 平祐, 広中: やわらかな心をもつ―ぼくたちふたりの運・鈍・根 新潮文庫
これまた凄い本なんです。
音楽:小澤征爾
数学:広中平祐、岡潔
作家:村上春樹
物理:湯川秀樹
生物学:利根川進、本庶佑、山中伸弥
などなどの方がとんでもなく凄いひと、と言う認識ですが、その中でこの二人の対談も、強烈に凄い。
小澤征爾, 村上春樹: 小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)
これまたいい本なんですよね。。。せっかくなので、この本で触れられているCDも販売されているのでセットで楽しんでもらいたいです。
小澤 征爾: ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)
大学生の時に初めて読んで、指揮者としてで無く、一人の先人として、もの凄い人がいるものだと感動しました。こういう熱量の高い人は、もう、なかなか出てこないのではないかと思われます。是非是非読んで欲しい、最高の一冊です。
地球の歩き方編集室: J13 地球の歩き方 北九州市 (地球の歩き方J)
地球の歩き方には学生時代よくお世話になりました。ただ、大学の終わり頃からは、地球の歩き方がカバーしていない地域を旅行することに目覚めてしまったのですが。
当時、地球の歩き方はいろいろな読者の意見が反映されるのはよいのだけど、あまりに主観的なコメントが多く、結局あまり役に立たない、、、という問題点がありましたが、近年は随分と改善されたと思います。
さて、今回の「地球の歩き方 北九州市」は初めての単一の市を扱ったものらしく、普通、それやったら福岡市の方が先では?と思ったりもするのですが、それだけ北九州には隠された魅力があると言うことでしょうか。
僕の中学の同級生の辻正隆君らが中心になって製作された本だけあって、かなりマニアックな内容です。僕の住んでいた小倉南区なども、地元の人ですらあまり知らないようなところが挙がっています(実際行ってみてもどれだけよいところかは未知・・・)。
村上春樹: 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
マラソンや走ることに興味がある人はもちろんのこと、全然興味が無い人にも一度手にして欲しいです。。。僕は日本語で2回、英語で一回読みました。そして今、また読み返し始めたところです。。。
堀江 貴文: 信用2.0 自分と世界を変える「最重要資産」
堀江氏の様になりたいとはほとんど思わないのだけど、僕が気付かない何かを発信してくれている事があります。反面教師の様なところもあるし、それであるが故に、彼の本を読んだりすることがあります。今回はaudibleで無料だったので、面白そうなchapterだけ聞きました。
即答で「できます」が最強、という節がありました。即答で「やります」といってくれるのも最強と思います。
先日僕も、ちょっと面倒かも、、というお願いを二人にしたのですが、一人は二つ返事でOK、もう一人は少し考えさせてください・・・ごにょごにょと。各人いろいろな事情を抱えているので、今回の件で、二人の評価をするわけではないのですが、でも、僕も人からお願いされたときは、それがたとえ面倒であっても、やるつもりがある仕事は即答でOKと伝えるようにしています。同じような事の大切さを、免疫サマースクールで河本先生がおっしゃってました。
堀江貴文, 荒木賢二郎, 若林杏樹: 堀江貴文のChatGPT大全 (幻冬舎単行本)
ChatGPTとの共存は、自分の時間の有効活用につながると思っています。その事例がたくさん詰まっている、という点で、今あまり生成AIを使っていない、という方にはお勧めの本です。
堀江貴文氏の事を好きかどうかは別として。。。
斎藤 環: 「自傷的自己愛」の精神分析 (角川新書)
自分をディスり続ける人達が増えていることは、社会的にも知られていますし、また、自分の周りにも少なからずいるように感じます。斎藤さんは「自己愛」を「自分自身でありたい」という欲望と定義し、そこから精神科医の目で、引きこもりの自意識や、新型うつ、発達障害がどのように生まれてきたのかについて言及されます。
特に、新型うつについては、軽症で治りにくく、また、本来の「生き方」(性格)と症状の区別が曖昧であると述べられています。そして、承認依存の傾向が強いことが、患者のと口調として挙げられています。それ故、承認依存の傾向が、「承認の撤回」への過敏性につながり、それによる傷付きのストレスによってうつ状態を発症しやすくなる、と指摘されています。確かにそうかもしれないです。
山崎元: 山崎元のほったらかし投資 世界一やさしい資産運用術 (TJMOOK)
山崎さんは経済評論家の中で、僕がもっとも信頼している人でした。惜しくも先日亡くなられましたが、彼のnoteの記事は是非目を通していただきたいです。
https://note.com/hajime_yamazaki/n/nd915a0178c24
さて、いま、株価が上昇しているようです。資産運用は、僕はそういうのは苦手ですが、そういう人が最低限やるとしたら、この「ほったらかし投資」でしょうか?
星野 道夫: 旅をする木 (文春文庫)
30年ほど前に出版された本ですが、内容は全く古びることは決してありません。
神経学者であったジョセフ・キャンベルの言葉が引用されています。
私達には 時間という壁が消えて奇跡が現れる神聖な場所が必要だ。
今朝の新聞になにが載っていたか、友達は誰なのか、誰に借りがあり、誰に貸しがあるのか、そんな事を一切忘れるような空間、ないしは1日のうちのひとときがなくてはならない。本来の自分、自分の将来の姿を純粋に経験し、引き出すことのできる場所だ。これは創造的な孵化場だ。はじめは何も起こりそうにもないが、もし自分の聖なる場所を持っていてそれを使うなら、
いつか何かが起こるだろう。
人は聖地を作り出すことによって、動植物を神話化することによって
その土地を自分のものにする。つまり、自分の住んでいる土地を神話化する事によって、その土地を自分のものにする。つまり自分の住んでいる土地を霊的な意味の深い場所に変えるのだ。
僕にとっては、それが山にいる時間なのかな、と思います。星野さんにとっては、それがアラスカやさらにその先の地であって、そこに26才の時から18年間住み続けた訳です。51才の時にヒグマに襲われて亡くなってしまったのは、本当に残念ですが、それでも、この本は、永遠に生きつづけます。そして、大切なのは、長く生きる子では無くて、よく生きることだ、ということに気付かせてくれます。
平野啓一郎: 三島由紀夫論
大作なので、まだ読んでいる途中なのですが、素晴らしい作品であることを確信しています。毎晩、これを読みながら読みいるのだけど、疲労が勝っていて、チーン、と眠ってしまっています。
彼の死が必然であったことは、途中ではありますが、十分にわかった気がします。あとは、平野啓一郎が三島と自分自身を重ねて合わせているところも多く、そのあたりは、作者自身の内面が他の作品よりも明確にでていて、その部分も読み応えがあります。
勝手な妄想に過ぎませんが、日本からノーベル文学賞が次に生まれるとしたら、彼なんじゃ無いかな、と僕は思っています。まだまだ先でしょうが。
吉村昭彦: 免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム (ブルーバックス)
ついに真打ち登場という感じです。免疫の専門家の中でも、極めてアンテナが高くて、他領域をカバーし、しかもポイントを明確に捉えられている吉村先生がブルーバックスで新刊を出版されました。こうやって他人の執筆された本を読むと、どうやってこんな時間を捻出しているんだろう・・・と不思議に思います。
この本は、「超」入門、となっていますが、これは全くの誇大広告でして、やはり免疫学はどう考えてもややこしい学問です。それ故、心してかかる方がよいです。ただ、我々に非常に身近な話題も多数ありますので、最初から通して読もうとするのではなく、読みものとして気に入った項目から目を通していく、というのも一案かと思われます。こんな素晴らしい本が1000円ちょっとで買えてしまうなって、本当にありがたいことです。生ビール一杯とさほど値段は変わらないわけですから。僕なら、絶対に生ビール一杯よりは本書を選びます。いや、どちらも選びます。
黒柳徹子: 続 窓ぎわのトットちゃん
忙しくなると、まず読書量とブログの更新が減り、さらに忙しいと睡眠時間が減る、、、というのは自分のパターンです。今のところ睡眠時間はそれほど減ってないのですが、仕事は溜まっている。。。これは自分がふてぶてしくなったということでしょうか。あまり良いことではないのはわかっています。
移動中は、大体仕事をしているのですが、食事の時とか、なんだかつかれたときはそれでも読書をしている事が多く、そんな中、この本は一気に読んでしまいました。子供の頃、ザ・ベストテンという音楽番組があって、その司会者というイメージが強く、徹子の部屋をみたことなどあまりないのですが、この人の独特の感性にはすごく惹かれます。
本書はご自身が仕事を中断してニューヨークに留学するまでの日々が綴られていますが、押しつけがましくなく、そして彼女らしい表現で戦争をしてはならないということ一貫して伝えてくれています。小学生でも読むことができるはずで、だれもが手に取って欲しいと願います。
吉森 保: LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義
以前、自腹で購入し、そしてこのコーナーでも紹介させていただいていたのですが、先日吉森先生からいただきました。これで二冊持ち!
平野俊夫, 村上正晃: エッセンシャル免疫学 第4版
村上先生に贈呈していただきました。こちらは以前、標準免疫学を宮坂先生、小安先生と一緒に編集し、こちらも自信作なのですが、Parham先生の単著の素晴らしさが本著ではいかんなく発揮されています。勉学の秋ですので、是非!
ユヴァル・ノア・ハラリ, 柴田裕之: サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福
以前日本語訳を読んで、その後英語で頑張って読んで、いまは、ランニング中にaudibleで日本語で聞いています。くだらないテレビ番組をだらだら見るよりもお勧め(とかいいながら、韓流ドラマを見たりしていますが)。
松本 修: 言葉の周圏分布考 (インターナショナル新書)
柳田国男の方言周圏論の発展版といってもよいでしょうか。アホバカ分布図のみならず、様々な方言の広がりを見ると、その土地土地の文化や気性の違いのような日本人の歴史を感じることができます。ただ、こういう地域独特の文化は今後どんどん失われていく運命なのですけれど。
堀江貴文: 2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全
いろいろなものが電子化されていって、それはそれで便利なのだけど、移行のプロセスが大変で、たとえば、先日久しぶりに生協に行ったら昔のカードが使えなくなっていて、アプリになっていました。しかし、その移行に際して、僕のメールアドレスが登録されてないなどで、随分苦労しました。。。
ただ、こういうときの日本での電話対応はみんなすごく親切で、これは海外ではあり得ないです。そういう意味で、日本は本当によい国です。
一方、自動車産業は、電気自動車に世界が舵を切っていく中(これって、もう何年も前からその流れを僕を始め多くの人は感じていたはず)でかなり取り残されていて、このあたりも日本いじめの感も多少ありますが、日本の自動車産業、負けないで欲しい。
時代の流れを読む事ってある程度大切と思っていて、また、研究も同じ事はある程度言えます。流れに乗るばかりでもダメですが、でも、テクノロジーの発展をどう自分の疑問の解決に利用するのか、など、そういうことはいつも考えています。
多くの人は、ホリエモン・ひろゆき、、と行った面々はあまり好きでは無いのかと思いますし、僕も、自分とは考え方がいろいろと違う点も多いのですが、先を見通す力や、僕らとは違った観点で物事を考えていて、そういうところからは学ぶところも結構多いです。最近ホリエモンの「2035 10年後のニッポン」という本を見通しました。ほとんどは僕の予想している内容と同じ(chatgptの利用の仕方・付き合い方、円相場の行方、日本が外資で復活する可能性のある点、EVのみならずソフトに問題のあるトヨタの将来が決して明るくない点、ライドシェアの導入、)でしたが、一部は全く考えたこともないこと(違法駐車撲滅案、テスラのVPP事業による電気代の低下の可能性、メタバースは廃れる、人工の太陽ーこのあたりはほんまかいな。。。とおもうけど、人工冬眠など・・)です。
あっという間に読み終わる程度の内容ですが、それなりにいろいろなことを考えるきっかけになるかと思います。
市川 沙央: ハンチバック (文春e-book)
芥川賞受賞作、読みました。作者の市川さんは、筋疾患先天性ミオパチーにより症候性側弯症を患う障害者の方で、自身の当事者性を意識して書かれた作品です。市川さんは記者会見で、
「『ハンチバック』は、私が産んだ小説ですが、種付けをした父の存在が二方おります。ひと方は、私の懇願のお手紙をスルーなさった出版界。もうひと方は、私のライトノベルを20年、落とし続けたライトノベル業界。この場を借りて、御礼申し上げたいと思います。その方々がいなければ、私は今、ここにはいません。怒りだけで書きました。『ハンチバック』で復讐をするつもりでした。私に、怒りはらませてくれてどうもありがとう。」と述べられています。でも、この作品には、ウィットに富んでいます。次の作品は怒りから愛の作品へ変わるのか、楽しみです。
吉森 保, 松崎 恵理: 不老長寿の食事術 オートファジーで細胞から若返る
吉森先生の新刊。本当に多彩な先生です。研究も一流であり、かつそれ以外の趣味も深いし、また、周りにわかりやすく伝える能力も高いし、それでいて時に毒を吐いたりウィットの効いたことも口にされる。。。
本書はオートファジーの観点から老化をとらえ、しかもそれを日常生活でいかに防ぐか、という内容です。
阪大は仲野先生といい、大衆のハートをつかむ人が多いです。大阪と京都は近いけれど、なんかやはり文化が違うのか、僕なんか、わかる人にわかればいいや、という感じでサービス精神ゼロだからダメですね。
為末大: 熟達論―人はいつまでも学び、成長できる―
今回の出張のお供はこの本。「走る哲学者」と言われるだけあります。一流のアスリートでありながら、これだけきちんと周りに伝える能力の高い人は本当に希有な存在です。
今回は、現代版五輪書です。熟達するまでのステップを、遊・型・観・心・空の5つに分けて解説しています。スポーツだけでなく、研究など全てに通用する考え方かと思いました。彼が熟達者に共通するポイントをいくつか挙げていますが、すごく納得。
1. 基本となるものをもっている
2. 迷うと基本に返っている
3. 人生で何かに深く没頭した時期がある
4. 感覚を大事にしている
5. おかしいと気づくのが早い
6. 自然であろうとしている
7. 自分がやっていることと距離を取る態度を身につけている
8. 専門外の分野から学んだ経験がある
自己肯定したいわけではないですが、僕は結構当てはまっている気がします。ただ、自分が決して熟達しているわけではないので、これらはあくまで必要条件であって、十分条件ではありません。
伊澤理江: 黒い海 船は突然、深海へ消えた
大宅壮一ノンフィクション賞、講談社 本田靖春ノンフィクション賞などを受賞した話題作です。
2008年に起きた海難事故について調査をし、国が提示した報告書に疑義を提示したルポルタージュです。4名死亡17名行方不明という犠牲者を出した実話の事件であり、また、内容はノンフィクションでありながらミステリーの要素もあります。
山崎豊子さんすら彷彿とさせる実に素晴らしい作品でした。
非常に野心的な作品でありながら、事故で犠牲になった家族への思いやりも伝わり、作者のお人柄もうかがいしれます。いざというときに国を当てにすることはできない、そして、社会問題に対してきちんと発言しつづけることの大切さを感じるとともに、日本のジャーナリストの才能を芸能人ネタなどに向かわせることは日本の大きな損失であり、正しい方向に開花させてほしいものです。
もちろん今回の取材の全てが正しいとは限りませんが、日米同盟の危うさを痛感しますし、そうなると、有事において、日本はかなりまずいと言うことを再認識しました。
僕がrespectしている石牟礼道子の詩も出てきますし、これは本当に読み応えのある作品。今年一番かもしれません。
イワタヨウスケ: 図解ポケット ChatGPTがよくわかる本
ChatGPTをまだあまり使ったことがない方が多いようですが、これは絶対に使いこなせるようになるべきです。全てをこれに頼ることはできませんが、いろいろな意味で仕事の簡略化がはかれます。
たとえば、
「2023年10月29日にXXゴルフ倶楽部にて京都大学ゴルフ杯開催」 これをゴルフコンペの案内の文章にしてください。
とプロンプトすると、以下の様な文章を作ってくれます。これをうまく利用すれば、随分と楽に幹事などの仕事を進めることができますよね。
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京都大学ゴルフ杯 ゴルフコンペ開催のお知らせ
日頃よりゴルフを楽しんでいる皆様へ、
秋風爽やかな季節に、比良ゴルフ倶楽部にて待ちに待ったゴルフコンペ、「京都大学ゴルフ杯」を開催いたします。詳細情報は以下の通りです。
日時: 2023年10月29日(土曜日)
場所: XX倶楽部
参加費: お一人様 XXXX円(ゴルフ場利用料・食事代等全て含む)
競技形式: ストロークプレー
受付開始: 午前 8:00
スタート時間: 午前 9:00
この京都大学ゴルフ杯は、ゴルフ愛好者の皆様が一堂に集い、友情と競技心を兼ね備えた素晴らしい一日を過ごす場となることでしょう。XXゴルフ倶楽部の美しいコースで、最高のショットを楽しみながら、新たな出会いと楽しい時間を共有しましょう。
申し込み締め切りは2023年10月15日となっておりますので、ぜひお早めにご検討ください。参加ご希望の方は、以下の連絡先までお問い合わせいただくか、オンライン申し込みフォームをご利用ください。
お問い合わせ先:
XXゴルフ倶楽部 お客様サポート
電話番号: XXX-XXXX-XXXX
Eメール: info@hira-golfclub.example
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
一同、楽しいコンペの準備を進めておりますので、どうぞお楽しみに!
京都大学ゴルフ杯実行委員会一同より
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こういう使い方を学ぶにはきちんとまとまった書籍を2-3冊読み通すのが手っ取り早いです。
この本は1000円を切り、また、サイズもコンパクトだったので、丸善で購入しました。まずまずお勧めです。
伊集院 静: 一度きりの人生だから
東京などの出張の帰りに、時間がありそうだったらふらっと本屋によって、JRの中でビールを飲みながら読書、というのが密かな楽しみの1つです。
伊集院静氏は、僕の好きな作家(作品もですが、人として魅力的なところがあります)です。
旅について、「自分が何者か?」ということを考える貴重な機会であり、そして、「自分はまだ何者でもない」ことに行き着く、との記載があり、僕も全く同感です。
また、彼の好きな街にパリやバルセロナを挙げていますが、それも僕もわかる。。。文章を読みながら、同感、とか、いや、僕は違うな、、、とかそんな対話を楽しみながら読み終えました。
いつか、ドーヴィルの街とロイヤル・ドーノックに行ってみたい。そして、ついつい、彼の推薦する本もたくさん買ってしまい、今度の出張中にいくつか読みたいと思った次第です。
クーリエ・ジャポン: 海外メディアは見た 不思議の国ニッポン (講談社現代新書)
日本に暮らしていると、いろいろなことが当たり前になってきて、日常生活から気付きが失われてきます。
この本に記載されているテーマはどれもなるほどと思うものです。ただ、それに対して十分な回答がこの書籍の中で得られているかというとそういうわけでもないので、あまり期待しすぎずに読めばいいのかな、と思いました。
・世襲政治家が多い理由
・なぜファックスをやめられないのか
・会社員を縛る「義理チョコ」という集団心理とは
・居眠りは勤勉の証!?
・なぜ「年上がエラい」のか
・日本でポピュリズムが台頭しないのはなぜか
・日本人の自殺率が高い理由
・「人間より人形が多い」限界集落とは
・創業1000年の老舗の生存戦術
・なぜ若者は海外へ行かないのか
・女性スポーツ選手に「女らしさ」を求める理由
・なぜ若者の投票率は低いままなのか
・海外メディアは日本の皇室をどう見ているか…他
椛島健治: 人体最強の臓器 皮膚のふしぎ 最新科学でわかった万能性 (ブルーバックス)
この本が「科学出版賞」を受賞するとは夢にも思っていませんでした。数千部でも売れれば十分本望、とくらいしか考えていませんでしたので。。。。
この賞が受賞できた大きな理由として、ここしばらく皮膚関連の一般書が出版されていなかったこと、そして、山中先生が推薦文を書いてくれたことではないかと僕なりに分析しています。
永守重信: 「人を動かす人」になれ! (単行本)
僕の尊敬する経営者は、稲盛さん、柳井さんなど多数いますが、その中で、永守さんはやはりちょっと異色です。こういう昭和な人は、もう最後かと思います。直球勝負で、しかも核心を突いています。この本は何度も読みました。
坂本龍一: ぼくはあと何回、満月を見るだろう
ちょうど読み始めたところですが、疑いなく、すごくいい作品です。また改めてレポートしたいと思います。
遠藤周作: 自分づくり (青春文庫)
遠藤周作は、好きな作家の一人です。中学の時にかなり読みましたが、今読んでもどれも秀逸。また、守備範囲も広くて、「沈黙」のような重厚な作品から、狐狸庵シリーズのようなユーモアにみちあふれたもの、そして、本作のような生き方指南書のようなものまで。
(「はじめに」より)
この本をぼくは自らの人生に満足している人に読んでもらおうとは思わない。毎日の生活に充足感を持っている人に読んでもらおうとも思わない。
たとえば、毎日が充たされぬ人、自分に劣等感を持っている人、友だちのいない人、さむい下宿で孤独な人、そういう人に読んでもらいたいのだ。
ほんの少しだけでも生きる智慧をふきこむことができたら、と思うからだ。
◇◇◇ 生誕100年記念 新装版 ◇◇◇
です。もっと生誕から立っているかと思っていたのですが、違うんですね。。。。
國澤 純: 実験医学増刊 Vol.41 No.10 健康と疾患を制御する精密栄養学〜「何を、いつ、どう食べるか?」に、食品機能の解析と個人差を生む分子メカニズムの解明から迫る
國澤さんが編集された実験医学の増刊号です。栄養・代謝・microbiomeなどをきちんと知識を整理しておくことは皮膚研究のみならず、どの領域でも大切になってきているのではないでしょうか。
少しずついま読み進めているところです!
戸倉新樹: 間宮家の皮膚科医
僕の師匠の一人である戸倉先生が、非常にユニークな書籍を出版されました。小説をよみながら皮膚科の勉強ができてしまうのですが、こういう小説って、これまでなかったですよね。。
医学部の学生さんにもお勧めしようと思っています。
林真理子: 成熟スイッチ (講談社現代新書)
あまり読書の時間を確保できているわけではないですが、ただ、寝る前に本を読むのは子供の頃から変わっていません。
いろいろと最近も読んだのですが、中でも面白かったのが、成熟スイッチです。この作家は、嫌われるように敢えて演出しているのか、どうも好きになれないところも多いのですが、でも、個性があって人として興味深い。「愉楽にて」なんて、どうしてこんなことを書いたりするのだろう、と怒りすら覚えましたが、一方で、「野心のすすめ」を読めば、やはり面白い人と感じる(あー、今の若い人は、1度この本を読むべきです。生き方が少し変わるかもしれません)。
この作品も彼女の個性が噴火しています。おすすめの一冊です。
実験医学 2022年6月号 Vol.40 No.9 病を「腸」から攻略する マイクロバイオーム創薬
実験医学6月号で、
対談 AI興隆の時代だからこそ,研究で大切なことサイエンスとは自分を知って,自分自身を大切に育てていくこと
という対談企画をさせていただきました。僕自身が学ぶことがたくさんあって、対談というよりは、僕がインタビューアー、という感じでした。
ちなみに本号の特集は鎌田先生の編集です。こちらも読み応えがあります。
木谷 百花, 小川 さやか, 坂本 龍太, 石井 美保, 東 長靖, 宮本 匠, 風間 計博, 前田 昌弘, 岩谷 彩子, 藤原 辰史, 松島 健, 広井 良典, 山極 壽一: 旅するモヤモヤ相談室
よい本でした。京大医学部6回生の木谷さんが、世界でフィールドワークをしてきた文化人類学者、建築家などにインタビュー形式で仕上げた本です。
人生の悩みを解決する形式を取っていますが、各回答者が世界各国を訪れて感じたこと、経験したことをベースに、人生観を語られています。日本にいるとどうしても偏った価値観や、一つの答えを求めがちですが、そういうせせこましさを払拭してくれます。特に大学生や若手に目にしてもらいたいところですが、僕のようなおっさんでも気づかされることがたくさんありました。
沢木 耕太郎: 深夜特急1 ー 香港・マカオ〈文字拡大増補新版〉 (新潮文庫)
Kindle本で読みました。寝る前に、昔の自分の旅を思い出したりしながら読むのが楽しみになっていました。
でも、もう、それも終わってしまい、ちょっとさみしい感じです。沢木さんの旅と僕の旅は、結構似ているところがあって、二つ選択肢があれば、面白そうな方を選ぶところなどはまさにそうです。
こういう旅を学生さんたちができるのであれば、それは国家試験に向けて暗記中心の勉強をしたりするよりも、ずっと素敵な財産になることと思います。
そうそう、「世界は使われない人生で溢れている」という沢木さんの作品があります。人生ほどほどで良いと思う人には、そして、どこかで本気で頑張ってみなければ、また、どうせやる仕事なら、一生懸命にやってみなければ、さらには、二つ選択肢があって、面白そうではないけど楽そうだから、、という選択をする人生は、やっぱり面白くないんじゃないでしょうか。一度の人生なのだから、自分を大切に。そして、大切にするということは、甘やかすことではない、ということはみんな、わかっているはずです。僕ももっとしっかり生きないと。
村上春樹: 街とその不確かな壁
無事に入手できたけど、仕事が滞っているので読めない。。。自分としては、このような状況になってしまっていることが情けない。最近仕事が増えているのもあるけど、仕事のスピードが遅い。12時間も活動すると、すぐに集中力が低下してしまって、夜、仕事がろくすっぽできなくなってしまっています。年のせいか、怠惰になったせいか。。。
永田紅: いま二センチ (塔21世紀叢書)
永田ファミリーの紅さんの最新の歌集。この2センチが、いまやめちゃくちゃキュートなお嬢さんですからね。。。時の流れは早く、そして若い人達はどんどん成長し、僕らのような世代はどんどん老化する。
西川 博嘉: もっとよくわかる!腫瘍免疫学〜発がん〜がんの進展〜治療 がん免疫応答の変遷がストーリーでわかる (実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ)
羊土社の中で、「もっとよくわかる!」シリーズが一番わかりやすくて、しかも一貫性があって気に入っています。特に河本宏先生の免疫学の教科書。
この腫瘍免疫学も、日本の知力が集結しています。個人的には微小環境に興味があるので、特にこの部分は真剣に目を通しました。
宮地良樹, 本田 哲也, 安部 正敏, 天野 博雄, 井川 健: これが私のベスト処方 アトピー性皮膚炎 専門医16人が治療のコツと本音を語る
新たなタイプの企画と思いました。専門医16人が各自分の好きなテーマで、自分の得意技を披露する。アトピー性皮膚炎はいまやいろいろな選択肢も増えましたので、タイムリーですよね。これまでまた宮地先生の編集された本が一冊増えました。合計何冊なんだろう。。。
沢木耕太郎: 作家との遭遇(新潮文庫)
最近はあまり読書の時間が取れなく(ベッドに入ってから以外にすぐ寝てしまってます)、あまり読書は進んでないです。
そんな中、沢木耕太郎さんの本は、大体新刊が出ることに読んでいて、ただ、この本は文庫化されてから入手しました。深夜特急を読んでいた時から感じていたことは、沢木さんはスポンジのように周りの意見を吸収しつつ、でも、自分の目と感覚でそれを独自に解釈できる人だと言うことです。そんな作家が書いた、作家論なので、面白くないはずがない。
土門拳さんについての文章が僕は一番気に入っています。土門氏が昭和42年に書かれた「事実と言うこと」という文章の一節「わたしたちは実に長い間、真実という幽霊に迷わされていたように思う。それを最近わたしはつくづく思い返され、慚愧に堪えないもの感ずる」とありました。これは僕にもいろいろな意味で当てはまりそうです。p<0.05が、科学者の真実の世界にすぎず、でもそれって、おおよその真実としか言えないですよね。どんなサイエンスをやりたいのか、いつも考えないと。。。
大槻 文悟: ランニングの処方箋: 医者の僕が走る理由
ジョギングをするからには、マラソンのタイムを縮めたい、という思いがある方に、強くお勧めします。数々のトレランの大会で、50歳にして表彰台に何度も立つ強者です。僕自身、これまで何度もサイエンスに基づいたアドバイスをもらい、また、一緒にトレーニングすることで、よい刺激を受け、サブスリーなどの結果を得ることができました。
他の書籍と一線を画するのは、やはりサイエンスに基づいた記述がなされていることでしょう。この本は、単なる個人的な体験談ではありません。この本を読み通すためには、多少の根気も必要かもしれません。でも、ランニングの理論ができれば、今後の練習メニューを考える上で、間違いなく一助になるはずです。僕自身、これまでは単に通勤ランをだらだらと続けてきましたが、もう少しメリハリのある内容にしようとプランを練っているところです。VO2 mas, ランニングエコノミー、筋肉のミトコンドリアの増やし方などについてのみならず、整形外科医の本領発揮としてのケガやその対処法など、すごく勉強になります。
多賀 千之, すずき かおり: たがのわ 多賀先生のあったか子育て・孫育てアドバイス 4巻セット
僕が学生時代に、NIH/FDAでお世話になった恩師の多賀千之先生が執筆された子育て本です。教室員の家庭(子育て)が円満であることがとても大切なので、是非手に取っていただければと思います。ちなみにうちの教室員には、出産のお祝いにもれなくプレゼントしています!
春樹, 村上: もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)
先日雑誌のインタビューを受けて、好きな作家を訪ねられました。新刊が出ると聞いて、一番わくわくするのはやはり村上春樹さんです。翻訳されている作品は英語でも読んでいるので、つい、「村上春樹の作品は日本語も英語も全部読んでます」と深く考えずに答えてしまいました。ちょっと不安になってアマゾンで調べてみると、なんと数冊読んでない短編集などが・・・・。ということで慌てて購入して読んだ第一弾がこれです。以前、スコットランドをレンタカーしてぶらぶらしたことがあったのでいろいろと共感できるところが多かった。ただ、僕はアイラ島にもアイルランドにも行けてませんので、いつか、必ず、レンタカーでぶらぶらする旅(ウィスキーだけでなくゴルフもセット)をやります。
須田 年生: 冬の海
著者の須田先生は、幹細胞や血液学の研究者であり、また、カンデルの「芸術・無意識・脳」の翻訳者でもあり、それだけでも驚きなのですが、詩人の一面もあって、さらにびっくり。。。
須田先生のお人柄を存じ上げているが故に、この詩集はより心に響きました。世代は20歳ほど僕の方が若いのですが、なぜか共通した体験が多くてふしぎな気持ちになりました。また、取り合えげられている人物も永田和宏先生、平野啓一郎・村上春樹氏などお気に入りの作家ばかりでした。お互いシンガポールで研究もしているし。
また今度お会いできる日が楽しみです。
松岡 悠美: 実験医学 2023年2月 Vol.41 No.3 皮膚微生物叢〜宿主-微生物間コミュニケーションの理解と治療への応用
実験医学全体を対象とする本雑誌が、「皮膚微生物叢」を特集のテーマとしたことは、なかなかの英断と思われます。ただ、この領域は日本のpresenceは高いし、また、microbiomeも腸管だけで無く、他臓器での解析の重要性が減ることはないでしょう。
また、サイレントエラーの新連載が始まったのも魅力です。何気なくみんな実験している人が多いようですが、僕は、ADHDですので、どうすれば実験のミスが減るかをいつも真剣に考えて実験していました。今回の項は、スピッツの並べ方などについて触れられていますが、そういうことを、僕もずっとやってました。。。
斎藤 清明: 今西錦司と自然 (日本の伝記 知のパイオニア)
著者の斎藤さんが、今西錦司博士のことを自伝風に著しています。中高生でも読めるように平易に書かれていますが、それでも今西博士の情熱などは十分に伝わってきます。この京大の自由な精神と学問を追求する文化は絶対失うべきではないと思います。他大学がどうであれ、京大は京大らしく、図太くあって欲しい。
水木しげる: 総員玉砕せよ! 新装完全版 (講談社文庫)
水木しげるさんの原点はここにあると思いますので、改めて読んでみました。ほとんどが真実で、一部は虚構なのですが、水木さんの訴えたいことはひしひしと伝わり、また、あとがきもまたよく、2-3時間もあれば読める漫画なので、是非。
有働由美子: ウドウロク(新潮文庫)
年齢が自分と近いこともあり、性別こそ違え、似たような考えをしているので我が身のことのように感じながら楽しく読みました。
福澤 諭吉, 斎藤 孝: 現代語訳 学問のすすめ (ちくま新書)
現代語訳でいいと思います。福翁自伝もおすすめです。
ディーリア・オーエンズ, 友廣 純: ザリガニの鳴くところ
英語で読みました。Where the Crawdads Sing.本当によい本です。皆様も、年末年始などの時間があるときに読むといいのではないかなあ。。
あと、映画化もされているみたいです。
落合 陽一: 忘れる読書 (PHP新書)
時代の申し子のような人ですよね。お父ちゃんもすごかったけど、息子もすごい。考え方が僕なんかと全然違って新しくてついて行けないくらいです。
京大なんかにたまに来て、いろいろと変化させていってくれんやろか。。。そんな他人任せではあかんですね。
で、この本、特に真新しさはなかったですが、彼の思考回路がいろいろとわかって、それだけでも僕にとっては価値があるほんでした。
野沢 直子: 老いてきたけど、まぁ~いっか。
学生時分、「夢で逢えたら」という深夜番組などで野沢直子の芸人としてのセンスの良さに惚れてました。今はサンフランシスコにすんでるんですね。わざわざ買う価値のあるほどの本とは言えないかもしれませんが、自分と似た境遇にある人が、それをどう捉えて生きているのかに興味があったので買ってしまいました。
椛島 健治: 人体最強の臓器 皮膚のふしぎ 最新科学でわかった万能性 (ブルーバックス)
3年近くもかかってしまいましたが、漸く本ができあがりました。一般の方に皮膚の魅力を伝えたいという思いはずっとありましたので、その願いが叶ってホッとしています。ただ、ここに至るまでの道のりは全く順調ではなく、多くの方の助けを借りました。特に講談社の高月さんには拙かったり堅苦しい文章をすごくわかりやすく、一般の方にも親しみを持てるような文章にしてくださり大変感謝しています。さらに、山中先生に帯をかいていただきました。ありがとうございます。
1200円とお手軽な価格に抑えましたので、是非、多くの方に手に取っていただければと思っています。
また、僕の知識が誤っていて間違いなどがあれば、ご遠慮なく御連絡くださいませ。
岡 勇輝: 実験医学 2022年12月 Vol.40 No.19 個体生存に不可欠な 本能行動のサイエンス〜飲水、摂食、睡眠、体温調節─中枢と末梢のクロストーク解明に向けて
僕にとっての今月のハイライトは、二度目のノーベル賞を受賞されたBarry Shapless博士に関する記事です。
1. 哲学に基づいてサイエンスの方向性を決め、変化を恐れない
2. 古い文献などにインスパイアされて研究計画を立てる(古典に学ぶ)
3. 熱い情熱
4. サイエンスに集中できる環境づくり
5. カオスの縁(教授室は雑然としているらしい)
井上多惠子: グローバル×AI翻訳時代の新・日本語練習帳【BOW BOOKS012】
人にメッセージを伝えることは、生きていく上でとても大切であることは誰もが認めることと思います。ただ、どのように、、、というのは、時代によって求められるタクティクスが少し違うかもしれません。
この練習帳は、英文を作る際に、どのような日本語を書けばうまくAI翻訳を生かせるか?と言う点に焦点を当てています。ただ、それだけではなく、メッセージ伝達手段としての日本語の書き方についてもきちんと触れられています。
deeplなどを使えば、今は、非常に簡単にいい英語が作成されます。これをさらにgrammarlyなどのアプリを使うと最適な文法にブラッシュアップされます。
その際に、AI翻訳に適した日本語というものがあります。それがこの本で学べます。そもそも日本語は主語が抜けることなどが多く、AI翻訳がうまくできない日本語は、人にも伝わりにくいのではないか、と思われます。
鏑木毅: 日常をポジティブに変える 究極の持久力
鏑木さんのファンなのでついつい読んでしまいました。いい人であることは、日経新聞の連載からだけで無く、この本でもにじみ出ていましたねー。
ドストエフスキー, 岩下博美: カラマーゾフの兄弟(1)
僕が持っているのはこっちの訳です。新訳がでているのでそっちを買おうかな。。。
以前、村上春樹氏が「この世の中には二種類の人がいて、カラマーゾフを読んだ人と読んでない人だ」みたいなことを言われていましたが、その意味、なんとなくわかります。
小安重夫: 小説みたいに楽しく読める免疫学講義
後でまたコメントしますが、とても読みやすい良書!このように免疫をわかりやすく説明できるのが、小安先生の凄さの一つ!
冨樫庸介: 実験医学 2022年10月 Vol.40 No.16 免疫チェックポイント阻害薬の“耐性”に挑む〜がん免疫サイクルから見出す戦略
今月の実験医学(2022.10)に「英語論文執筆のお助けツール集」が掲載されています。
結構deepl, mendeley, grammarly, BioRenderのことなども触れられています。
こういうののもっと詳しい特集があっても良さそうですね。
大澤 毅: 実験医学 2020年5月 Vol.38 No.8 マルチオミクスを使って得られた最新知見〜糖尿病・がん・腸内細菌研究における実例と解析法
スヴァンテ・ペーボ, 野中香方子: ネアンデルタール人は私たちと交配した (文春e-book)
以前も紹介しましたが、人類学の観点から面白い本です。サイエンティフィックには、なんとも評価しにくい。しかも、倫理的にも結構ギリギリのことをやらかしているし。生理学・医学という領域とは違う気もしますが、でも選考委員の今回の見識は、これはこれで面白いとは思いました。
ともあれ、「ネアンデルタール人は私たちと交配した」は、是非一度手に取って欲しい本です(なぜこのようなタイトルに翻訳でしたのか。あまりセンスはよくないですよね。原題はNeanderthal manですから)。
戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎: 失敗の本質
「失敗の科学」は現代の失敗論の名著です。そして医療業界の問題に踏み込んでいます。
ただ、日本特有の危うさには触れられていません。その点からも、本書をセットで読むことをおすすめしたいです。
マシュー・サイド: 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
「失敗の本質」という太平洋戦争を題材にした名著があります。現代にも十分通用する本質的な内容なのですが、ちょっととっつきにくさがあるかもしれません。
その点、本書は、医学や航空業界などがどのように失敗というものに対応してきているのか、と言うテーマを具体的かつわかりやすく取り扱っています。しかも、きちんと解決策も提示されていますので前向きに読み進めることができます。
いまだに医学や科学にはねつ造や隠蔽がはびこっていますが、それをどうすれば少しはましにできるのか、ということを考えることは大切です。特に日本人は組織からの見えにくい圧力などがあって、体質的に危険です。
そんなことを本書を読みながら、また、映画「水俣」を見ながら考えました。
笹田 昌宏: ランプ小屋の魔力
一体誰が読むのだろう、そして作者って、一体どんな人なんだろう、と思うような本があります。これがまさにその本かと。日本中のランプ小屋とレンガアーチの作品が掲載されています。たしかにレンガアーチって、芸術やとおもいます。京都にはねじりまんぽというレンガアーチが蹴上げのインクラインのところにあります。大文字山を上るときによく通るのですが、そういうことをこれまで全く意識していませんでしたが、笹田君(皮膚科医なんですが、超鉄道オタク)の著書を読んで、先日改めて見に行きました。
たしかに美しい。写真を撮り忘れたので、今度また取りに行ってこようと思います。
こういう物事をとことん追求する人っていいですよね。彼が研究にはまったらすごかったのではないかと思うのですが。。。
瀬戸内 寂聴, ドナルド・キーン: 日本の美徳 (中公新書ラクレ)
お二人が96歳の時の対談です。こういう方々がこの世を去られたことは、大きな痛手です。
対談を読んでいて感じるのは、「若い」というのは年齢とは関係ない、ということです。年を取ったら恥をかかないようにおとなしくするのでは無く、新しい事にずっとチャレンジしていく人生のほうがずっと魅力的です。多少は周りに迷惑をかけてしまうこともあろうかと思いますが、若い人も我々に迷惑をおかけることがあるので、お互い様、と割り切っていいと思います。僕はまだ老人ではありませんが、退官後の各先生方の生き方は本当にそれぞれです。
今をしっかり楽しんで行きたいです。それに関連して、「一夜賢者の偈」というお経にある「過去を追ってはならぬ。未来を願ってはならぬ。過去はすでに捨てられ、未来はまだ来ていない」というのは、いい言葉です。
仏教における「和顔施」と言う言葉があるそうです。相手に笑顔を施すことが徳になるという考え方なのですが、たしかにそうかもしれません。笑顔で挨拶をしっかりすることって、簡単なようで結構難しいです。
もう一つ、ドナルド・キーンさんが、日本人が戦時下や震災のような危機的な状況においてでも、整然と並ぶ日本の国民性の素晴らしさについて触れられたときに、瀬戸内さんが、「それは違う。お行儀がよいのでは無く、単に人と違うことをする勇気が無いだけ」と答えられています。たしかにそうかもしれないですね。また、コロンビア大のテッド教授の話が出てきますが、1945年の終戦時に、キーンさんに手紙を残されているのですが、その内容に戦慄を覚えました。「日本人は上からの命令に頼る性質を精算しなければ、ある一つの独裁政権から、別の独裁政権に移行する可能性がある」いまもあまり変わってないかもしれません。
この本の中に、「ノーベル賞が、まず三島由紀夫を殺し、そして後に、川端康成を殺した」とという節がありました。たしかにそうかもしれません。恐ろしい賞ですね。僕は、関係なくてよかった。。。いよいよ来月ですね。一年の短さを感じます。
正子, 白洲, 敏郎, 川瀬: 白洲正子 美の種まく人 (とんぼの本)
出張の合間に再読。最近亡くなられた瀬戸内寂聴さんや、森英恵さんらのような方々も素晴らしいのだけど、女性の中で僕がもっとも親しみを感じるのは白洲正子さんかな、と思います。
この本では、小児科医の加藤静充さんも登場します。加藤さんは、医師でありながら器や絵画も本当に素敵で、白洲さんと仲良しだったのは必然と思われます。
大崎 善生: 赦す人―団鬼六伝―(新潮文庫)
段鬼六を知っている人はあまりいないのかも知れませんが、独自の世界観をもち、また、それを世に知らしめた奇才です。この本のタイトルは「赦す人」となっていますが、赦す、というよりは「ありのままを受け入れる人」であり、また、父親もかなり変人であったため、異様な家庭環境のもとで育まれたキャラクターであることが良くわかりました。「ただ遊べ、帰らぬ道は誰も同じ」、僕もある意味同感です。
南学 正臣: 実験医学 2022年5月 Vol.40 No.8 腎疾患の分子標的を探れ〜代謝・ストレス応答・線維化を鍵とした病態解明
若手PI座談会「自分だけの突き抜けた研究をはじめよう」が非常によかったです。若手のみならず、僕らのような立場のものにとっても意義深い内容でした。
木村有太子 編著, 比留間政太郎, 松本忠彦: 教えて! うたこ先生 皮膚真菌症マニュアル
以前、みんなでお食事をしたことがある木村先生が、知らぬ間に、このような本を出版されていました。真菌って奥が深いので、このような本としてまとめていただくと、こちらとしてはありがたいですね!日皮会の総会でも多数売れていたみたいです。
石原慎太郎: 「私」という男の生涯 (幻冬舎単行本)
不適切な発言とかたまにあって、不快に思っている方も多いと思いますが、僕は石原慎太郎氏のことをずっと気に入っています。作家としてもですが、政治家としての突破力に対して魅力を感じます。
本書は彼にとっての遺稿ですが、亡くなる数年前から書きためてきたところが彼らしいです。これまでの彼の作品では、小林秀雄氏ら本当に多数の人物が登場し、交友関係は各方面に行き渡っていたはずですが、本書では、愛してきた女性や弟のことなど、ごくわずかの方に絞られています。また、仕事以外の話も、自分が死と背中合わせで成し遂げたヨットのことにほぼ限られます。彼は何が自分や国にとって大切かということがはっきりしていて、結局は自分の心を本当に突き動かしてきてものだけに絞られています。
そういう意味で、結局人生において、何が大切なのか、ということを僕自身が死ぬ早めの前に教えてもらった気がします。今は、組織のためにいろいろと頑張ってきています。それがいいとか悪いとかではなくて、自分が本当に納得してなくてやっていることは、やはりどこかできちんとけじめをつけていかないと人生あっという間にぽっくりなんだろうな、と思います。
周りの人から見ると、僕も随分勝手気ままに好きなことばかりやっているように写るかも知れませんが、もっとエゴイスティックに生きたいのだと思います。後輩の育成をしないといけない・・とか、そういう気持ちで彼らと接するのではなく、僕の好きなことをやる力強さを見せていくだけでも、それでも、後輩は勝手に育っていってくれるのだろうか、、、とか、そういうことを時々考えます。
一方で、ヘタに石原慎太郎氏の真似をしても、あかんとも思っています。
皮膚科でいうと、ちょっと似た方っています。北大の清水先生とか、おもいっきり好きなことをされていたように思います(現役の先生にもおられますが、言及は避けておきます。某M名誉教授とか、Y大のS先生とか・・・)。
以上は、個人的に考えている自分の頭の中ですが、僕のtake home メッセージとしては、この本はお勧めですよ、ということです。
宮地良樹, 常深祐一郎, 渡辺大輔: 皮膚疾患診療実践ガイド
宮地先生が編集された教書は200冊を優に超えるとのことで、驚愕の数字な訳ですが、その中で最も僕が良いと思っているのが、この本です。ただ、サイズが大きくなったので、ちょっと重たいですが。。。
特に良いと思うのが「発疹から診断する皮膚疾患」項です。僕は臨床の現場で最も大切なのが、この部分と思っています。
皮疹をみて、どれだけ多くの鑑別があげられるか、そしてそれをどのように鑑別するか。
日本に出ている教科書って、ほとんどが皮膚疾患の各論なんですよね。それではなかなか臨床力は挙がらないと思います。
ちなみに隣に写っている本はまさにそれを具現化したものです。僕がワシントン大学でclinical visiting fellowをやっているときに、研修医同士の勉強会で用いていた本です。本当に素晴らしい。こういう本を真面目に一冊作ると臨床の現場は助かると思います。どうでしょうか、宮地先生。。。。
永田和宏: あの胸が岬のように遠かった―河野裕子との青春―
読書は最後に読んだのが、永田和宏先生の「あの胸が岬のように遠かった」です。もう一ヶ月ほど前です。凄く感動したので、ブログで紹介しようと思っていながらあっという間に今となってしまいました。
NHKでもドラマ化され、女性自身などでも取り上げられていますから、すでに目を通された方も多いかと思います。
僕は、永田先生の知り合いでありながら、生い立ちの詳細など存じ上げなかったんですよね。それ故に、なんだか読んでいてちょっとつらくなったりして、すごーく時間をかけて読むこととなりました。おそらく一冊の単行本の中で、読み通すのに一番時間をかけた本なのではないかな。
モンティ・ライマン, 塩﨑香織: 皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章
ついに飜訳が刊行になりました。英語も凄く読みやすいのですが、飜訳がまた素晴らしい。皮膚の魅力を余すことなくつたえてくれて、僕は本当に嬉しい。本当は僕にこういう仕事ができれば最高だったのですが。。。
いろいろな経緯があってあとがきを書かせていただきました。ちょっと高い本ですが、超お勧めです。
小笠原 理: 実験医学 2022年4月 Vol.40 No.6 スパコン・クラウドを生命科学に使う〜ペタバイト時代を生き抜くためのシステム整備とデータ活用事例
湯川 秀樹: 旅人 ある物理学者の回想 (角川ソフィア文庫)
名著。是非、一度読んでみてください。僕の人生に大きな影響を与えた本のトップ10に入ります。
大栗 博司: 探究する精神 職業としての基礎科学 (幻冬舎新書)
この本を手にしたのはしばらく前なのですが、あまりに僕と出来がちがいすぎて、参考にならない。。。。自分の存在価値が、ちっぽけであるとショックを受けてしまいました。。。でも、そういう経験をすることも大切ですね。そして、そういう人には早々お目にかかれる訳ではないので、やはり、読書というのはええものです。
特定非営利活動法人地域医療・介護研究会JAPAN, 株式会社ヘルスケア・システム研究所: 新型コロナウイルスとの闘いII・看護師が見たパンデミック
本書は、NPOの地域医療・介護研究会によって著されたものです。
このNPOの会長の邊見公雄先生に寄贈していただきました。この本を読むと、我々の周りに溢れている情報や喧噪とは別にあるコロナの現場、看護師さんの献身の姿を知ることができました。
宮坂 昌之: 新型コロナの不安に答える (講談社現代新書)
宮坂先生とは、私が大学院生のときにトロンボキサン受容体欠損マウスの解析の際にご指導いただいたことを契機に長い間お世話になっております(幸いその論文は2003年にNat Immunolに掲載されました)。
最近では標準免疫学の監修者に加えていただき、長い間協働作業を行いました。そのときに、担当者が執筆した原稿に対して妥協なく推敲を繰り返されました。編集作業は予想以上に大変でしたが、おかげで他の追随を許さない素晴らしい教科書が完成しました。
新型コロナ感染は、100年に一度の災難に見舞われています。情報は溢れかえっていますが、その多くはきちんとしたエビデンスに基づいておらず、単に視聴率を上げればよい、というような「あおり系」の内容だったりします。となると、多くの方は、頭が混乱し、どのように対応して自身の身を守っていくべきかわからなくなってしまうのではないかと危惧します。
宮坂先生はこれまでも数冊の著書を執筆されていますが、今回の内容は、一般の方が気になっていることに対するエビデンスに基づいた回答が準備されています。我々はこのウイルスのことを正しく知り、恐れ、身を守る必要があります。
村上春樹: 女のいない男たち (文春文庫)
ドライブ・マイ・カー
まだ、この映画見ていません。でも、絶対にいつかみます。
この作品は「女のいない男たち」という短編集に出てきますが、この短編がどのように3時間を超える作品に仕上がったのか。脚本にもとても興味があります。僕自身は村上春樹さんの長編がもちろん大好きなのですが、このタイプの短編も大好きで、これを機に読み返しました。元々一番気に入っていたのは「木野」でした。今回もやはり心に響きました。どうも最近いろいろとうまくいかないことが多く(皆さんに心配していただくほどのことは全くございませぬ)、そういうことから身を守るには「不感症」になるのが一番で、でも、それは自分らしさや人間らしさを失うことにもつながります。何しろ、喜怒哀楽がなくなったらやっぱり人生つまらないですよね。
それ故、妻に寝取られてしまった男の悲しみを書いた「木野」は、やはり僕にはとても意味のある作品です。
大岩ゆり: 最後の砦となれ ~新型コロナから災害医療へ
新型コロナにより、この二年間で世界が本当に変わってしまいました。海外出張にいくこともままならず、webというvirtual空間での交流がメインの社会関係になってしまいました。
そしてこの状況がいつまで続くのか不明であり、また、今後も未曾有の災害が起こる可能性は常にあり続けます。
東北の震災のときの災害時の対応は、海外からも一部賞賛を受けたりもした訳ですが、今回の新型コロナへの対応から、日本が海外と比べて相対的な立ち位置が明確になりました。指揮系統がきちんとしていなくて、非常事態に対して脆弱な体制であることは明白です。
そろそろこの二年間を総括し、今後の災害医療に対してどのようにするべきかを考えるときがきている気がします。各自治体で頑張っているところはあり、その一つが本書で取り上げられている藤田医科大学であったり、山梨県などであったりします。
著者の大岩さんは、彼女が朝日新聞に勤務されていた頃からお付き合いさせていただいています。ご主人さん(須田年生先生)はシンガポールで研究されていますので、一緒にお食事をしたりしていたのですが、そういう機会も完全に奪われてしまいました。。。
本書は、ダイヤモンド・プリンセス号から現在までの新型コロナに対する対応に関する藤田医科大学を中心とした医療ドキュメンタリーです。いつかやってくる南海トラフ地震にどう備えるべきかについても提言があります。
朴 沙羅: ヘルシンキ 生活の練習 (単行本)
コロナで海外に行けない日々が続くことの一番いやことは、自分のこと、日本のこと、などを外から見つめる機会が減ることです。
よく世界で一番幸福度が高い国として知られるフィンランドですが、ヘルシンキに以前行ったとき、夜のバーなどはすぐ閉まるし、土日はお土産の買い物すらできない(ほとんどのお店が休み)、と僕にとっては全然幸せではなかった。ただ、市民の多くが英語を普通にしゃべるし、タクシーの運転手さんを始め、話をしていてもすごくきちんとしていて、国民が生きていく術をきちんと修得していると感じ、それ以来、ずっとこの国(というか北欧全般)のことをもっと深く知りたいと思っていました。
作家の朴沙羅さんは、社会学者で二人のお子さんを持つ母親であり、また、在日韓国人でもある。京大を卒業したあと立命館大などで教鞭をとったあとで、ヘルシンキへ移住。日本との違いをどちらが良いと決めつけることなくヘルシンキでの生活を淡々と語る。関西特有のユーモアもたっぷりで、楽しく、そして、一気に読ませていただいた。そしていろいろなことを考えさせてもらうよい機会をいただいた。コロナ禍で毎日が単調な日々でもあるけれど、こうして読書を通して違う世界を知ることができる。
いつか、この作者のような方に、政治にも関わってもらいたいと期待もしてしまうし、自分自身も世の中を少しでもよい方向に変えていこうとしなければ、ずっと日本の科学も大学教育も皮膚科の組織などもこのまま。正直、とても面倒くさいけれど、自分の関わることはやはり努力をしないといけません。
木村汎: プーチン 〔人間的考察〕
プーチンの実像を理解するためには、木村汎先生の著作はとても貴重と思います。3冊あるのでちょっと長すぎるかもしれませんが、それだけをかけて一人の人物を追うにたる、それほどの強烈な個性です。
オリバー・ストーン, 土方 奈美, 鈴木宗男・解説: オリバー・ストーン オン プーチン (文春e-book)
再読して改めてすごい本だと感心します。ユーモアを交えたり、うまく挑発して、彼の本音を引き出している。名監督としての力量を感じさせてくれます。アメリカやNATOは、ウクライナをもっと早くから守って上げられなかったのか、あるいはわざとこのような状況を生み出したのか。もしかすると後者かも。それによりロシア崩壊を導くために。
吉村 長久, 山崎 祥光: トラブルを未然に防ぐカルテの書き方
コロナは確かにピークを迎えつつあるようですが、病院はかなり逼迫した状況が続いています。たしかにオミクロンは弱毒化されてはいるものの、健常者が罹患しても結構しんどいケースが多いです。僕の妹ファミリーもかなり大変だったみたいです。それに一日の死亡者数はかなり多く、https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries
のサイトを見ると2/27の時点では、日本の一日の死亡者数は世界6位です。三回目のワクチンと、高齢施設などのリスクの高い方への感染を防ぐことが喫緊の課題となっている状況は全く変わっていません。
さて、こちらの教室でもベッドコントロールの難しさや看護師さんや医師不足(濃厚接触者や学校の休園など)に慢性的に悩まされています。医療安全の観点からもかなり大変な状況です。
少し話は変わりますが、カルテの書き方にも十分配慮が必要です。これは患者さんにとっても、我々にとってもとても大切です。こういう本で一度勉強しておくべきです。僕自身、非常に勉強になりました。
ポール・ナース, 竹内 薫: WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か
長年研究をしてきた基礎研究者でポール・ナース博士のことを知らないものはおそらくいないはず。偉大な研究者の多くは一般書を著しませんが、ナース博士はついに初の一般書を刊行。
ありがたい事です。
彼の素晴らしい点は、酵母を対象にした研究者でありながら、ヒト、昆虫などの幅広い生命現象に好奇心を持ち、そしてそれをわかりやすく他人に伝える能力が高いことです。基礎的なことから最新の医学知識まで網羅されていて、こういう本は中高生にも十分理解できるし、我々も楽しく読める。
こんな感じで皮膚の魅力を伝えることができれば良いのですが、私は未熟。。。。
金子柱憲: 誰も書けなかった ジャンボ尾崎
僕は以前、ゴルフはスポーツじゃないと思っていたし、また見ていても退屈に感じていました。そういうこともありAONのゴルフをあまり知りません。
ただ、最近の女子プロの発展の影に、ジャンボの功績があることは大きく、笹生、原英莉花選手を始め後進の育成に努めている姿は気になっていました。また、日本ゴルフの様々な歴史においてジャンボ尾崎は最高の一人であることも疑いない(松山選手はもちろんだけど)。それに高校球児として甲子園優勝投手でプロ野球からゴルフに転向したことも興味をそそられます。
ということで、一体どんな人物なのかに興味がわいたので本書を手にしました。
才能がある上に、飽くなき探究心、そしてたゆまぬ努力、さらには強い精神力。。。どの領域でも超一流の人に共通するすべてを持っているし、また、温かい人物であることがよくわかりました。
心技体ではなく、体技心という考えにも納得でした。心技体って、もともとは柔術家の古木源之助という明治時代の方が、
第一、身体の発育
第二、勝負術の鍛錬
第三、精神の修養
から来ているらしく、
「強靱な肉体がなければ、技術力を高めるハードな練習ができない。高度な技術力がなければ強い精神力が生まれない」
というのがジャンボの考えです。
これは、マラソンや研究にも当てはまります。
僕のマラソンのタイムが縮まらないことは、まさにその通りです。研究も臨床も強い体が必要です。でもこの三つは独立事項ではなく、三位一体ですね。いずれもが連動しています。
したがって、すべてを高めていかないとならないです。
若井克子: 東大教授、若年性アルツハイマーになる (介護ライブラリー)
いつ自分がこのような状況になっても不思議ではないと思っています。というか、もともとかなりぼけています。
僕自身が特定の宗教を信じていないので若井ご夫妻とは違うところもありますが、それでも違和感なく、自分のことのように感じながら読み進めました。避けては通れない道のりを、いま経験させてくれた若いご夫妻に感謝の気持ちで一杯になりました。
若井先生のことは、医学界新聞の最相さんとの対談記事もありますので、是非目を通してもらえればと思います。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2009/PA02814_01
それにしても、僕のような自分勝手な性格の人間には、かみさんがこうなった場合、どこまで向かい合うことができるのか、、、正直自信が持てません。あかんことです。
平尾 誠二, 岡村 啓嗣: 生きつづける言葉 情と知で動かす
出版プロデューサーという仕事があるんですね。岡村さんは平尾誠二さんや羽生さんなど、ラグビーや将棋の第一人者というだけでなく、人間的にも魅力のある方をずっと追い続けられています。平尾誠二さんにおいては高校生のときに既に魅せられたとのこと。
岡村さんは自分の存在を押し出さずにするっと相手の心の中に入ってしまっていて、そして、聞く力が高い。だから、蒼々たる人たちも心を開くのだと思います。
ちなみに岡村さんが写真を撮りたいと思う人って、10年20年後にどうなっているのか興味が沸く人、笑顔が素敵な人、でも、殺気だった表情も持ち合わせる人だそうです。
さて、この本、ここしばらくでベストの本。おそらく何度も読み返すことになると思います。平尾誠二さんのことを個人的に知っている訳でもないのですが、凄く心に響きました。いい人は膵臓癌に倒れることが多いように思うのは気のせいややろか。。。
大住力: 一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー【本書スペシャルカレンダー・フレームワークDL特典付き】
阪大の仲野徹先生と、人生一度切りなので後悔しない生き方をしたいですね、、、なんてやりとりをしていたら、この本を紹介されました。
この本のテーマは、人生の使える時間を見える化し、明日を変えて、本気で生きるための問いとワークブック、とのことでした。
僕は天邪鬼ですので、本書の中で著者が細かくアドバイスや指示を出してくれるのですが、それには従うことなく、流し読みをしました。
冒頭から「生きるとは、命とは、あなたの使える時間のことです」というところから始まります。そのあとで、この10年間で何回親と会えるでしょうか?というような具体的な質問事項が出てきます。冷静に考えたことはなかったのですが、年に一回会うとしても10回しかありません。それにいつまで親も元気でいるのかわからないですよね。親孝行できるときにやっておかないと。。。
そんな感じで、自分の人生を振り返ったり、また将来のことを考えるよい機会を得られました。一冊の本は1000円とか2000円。そういう本を読むのに要する時間は数時間。それで自分一人では得られない経験などが得られるのはとてもありがたい事です。
どこかで見かけたのですが、我々は生まれたときから遺伝子も家庭環境もすでに決められてしまっています。こればかりはなかなか自分でどうすることもできません。そんな中、本を読むことは誰にでもできるので、本を通して人生を豊かにすることは可能、、、みたいな内容でした。
たしかにその通りかと思います。
最後に本書に載っていたDisney氏の言葉より。
I reject "luck"-I feel every person creates his own "determinism" by discovering his best aptitudes and following them undeviatingly.
私は「運」というものを信じない。すべての人が、自分の才能を見いだして脇目も振らずに突き進むことで、自らの結末を紡いでいる。
大隅 良典, 永田 和宏: 未来の科学者たちへ
未来の科学者たちへ
大隅良典先生と永田和宏先生のお二人による著書です。永田先生には、皮膚の共同研究や吉森先生とのご縁もあって、仲良くさせていただいています。
さて、本書を通して、初めて僕は、大隅先生がどのようにしてオートファジーの研究に行き着いたかの詳細を知ることとなりました。なぜ液胞研究や酵母の研究に取り組んだのか、そしてどのようにしてオートファジーの現象に出会えたのか。。。。そこには大隅先生の好奇心のみならず、きれいな電顕を取ってくれる方がラボにおられたこと、そして酵母のみならず哺乳類や植物を扱う多様な人材をラボに集められたことなど、複数の要素から起こったのだと理解しました。そして、この過程を通して、大隅先生がいかに誠実なお人柄であるのかも改めて、良く伝わりました。
また、永田先生のラボの方針
1. おもしろい方を選ぶこと
2. 大股で歩くこと(確かな一歩のために、できるだけ遠くをみること)
3. 流行を追わず自分だけの分野に取り組むこと
にも共感を覚えました。また永田先生は、知の体力(この本は是非手に取って欲しい。与えられる知から欲する知へ)、待つことの重要性(鷲田清一先生も同じ事を述べられていました)を改めて力説されています。また、横柄なのはあかんけど、生意気な人は大好き、というのは、全くその通りでして、永田先生のまわりは生意気な人ばかりが集まっています(ただ、不思議なことに、みなさん、生意気で自己主張は強いですが、組織の足を引っ張ったり、他人の悪口を言って攻撃したりはしないんですよね)。
また、永田研の家訓も素晴らしい。
1. 自分の仕事と同じように他人の仕事をおもしろがられるか(これはとても重要で、うちのラボでも、他の人の仕事にいい質問ができる人と、全く興味を示さない人がいます)
2. いくつかの可能性があれば、最もおもしろい可能性から選ぶ
3. 自分のいるこの場所だけが世界だと思わない
4. 私が会った優れた研究者は例外なく面白かった
お二人の未来の若者たちへの愛のメッセージに満ちあふれたものとなっています。失敗を恐れることなく、好奇心を大切に頑張っていって欲しい、という願いは僕も全く同じです。役に立つかどうかわからなくても、自分の好きなことを見つけ、それにとことん打ち込む若手が現れてくることを願っています。
あと、京大ももっともっとよい大学になるように、僕らも努力しないといけないと改めて感じました。
中村 哲: 天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い
凶弾に倒れて2年。改めてこの本を読み直しています。
もしも本を読むのが苦手という人は、youtubeの「中村哲医師 二周年追悼の会 ─中村先生と共に歩む─」という番組をみてはいかがでしょうか。
僕自身はアフガニスタンには行けませんでしたが、30年ほど前に中村医師の活動されていた地域に比較的近いイスラマバードには足を踏み入れたことがあります。自分の育ってきた文化・慣習との違いに戸惑いつつも、でも人としての中身はみんな同じで、いや、日本人以上に温かかったりして、それが、僕の人生における大きな衝撃であり転機になった気がします。
いつかまた海外を訪れることができるようになりますように。
鈴木 忠平: 嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book)
今年僕が読んだ作品のNo1かも。野球に興味がない人には厳しいかも知れないけれど、途中で読み進めるのが惜しい気持ちになってしまった。あと20ページで読み終わりますが、もったいなくてストップ中。荒木のヘッドスライディングの動画をyoutubeでみたりしてうだうだしています。
葛西健一郎: 炭酸ガスレーザー治療入門 第2版: 美容皮膚科医・形成外科医のために
僕自身は炭酸ガスレーザー治療を行うことはありませんが、レーザー治療関連で専門的な相談をお願いするときはいつも葛西先生にお願いするようにしています。患者さんがいつも満足してくれますので。。。
さて、本書ですが、僕としては、どういう患者さんであれば、レーザーの治療がよりよいのかを知るために非常に役に立ちました。鼻瘤とかなかなか大学での手術治療や外用ではなかなか厳しいものがありますので。。。
あと、著者のコラムも本音全快です。自分が直接関わらない専門書としては、僕にしては珍しく一気に楽しく読ませていただきました。
三郎, 城山: そうか、もう君はいないのか (新潮文庫)
最近あまり読書の時間を確保できてないのですが、それでも毎日就寝前には必ず本を読んでいます。
本著は、前々から気になっていたのですが、漸く手に取ることになりました。城山氏の没後に見付かった作品で、原稿用紙もばらばらになっていたのをなんとかつなぎ合わせてできたものゆえ、ストーリーがちょっと途切れ途切れになったりするところもありますが、夫婦の繋がりについて考えさせられます。お互い生きている間にやれることをやっておかないと後悔してしまうかも。これは親孝行も同じですね。どうも一緒にいると、その存在のありがたさを忘れてしまいがち。まだ自分はそういう存在を失った事が無いから気づけてないのだと思います。
松山英樹: 彼方への挑戦
ゴルフ好きの人でないと、ほとんどが興味がわかないと思われます。ただ、松山選手は日本のゴルフの歴史の中で、イチローらにちかいレベルの存在と僕は思っています。
この本の中で、世の中にはSNSで発信したりするゴルファーがいるけれど、そんな余裕は自分にはないのでSNSもやらないし、自分のことの書籍化もずっと断ってきたけれど、今回マスターズで優勝して、スポーツ界の今後の事なども考えて初めて受諾した、とのことです。
僕らが同じような話を何度も色々な学会で話しているのとは、異次元の話。それくらいプロの世界は厳しいというのに、全く自分が情けなくなります。
ゴルフがうまくなるためのアドバイスは、自分をしっかり知ること、と彼は述べていました。そしてゴルフはうまくいかないから面白い、とも。マラソンもそういうところがあります。性格がMでないとはまらないスポーツと思います。まあ、どの世界も自分を追い込まないことにはトップになれないので、同じかも知れませんが。
綾辻行人: 黄昏の囁き 〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
こういうミステリーもたまに読んだりします。新装改訂版になります。
この領域はいま、北欧の作品が結構面白いんですよね。。。
余裕がなくなると読書量が減るので、それも自分の状態を反映する一つの良いバロメーターになっています。
ファインマン,リチャード P., ファインマン,リチャード P., Feynman,Richard P., 昌子, 大貫: ご冗談でしょう,ファインマンさん 上 (岩波現代文庫)
山崎 和久: 実験医学 2021年10月 Vol.39 No.16 口腔細菌叢〜健康と病気を操るもう一つの生態系
本号で興味深かったのは、論文執筆術の項で紹介されていた「シーケンシング」というテクニックです。読み手の脳に情報を流し込む技術の重要性を説かれているのですが、これは目にうろこ。読みやすい文章とそうでないものの違いはここにありそうです。
そのほか、「研究者の描かれ方が印象的な本」も興味深いものでした。石坂公成先生の「我々の歩いてきた道」は間違いなく名著だし、僕だったらファインマンさん関連や、藤原正彦さんの「若き数学者のアメリカ」などもおすすめしたいところです。
清原祥夫, 佐藤淳也, 田口真穂: モーズペーストを使いこなす
かなりマニアックな教書ですが、それ故に、かゆいところまで手が届いており、現場においてはとても有益な本です。僕がvisual dermatologyでお世話になっている学研メディカルからの出版です。
江藤隆史, 常深祐一郎, 出光俊郎, 村田哲: 臨床力が高まる皮膚科診断クイズ 上
教科書を読んでもなかなか頭に入らなくても、case問題であればなんとか勉強できる、という人は多いのではないでしょうか。特に僕のように負けず嫌いなタイプにはこの教書はもってこいです。しかも正答率まで記載されていますから。ちょっとマニアックな病気も多いですけど、最近は専門医試験での要求度も上がっていますし、良いトレーニングになるのでは。
Visual Dermatologyの編集委員ではありますが、この企画には僕は携わっていないのですけれど、人気コーナーになっています。
中村 哲: 天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い
アフガニスタンには長年行きたいと思っていながら実現できぬまま現在に至っています。イランも同じ状況。。。
そんな中、アフガニスタンにはますます行きにくくなってしまいました。タリバンが政権を取ってしまうようでは、ベトナム戦争のときよりももっとひどい引き際と感じてしまいます。中村哲先生のことを思い出して、ちょうど本書を手に取ったときに、このニュース。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6403669
生まれた瞬間から、人は平等ではなく、自分は恵まれていることを感じると同時に、それが当たり前としか思っていないのが実情です。ただ、この平和も未来永劫続くとは限りません。自国はいろいろな意味で強くないと。次の総裁選が誰に決まるのか、やはり気になります。
河野 太郎: 日本を前に進める (PHP新書)
総裁選始まりましたね。「ごまめの歯ぎしり」の記事を読む限り、センスの良い方と思っていましたので、micro managementは大丈夫だと感じていました。ただ、それと政策とはやはり別ですので、実際どのようなことを考えているのかを理解したいと考え本書を手にしました。生い立ち(どのようにジョージタウン大卒に至ったのかはずっと気になっていましたが解決)、父親への生体肝移植への決断、国際戦略、防災対策、エネルギー政策、社会保障制度やデジタル化、教育の重要性など、どれもわかりやすくしっかりしたものと感じました。本書がある意味マニフェストになっていると思います.総理大臣候補の中では最も期待が持てるのではないでしょうか。。。もちろんこの手の本を自身でどこまで書き上げたのかなどはわかりませんが、読んでいて、彼らしい言葉がたくさんでてきましたので、本当にそう思っているものと思われるし。。。文春でパワハラと叩かれたりして、少し脇が甘いところがあるのですが、そういうところをどこまで社会や自民党が寛容できるかもポイントになってきそうです。問題が山積みの今の日本なので、誰が総理になっても大変と思いますが、期待してしまいたくなるキャラですね。。。
邉見 公雄: 令和の改新 日本列島再輝論
赤穂市民病院名誉院長の邊見先生の著書。熱量の塊のような先生です。医療を取り巻く世の中の在り方についてのご意見は、どれも明快です。
今井眞一郎, 瀬川茂子: 開かれたパンドラの箱 老化・寿命研究の最前線
老化研究の最前線の研究をされている今井先生の新刊です。今井先生の生い立ちも語られていました。これまで美容の研究は皮膚科領域の中で、なかなか受け入れてもらいにくい雰囲気がありました。しかしながら、今後は老化研究は間違いなく花形となる時代が来ます(というかもう来ているのかも)。
沖真弥, 大川恭行: 実験医学 2021年9月号 Vol.39 No.14 空間トランスクリプトーム
この特集、非常によかったです。空間トランスクリプトームはこれからどの臓器においても趙重要なツールになることは疑いなく、その最先端の情報が満載でした。
宮坂昌之: 新型コロナワクチン 本当の「真実」 (講談社現代新書)
コロナ関連におけるコメンテーターとして僕が最も信頼している方が、宮坂先生です。大変お忙しい中、世のためによくぞ書いてくださりました。本当にありがたいことです。
コロナ解説書の決定版、という帯の文言に偽りはありません。
嫌ワクチン本がベストセラーになるというちょっと異常とも言える世の中ですが、本書を手にして、是非、正しい知識を身につけ、そして自分の体を守って欲しいと思います。
平野啓一郎: 本心
この作品ほど彼の日常考えていることが素直に作品にぶつけられているものにお目にかかったことはありませんでした。ちょっと左寄りで鬱陶しいと感じるところもありますが、僕はこの作品、かなり気に入りました。
イシグロカズオの「クララとお日さま」のようにAI人間との関わりを通して人間の本心に迫るという設定。人を人でない対象を通して見つめる、というレトリックですが、イシグロカズオの作品とはまた違った良さがありました。普段はあまり小説を読まないのですが、一部の作家の小説は欠かさず読みます。平野啓一郎氏も数少ないその一人です。今後も読みつづけると思います。
松林 弘治: シン・デジタル教育 10年後、わが子がAIに勝つために必要なこと
タイトルはちょっとキャッチィな感じがしますが、至って真摯な内容です。お子さんの教育において、我々にとってなじみのないプログラミングとどのように付き合っていけばいいのか、そういった悩みにきちんと答えてくれています。
一方で、これは子供の教育のための書籍ではなく、我々大人がプログラミングやITリテラシーを学ぶ上でもとても有益な内容となっています。
サイエンスと同じですね。正しい知識と、自分の頭で論理立てて考えることの重要性は普遍です。それができないと、ワクチンに対してきちんと自分で判断できず、ワイドショーや週刊誌のいい加減な記事に振り回されてしまうことになります。
ここ最近でがっかりしたことは、ゴルフの松山選手がワクチンを打っていなくて、コロナに感染してしまったことです。あれだけの観客がマスクをしないで応援しているわけですから、選手は当然全員ワクチンを打っているべきなのに、、、、。
もう一つは、「メジャーリーグのホームランダービーで大谷選手が初戦敗退したこと」ではなく、モニター越しに、多くの観客による大歓声がみられたことです。オリンピックを無観客で行わなければならない日本とは大違い。どちらが正しい、という理論ではなく、ワクチン接種が遅れてしまっていること、また、ワクチンのリスクとベネフィットの関係性が、まだ国民にきちんと理解してもらえていないことは、非常に残念と言わざるを得ません。
半藤 一利: 歴史探偵 忘れ残りの記 (文春新書 1299)
先日友人に、ブログを更新する頻度が落ちたね、との指摘を受けました。その通りなんです。
現地参加の学会も激減し(先日の日本皮膚科学会総会は、きちんと病院長の許可を得て参加できましたが)、日々大学と自宅の往復を黙々とこなし、人との出会いもほとんどなくなってしまったら、もはや読書や新聞の感想文くらいしか頭の中に浮かんできません。というか、人に伝えたい、と思うメッセージがあまり出てこなくなってきたように感じます。
論文と同じで、それなりに新しいメッセージがなければブログを書く意味もないですし。
そんな中、先日は立花隆さんについて触れましたが、実はその少し前に半藤一利さんの死も僕に取って寂しいものがありました。
昭和がどんどん失われていく、、、、、。
「歴史探偵 忘れ残りの記」をいま読んでいます。その中で、戦後初の日本でのストライキが上野高女の女学生によるものとしって驚きを禁じ得ません。戦後に女学生が勉学に勤しみたいのに学校では農園作業を強要されたことに対して起こったものであるとのこと。そんな根性は、今の学生には考えられないです。コロナで授業がなくなっても、こんな行動を起こそうという学生はいないでしょう。
そのストライキからはもはや76念の年月が経ちましたので、彼女たちも92才とかな訳ですが、彼女たちがその後どのような人生を送られ、そして今の若者に対してどんな思いをもたれているのか。いかに深い失望の淵にいるのか。。。
水島 昇: 科学を育む 査読の技法〜+リアルな例文765
研究者として成長していく過程において、査読から避けて通ることはできません。
自分の論文は査読のプロセスを得て評価を受けるわけですが、その査読をどのように行っていくのか、ということをしっかり理解しておく必要があります。
僕自身も論文の査読をこれまで数多く行ってきましたし、これからもそれは続きます。ただ、いろいろなことを学んでいくまでにずいぶんと時間がかかりました。
本書には、査読の際に重要なことが具体的かつ明快に記載されています。これを知っているか知らないかで査読に向かうこちら側の心と頭の準備が圧倒的に変わってくることと思います。
超一流の研究者が本書を執筆してくださったことも大変ありがたいことで、実験医学に連載されているときから是非書籍化してほしいとねがっていましたが、ついにそれが実現しました。
これまで査読をしたことがない人も是非読むといいです。評価する側の気持ちや技法を理解すれば、論文の執筆の仕方も変わって来ます。
ということで、超おすすめの一冊です。
清水建二, すずきひろし, 本間昭文: 英単語の語源図鑑
この本、かなりいいと思います。語感を養うことは、日本の一般的な英語の勉強の仕方ではかなり困難なので、こういう本を利用するのは便利。ベストなのは、原著をたくさん読むことで、これにまさるものはないのでしょうが、これはこれでなかなか大変なので。。。
藤尾秀昭, 稲盛 和夫, 柳井 正(ほか述): 1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書
リーダーは孤独、とはよく言われたもので、僕もある意味同感です。というのも最後は自分が責任を取らないといけない訳で、また、どうしても周りと相談できないような案件も多いからです。
とはいえ、では、自分を孤独と感じているかというと、以前よりはそう感じなくなってきたかな。自分自身があまり無理してリーダーたろうとせず自然体でいられるようになったからかもしれません。
しかしながら、自分自身の成長を止めるわけにはいかないので、そういうときは、もちろん自身の経験をいかして行く事が大切だけど、読書に負うところも大きい。
「致知」という雑誌を知っている人はいるでしょうか。僕はこの月刊誌をしばらく定期購読していましたが、リーダー論本としてでなく、人としての生き方、道徳、倫理などについて日本のトップの方のいろいろな意見を伺えてよかった。
その雑誌の記事をまとめたのがこの一冊。稲森・千玄室・羽生善治・平尾誠二・山中伸弥・安藤忠雄氏などが登壇。一人一ページずつ故に内容は流石に少し薄っぺらになってしまうのは愛嬌として、いい本と思います。
仲野徹: 考える、書く、伝える 生きぬくための科学的思考法 (講談社+α新書)
なんやかんやで仲野先生の本はすべて読んでるんですよね。。。阪大の総長選では破れてしまって残念でしたが、それでもなにかおもしろいことをずっとやられていくのだと思います。
アレックス・カー: ニッポン巡礼 (集英社新書)
海外の方にとって、日本はどう映るのか、ということにずっと興味を持っています。そういう意味で、ドナルド・キーンさんや、アレックス・カーさんのような方から学ぶことはとても多く、本書もその例に漏れません。
本書で紹介されている地域の幾つかはまだ訪れたことがありませんでした。今年の夏休みは、可能であれば東北をゆっくり回ってみたいと思っています。
さて、カーさんは、「日本の文化には、表と奥、顕と密のように常に二つの要素が備わっているように思います。そこでは表より奥、顕より密が、神秘的で深い意味を持つとされています。つまり、簡単に見ることができず、人目を少々忍ぶくらいのものの方が、すばらしいのです」とはじめに述べられています。研究にもそういうところがあるように思うし、それ故、かつては日本からよい研究が産まれたのではないかと思います。今の情報合戦のような研究は、乗っからないとどうしようもない反面、抵抗感も僕の中で根強く残っています。
佐藤学, 上野千鶴子, 内田樹, 長谷部恭男, 杉田敦, 髙山佳奈子, 木村草太, 後藤弘子, 池内了, 三島憲一, 永田和宏, 鷲谷いづみ, 津田大介: 学問の自由が危ない
D.サダヴァ, 小松佳代子, 石崎泰樹, 中村千春: カラー図解 アメリカ版 新・大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス)
旧版も素晴らしかったのですが、更にパワーアップして11年ぶりに帰ってきました。生物学全般を見渡すのにこれほどコンパクトに纏まった教書はなかなか見つからないと思います。おすすめはまずは第一巻ですの細胞生物学です。第2巻の分子遺伝学や第三巻の生化学・分子生物学も大変勉強になります。ブルーバックスシリーズは、僕は中学の頃からずっと愛読してきました。
宮坂 昌之: 標準免疫学 第4版
宮坂先生のリーダーシップのもと、小安先生と一緒に編集に関わらせていただきました。これまでいくつかの教書の編集を務めさせていただきましたが、今回の作業はこれまでの10倍くらい大変でした。対象は主に医学部の学生さんですが、正しくそしてupdateされた知識を盛り込むだけでなく、免疫学の魅力を感じてもらえるように意識して、作業を続けました。分担執筆をされた先生方には、不快に思われるのではないかと心配になるくらい、reviseをお願いいたしました。。。
最終的に、素晴らしい教書となりました。医学部学生のみならず、免疫に携わる方には是非手にとっていただきたいと思います!!
柳美里: JR上野駅公園口 (河出文庫)
全米図書賞受賞作品とのことで、手にしてみました。https://web.kawade.co.jp/bunko/3906/
王 貞治: 野球にときめいて-王貞治、半生を語る (中公文庫)
プロ中のプロの方の考え方は、どの世界でも通用します。コロナ堝で人との出会いが減る中、読書はそれを補ってくれますよね。
葛西健一郎: Dr. 葛西の 基礎から学ぼう 医療レーザー脱毛入門ークリニックスタッフ応援テキスト
自分自身はレーザーのことを全然扱えない皮膚科医ですが、知識としては持っておく必要があるかと反省し、完読しました。脱毛レーザーも奥が深いです。僕自身は、トレランするときに脛の毛が邪魔してきちんとテーピングなどができなかったため、家内にお願いして脱毛してもらったことがあります。
羽生 善治, 岡村 啓嗣: 瞬間を生きる
先日日経の夕刊を見ていたら、羽生さんが素晴らしい顔をしている写真が目に止まった。そしてこの本は、岡村さんが30年以上かけて撮影してきた写真をベースに羽生さんの言葉が綴られている。この本の書評を書かれた芦沢氏と全く同じ衝撃が僕にも走ったわけで、早速購入しましたが、僕も、これから何度となく、この本を手にすることになると思われます。
羽生さんは超一流の棋士のみならず、僕の中では哲学者でもあります。
カズオ イシグロ, 土屋 政雄: クララとお日さま
読み始めました。「私を離さないで」を想起させる書き出しで、これは絶対に面白いことを確信しました。
日経の記事で、彼はこのように述べています。
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「小説に登場する科学者がこんなことを言います。『人間の肉体のどこを探っても(魂なんてものは)何も見つからなかった。だから、愛する人の脳からすべてのデータを発掘して機械に移したら、それが愛する人の替わりになるよ』と。古風な私は納得できません。『君は間違った場所を探しているんじゃないか』と言い返したくなる。魂といわれるものはおそらく、その人を大切に思う周りの人々の感情の中にこそ宿っているのではないでしょうか。これは科学者からしてみれば、あまり優れた思いつきではないかもしれない。でも、私は(小説家として)そのように答えたい」
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週末に時間がしっかりとれるときにじっくり向き合うことに決めました。
ジム・アル=カリーリ, ジョンジョー・マクファデン, 水谷 淳: 量子力学で生命の謎を解く
後輩に紹介されたので早速読んでみた。まず、生命に関する読み物として、十分面白い!ただ、量子力学の細かいところまで理解が及ばないところも多々ありましたが。この領域は、学生時代にシュレーディンガーの「生命とは何か」を読んで以降、久しぶりに勉強することとなりました。
僕自身は、自分の疑問の解決のための、量子力学の応用の可能性について検証するために、この本を手に取ったのですが、それはまだ難しい。酵素反応や嗅覚などの生体応答の詳細な機序のところで量子力学により理解は深まれど。。。
また、量子力学を使わなければ理解できない疑問、そして、現在の量子力学で解ける可能性がある疑問が自分の中で描くことができればよかったのですが。。。これは次世代の若手に引き継がれていくことかと。
まずは、現在利用可能な科学技術でぎりぎり解き明かせそうな疑問に取り組むことでも十二分に大変なことです。
読書猿: 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
これ、面白いです。哲学書のようでもあります。全てを読もうとすると、それだけで挫折すること請け合いなので(800頁ほどありますから)、自分に関心があることがらだけでも読めばいいと思います。
これで2800円とは。。。医学書になれている自分からするとあり得ない価格。
吉森 保: LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義
この本は、万人に手にとって欲しいと思います。ライフサイエンス全般に触れられた前半は、特に大学生くらいの若者に読んでもらいたい。サイエンスとは何か、科学的思考が生きていく上でいかに大切であるかが理解して貰える事でしょう。
後半は吉森先生のライフワークであるオートファジーの話が中心ですが、科学者でなくても読んでいてわくわくできる内容です。科学の事を理解するのではなく、科学の面白さを伝えてくれる良書で、本当にお勧めです。
僕にとっては、「科学者のほとんどはフォロワーであり、ファウンダー(オートファジー領域で言うところの大隅先生)がいかに貴重な存在であるのか」ということを改めて知らしめて下さった点が心に残りました。僕の仕事でファウンダーと呼べるものはまだ何一つ残せていません。いつも心に引っかかるところです。
入江 浩之, 椛島 健治: 実験医学 2021年2月 Vol.39 No.3 治療の概念が変わる かゆみのサイエンス〜その理解から皮膚炎の悪循環を断ち切れ
教室の後輩の入江君と一緒に特集に取り組みました。優秀な執筆陣に恵まれて、素晴らしいできになったと自画自賛です!
以下、企画者の言葉より:
実験医学2021年2月号
かゆみのサイエンス〜皮膚・免疫・神経によるクロストークの理解と創薬への展開〜
かゆみは「掻破行動を伴う皮膚の不快な感覚」と定義される。かゆみが直接的に致命傷をもたらすことはないが、慢性的に続く激しいかゆみは生活の質を著しく低下させ、精神をも蝕んでいく。かゆみに苦しむ罹患者数を考慮しても、その治療は非常に重要な役割があると言える。しかし、かゆみのメカニズムは複雑であり、長らくその理解と治療の選択肢は十分とは言えなかった。
近年、様々なアプローチからかゆみのメカニズムが徐々に明らかにされつつあり、新規の治療薬も登場してきている。本特集では、最先端のエキスパートに、基礎・臨床医学の両側面からかゆみの解説を依頼し、さらに今後の治療展開についても紹介していただいた。読者の方には、皮膚・免疫・神経によるクロストークの観点から包括的にかゆみを理解していただければ幸いである。
入江浩之・椛島健治
板橋繁: 世界標準のスイングが身につく科学的ゴルフ上達法 (ブルーバックス)
科学的ゴルフ、というほどたいして科学的でもないのですが、巷に溢れている本よりは、理屈が比較的しっかりしていると思います。
倉本 昌弘, 本條 強: シングルへの道 倉本昌弘のゴルフ上達問答集 (日経ビジネス人文庫) (日経ビジネス人文庫 グリーン く 1-2)
プロのアマチュアゴルファーに対する本音のアドバイスが余すことなくかかれています。この本を読んで開眼したように感じ、しかし、現実はそう上手くいかないことの連続。マラソンと違って、努力に比例してうまくならないのがゴルフの難しさであり面白さでもあります。あまりのめり込むと仕事に差し支えるのでほどほどに。。。
岡本 綾子: 岡本綾子のすぐにチェックしたい!ゴルフの急所 日経プレミアシリーズ
レッスンプロが執筆した教書もいいんだけど、やはり僕は世界を極めた人の言葉の方が響きます。
ベン ホーガン, Hogan,Ben, 紘, 塩谷: モダン・ゴルフ ハンディ版
バイブル的な書。多くのゴルフ雑誌などをよんできましたが、基本はここにありますね。
村上 龍: MISSING 失われているもの
村上龍氏の作品の中で、僕に取ってはナンバーワンかな、と。ただ、最後まで読まずに途中で取ってあります。終わって欲しくないし、いま、どんな終わり方をするのだろうと想像しているのが楽しいので。
アイリス・チュウ, 鄭 仲嵐: Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔 (文春e-book)
2020年に一番気になった人の伝記。ちょっと誇張がありますが、それでも面白い。こういう人材をしっかり生かせる台湾という国の魅力も感じました。
以下、ブックデータベースより
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新型コロナウイルスが席巻する中、いち早くマスクマップアプリを開発。世界に名を馳せた台湾のデジタル担当相には、逸話が多い。いわくIQ180、学歴は中卒、独学でプログラミングを学び、シリコンバレーで成功した起業家、1ページ0.2秒で資料を読む、トランスジェンダー、学生運動を支持する無政府主義者―ハンドルネームAuで知られる伝説の天才は、「人工知能は永遠に人間の知恵に取って代わることはない」と語る。時代に選ばれた新しい才能を徹底解剖する。
今井 むつみ: 英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)
英語がもっと使いこなせるようになりたいと願う人は多いと思います。自動翻訳などが進んでいるとはいえ、少なくとも僕の世代くらいまではやはり英語がそのまま使える方が随分と便利と思われます。それに自分の語感というものがあるので、それを大切にしてコミュニケーションを取りたいので、やはり今も英語は日々勉強しています。
また、英語の勉強法は、これだけネットの環境が整っていることもあり、効率の良いものが出てきています。そういう情報は本書のような書籍を介して得るのが一番手っ取り早いです。ということで、この本はおすすめです!
大塚和徳: 日本のゴルフ聖地100 (日本経済新聞出版)
登山では、「日本百名山」という名著がありますが、ゴルフでも類似の本はありまして、例えばこの本。
日本にはゴルフ場が2000以上あり、国別ランクでも世界3位といわれていますが、数だけでなく、素晴らしいゴルフ場もたくさんあります。
こういう本を見ていると、国内外の色々なゴルフ場をリタイア後に回ってみたいなあ、、という夢が沸いてきます。ゴルフは年をとっても楽しめますし。
ちなみに今のところ、この100聖地のうち、10箇所くらい回っていました。
ジュンイチ・セキメンティウス: ランゲルハンス細胞の夕べ
知り合いの方が執筆されました。化粧品会社にお勤めですが、長い間ランゲルハンス細胞をはじめとする皮膚免疫の研究に携わってきた同士です。ボルドーでの学会では、ワイン博物館でも遭遇してしまいましたので、その点でも同士です。
さて、70頁ほど薄い本ではありますがランゲルハンス細胞愛に満ちあふれた書です。皮膚免疫オタクの方に、お勧めです!!
宮坂昌之: 新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)
コロナウイルスにおいて、最も信頼できる情報を発信していると僕が思っているのが宮坂先生です。「新型コロナウイルスを正しく知ることが、私たちにとって今最も重要なことです。最新の科学データを元に書かれた本書は、大いにその手助けをしてくれるでしょう」と山中伸弥先生も推薦されています。
コロナに関連する現在巷に溢れている情報は、必ずしも全てが正しいわけではありません。それ故、朝のニュースをみてもあまりよい解決にはなりません。ですから、こういう本を読んで勉強して、情報をきちんと自分の頭で解釈して行動していかないといけません。
一般の方にはちょっと難しいところもあるかと思うので、全てを理解しようとせずに、自分に関心のある章を拾い読みしていくだけでも十分価値があります。
島田 眞路, 荒神 裕之: コロナ禍で暴かれた日本医療の盲点 (平凡社新書0957)
先ほどの記事では、物事を変えるエネルギーのない日本を国民病、とか書いてしまいましたが、例外もあります。すぐにぴんとくるのが本庶佑先生、そして島田眞路先生です。
ちょうどいまこの本を読んでいますが、結構根深い問題を取り上げて下さっているので、すいすいと読み進めるわけに行かず、かなり僕自身が考えさせられています。。。
「日本のPCR検査体制は“恥”」との発言で有名になってしまいましたが、コロナにおける対応のみならず、日本の医療政策における問題点を掲げ、そしてそれにどのように行動してきたかが述べられています。そこらの教授や病院長ではとてもできないリーダーシップと実行力の凄さは、僕自身が日本研究皮膚科学会や日本皮膚科学会で目の当たりにしてきました。自分の利益のためでなく、動くから周りもついてくるのでしょう。巷にはマッキンゼーやハーバードでMBAを取った程度の人によるビジネス書が溢れかえっていますが、心に響くのは、逆境の中で自らの責任の下でリーダーシップを取って世の中を変えてきた人の言葉です。真似はできないですけど、そのスピリッツは僕の中に確実に刻まれています。
Lee,Min Jin, リー,ミン・ジン, 真紀子, 池田: パチンコ 上
今年の後半期ナンバー1でした。きっかけは、どこかの書評でみかけ、そして先月だったかの文藝春秋で村田沙耶香(コンビニ人間の著者)との対談をみかけたことです。
今年は熱源、オルハン・パムクの作品群と今回のパチンコという素晴らしい作品に出会えてかなり幸せ。
以下、amazonの紹介文です。
「日本に併合された朝鮮半島、釜山沖の影島。下宿屋を営む夫婦の娘として生まれたキム・ソンジャが出会ったのは、日本との貿易を生業とするハンスという男だった。見知らぬ都会の匂いのするハンスと恋に落ち、やがて身ごもったソンジャは、ハンスには日本に妻子がいることを知らされる。許されぬ妊娠を恥じ、苦悩するソンジャに手を差し伸べたのは若き牧師イサク。彼はソンジャの子を自分の子として育てると誓い、ソンジャとともに兄が住む大阪の鶴橋に渡ることになった…一九一〇年の朝鮮半島で幕を開け、大阪へ、そして横浜へ―。小説というものの圧倒的な力をあらためて悟らせてくれる壮大な物語。構想から三十年、世界中の読者を感動させ、アメリカ最大の文学賞・全米図書賞最終候補作となった韓国系アメリカ人作家の渾身の大作。 」
正直何カ所かは、僕の感覚とはずれるところもあるのだけど、それでも圧倒され続けました。また、大学時代の在日の友人のことも思いながら読んでいったのですが、これまでなかなか理解できなかった友人の一面も、自分なりに納得できた気もします。また奴と飲みに行かねば。ともかく、こういうのは、僕がぐだぐだいうよりも先ずは読んでもらうのが一番ですね。
ただ、なぜ、こんなに高いんでしょう。2冊で5000円って。。一方、英語をkindleで読めばわずか300円。僕は、ジョギングの楽しみにしていたので原著をaudibleで聞きながら(これもaudible会員なので1000円くらい)、ただ、ところどころわからないところはkindleでちょっとチェックしたり、、という感じで楽しみました。
英語は凄くわかりやすいので、勉強がてらkindleで原著を読まれることもお勧めです。
本庶 佑: 幸福感に関する生物学的随想 (祥伝社新書)
ノーベル賞受賞記念講演の原文とその日本語訳などが掲載されています。若い方に是非読んでいただきたいですね。
僕は受賞講演をliveで聴講しましたが、本当に鳥肌が立ちました。その感動はまだ感覚として残っています。
河本 宏, 辻 真博: 実験医学増刊 Vol.38 No.17 新規の創薬モダリティ 細胞医薬〜細胞を薬として使う、新たな時代の基礎研究と治療法開発
現在の医療における医薬の中心は、化合物や抗体製剤などの薬物療法です。しかし近い将来iPSに限らず、細胞を用いた医療が現実のものとなりつつあります。
そんな未来の到来を感じさせてくれる実験医学の増刊号が「新規の創薬モダリティ 細胞医薬」です。
編集は京大の河本宏先生とJSTの辻さん、というこれまた不思議な組み合わせです。内容はIPS, CAR-Tなどの最新情報から、その実現に向けた社会実装にまで網羅されており、いよいよそういう時代が来るんだなあ、と実感させてくれる素晴らしい内容でした。
個人的には渡邊武先生の人工リンパ組織の話や、河本先生と辻さんが執筆された序章「細胞医薬の歴史」とその将来展望により良い刺激を受けました。皮膚科領域でも、細胞医薬の可能性は十分あるし、また、実際に人工皮膚などは臨床応用されています。皮膚科はかなりこの領域にaffinityが高いです。
綾辻行人: シークレット 綾辻行人ミステリ対談集in京都
それほどミステリーは読まないのですが、綾辻さんの作品はかなり読んでいます。今回の対談集を通して綾辻さんの交友関係のみならず、プライベートなところも知ることができました。
カズオ イシグロ, 土屋 政雄, 石川 悦子, Audible Studios: 忘れられた巨人
まずは日本語訳を読んだのですが、どうも頭に入らず、半ばで挫折。気を取り直して原本をaudibleで聞きながら通勤ランを続けましたが、途中で何度もstoryからlostしてしまい、なんとも消化不良な状態のまま読了(聞了?)してしまいました。
また、もう少し自分が成熟したときに読み返すことにします。
田中ひかる: 明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語
今や全医師の2割を超えたわけですが、それでも海外に比べると少ない。そしてそれ以上に、学会や大学で主要なメンバーとなって活躍している女医さんの割合は極めて低い印象があります。特に欧米と比べると。。。
この問題は根深いわけで、そのとっかかりを理解できるかな、と思って本書を手にしました。
以下に、レビューがあります。
https://fujinkoron.jp/articles/-/2243
僕が感じるのは、男女に関わらず、とにかく世の中元気がない、ということです。「何があっても成し遂げたい」という意欲が内から沸いてこないのか、ダメと言われればすぐに諦める。
日本は本当に変わったと思います。そういう憂いをさらに感じた週末でした。
デルぽん: 皮膚科医デルぽんのデルマな日常
吉木先生の漫画デビューから程なくして、別の漫画が出版されました。世の中には多才な人がいるもんですね。。。
ちょっと皮膚科を卑下しすぎなところもありますが、笑いを誘う呼び水なのでOKです。
こういう人材の多様性も皮膚科の魅力的なところかも知れません。
大原國章: 大原アトラス5 色素性の母斑
最新刊を入手しました。
大原先生とは、先生が編集員長と務められているVisual Dermatologyという雑誌の編集委員に加えて頂いてから接する機会が増えました。そして、一緒に編集会議をやっていて感じるのは、臨床で大原先生に叶う人は国内にいないんじゃないか、ということです。かつては手術領域で有名な先生、というイメージでしたが、全ての領域で知識・経験があり、また、きれいな写真をきちんと残されています。経時的な変化もしっかり追われていて、優秀な頭脳を持った方が、臨床に打ち込まれると、無敵だなあ、、と。これは研究でも同じで、世の中には優秀なPhDの人がたくさんいて、彼らは僕らが臨床やら会議やら講演会やらに出ている間に、ほぼ全てのeffortを研究に注ぎ込みます。例えば留学中のボスのJason Cyster先生はそんな感じでした。となると、僕がいかに中途半端なのか、と愕然とすることになります。
ということで、大原先生のアトラス、凄く勉強になります。今週末、自宅に持って帰ってのんびり眺めていこうかと思っています。
内藤幹彦: 実験医学 2020年9月号 Vol.38 No.14 実験にも創薬にも使える!プロテインノックダウン
ここ数ヶ月、水島昇先生が査読に関するアドバイスを連載してくださり、今回は、今井眞一郎先生、中山敬一先生、田口英樹先生との対談「私達の査読のリアル」であった。
これは僕に取ってはとても参考になるものだったし、また、多くのポスドク以上の研究者にとって示唆に富むものと思われる。reviewの依頼をどれくらい引き受けるのか、という線引きにも良く悩まされるわけですが、中山先生は、「自分がそのjournalに通したい」と思っているところからは引き受ける、とのこと。その気持ち良くわかります。
この連載は書籍化されるべき。
大岩 ゆり: 新型コロナ制圧への道 (朝日新書)
以前、朝日新聞の科学部の記者をされていた大岩さんが、フリーランスのライターへと転身された。その第一弾が本書となるわけですが、いきなり、重厚なテーマを非常に冷静かつ俯瞰的に取り上げられている。
公衆衛生のみならずサイエンスの観点の記事もわかりやすいし、ペスト、スペイン風邪、インフルエンザなどの歴史から学べることも徹底的に調べられていて感心しきり。
スペイン風邪のときに与謝野晶子が横浜貿易新報に寄せた文に、「盗人を見てから縄をなうというような日本人の便宜主義がこういう場合にも目につきます。」とか寺田寅彦の言葉「ものを怖がらなすぎたり、怖がりすぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい」には、うなづくのみです。
1919年のスペイン風邪の際に、内務省衛生局が、「病人や病人らしい人、咳をするものには近寄るな」「たくさん人の集まっているところには立ち入るな」「人の集まっている場所、電車、汽車などの中では必ず呼吸保護器をかけ、それでなくば、鼻、口をハンケチ、手ぬぐいなどで覆いなさい」
などの注意は、100年経っても何もかわってないですね。
色々なことを学べました。
朝のくだらないテレビ番組をみるよりも、この本を読む方が絶対お勧めです。
沢木耕太郎: 旅のつばくろ 電子オリジナル版
沢木耕太郎氏の旅とスポーツ関連の記事や書籍は以前からよく読んでます。今回は自分自身が旅に出られない鬱憤晴らしと言うこともあり、本書を読みました。
短編集ではありますが、いろいろなところでつながっていますので、一つの作品とも取れる内容です。氏の旅に対する感覚や態度に共感を覚えるので、まるで自分が旅をしているような気持ちになって読めてしまいます。
早くまた、旅行したい。。。
藤原正彦, 宇賀なつみ, 久住昌之, 伊藤比呂美, 為末大, 円城塔, 塩野七生, 保阪正康, 林真理子, 船橋洋一, 角田光代, 手嶋龍一: 文藝春秋2020年8月号[雑誌]
普段は文藝春秋なんてお勧めしないのですが、今月号は、日本の将来のために、どうあるべきか、ということがコロナ感染の観点から描かれている記事が多く、非常によかったです。
村上 春樹: 一人称単数 (文春e-book)
村上春樹さんの短編小説「一人称単数」を読み始めました。やはりなんやかんやいって面白いです。僕に取ってすんなり頭に入りやすいのは、文章が頭の中で視覚化しやすいからかな。
彼の執筆量は未だ衰えないですが、長編はだんだんしんどくなってくるのではないかと少し心配しています。凡人の自分ごときではかるべきではないですが、いろいろな意味での持久力が落ちてきていることを感じます。知恵はそれなりについていくのだけど。でも、知恵だけでは大作は作れない。
安藤 達朗, 佐藤 優, 山岸良二: いっきに学び直す日本史 【合本版】
僕はこの合本版のaudibleを通勤中に聞いています。
安藤 達朗, 山岸良二, 佐藤 優: いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編
大学受験の参考書って、もっともqualityが高いなあ、と実感。
安藤 達朗, 山岸 良二, 佐藤 優: いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編
先日読んだ「一度読んだら絶対に忘れない日本史」は全体のstoryをつかむにはよかったですが、歴史の本来の面白さ(なぜ○○は失敗したのか?)に少し欠けていて、結局どんどん忘れていくわけですが、このシリーズは、全然違います。圧倒的に面白い。
山﨑 圭一: 一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書
世界史の方がこの著者の持ち味が生かされていましたが、それでも日本史をやり直すのには最適な書籍の一つと思います。物語性重視なのがいいですね。
筒井 康隆: 笑犬樓よりの眺望(新潮文庫)
「インタヴューアー十ヶ条」である。
1. 前もって相手に関する下調べをする。特に、現在どんな位置についているか。つまり最新の仕事や、功績や、どんな賞をとっているかなど。
2. 相手の言ったことばを文脈で理解すること。
3. 簡潔にリライトする際、自分によくわからないからというだけの理由で、その部分をカットしないこと。
4. 質問に、自分の意見をさしはさまないこと。
5. 相手の話がわかりにくくなった時は、自分の質問のしかたに影響されているためではないかと疑い、気遣うこと。
6. 原稿起こしの段階でわからない部分は相手に訊ねる。
7. 無礼な質問をした場合は、報復として真実でない答えが返ってくることを覚悟しなければならない。
8. 相手がいかに偉い人物であっても、ギャグに対して笑いを堪える必要はない。
9. 相手の地位や教養が自分より下だと思っても、絶対に表情、言動に示してはならない。インタヴューイの地位は教養、学歴に関係なく、常にインタヴューアーより上。
10. 極めて常識的に、衣服の悪臭、頭髪の悪臭や不潔、口臭、顔面の発汗、「ふんふんふん」という鼻先きでの軽い返事などは避けねばならない。
筒井康隆らしい文章ですが、インタビューアーとの関係だけに留まらないところもあります。
イシグロ,カズオ, 政雄, 土屋: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
以前より、関西医大の広田先生がお勧めされておりましたが、漸く落ち着いて読むことができました。
読了後に、amazonにあるこのコメントもお勧めです。
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3ILZA865IN9Q8/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4151200517
僕も途中までは、ちょっと退屈しかかりましたが、終盤で一気に引き込まれました。訳が少し違和感を感じたところもあったので、今度は英語でぼちぼち読んでみようかと思っています。
臓器提供のために作り出されたクローン人間と我々の世界の関係は、現在の人種差別の問題とも重なりますし、また、コロナ後の世界を考える上でもヒントを与えてくれます。
ブロニー ウェア, Ware,Bronnie, めぐみ, 仁木: 死ぬ瞬間の5つの後悔
まだ読んでもないのに、ブログで紹介してしまいました。
とりあえず、アマゾンで購入しました。ただ、日本語訳は入荷待ちだったので、原本をkindleで買って先に読むことにするかも。感想はのちほど。
山﨑 圭一: 一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 公立高校教師YouTuberが書いた
ここ最近は、寝る前に塩野七生の「ローマ人の物語」を読んでいます。歴史から学ぶことは多いと実感しています。
世界史をやり直すための本は多数出ていますが、今回手にした本がもっとも読みやすかった。以下、目次です。
●目次
はじめに 世界史には“1つ”のストーリーがある!
ホームルーム1 「わかりにくい」という世界史の教科書の“弊害”
ホームルーム2 世界史は数珠つなぎにして学べ!
ホームルーム3 世界史は「年号」を使わずに学べ!
序章 人類の出現・文明の誕生
1章 ヨーロッパの歴史
2章 中東の歴史
3章 インドの歴史
4章 中国の歴史
5章 一体化する世界の時代
6章 革命の時代
7章 帝国主義と世界大戦の時代
8章 近代の中東・インド
9章 近代の中国
10章 現代の世界
これまでの世界史の教科書は、ヨーロッパ、中国、インド、中東の歴史を時間軸に沿って記載したものが多く、そうすると、正直頭の中がごっちゃになってしまいがちでした。この本は、目次の通りで、地域ごと分けて歴史がストーリー仕立てで記されているので、よみものとしても楽しめます。多くの大人は、世界史を学びなおしたくても、途中で挫折することが多いと思いますが、この本は、お勧めです。これまで断片的だった知識が、点、線、面へと有機的に繋がっていくことを実感します。一冊の本に世界史を詰め込んでいますので、多少浅くなってしまうのはやむを得ないですけれど。。。
今回のCOVID-19もそうですが、感染症と人類の戦いのみならず、歴史は何度も同じような事を繰り返します。
そして、どの国も絶頂期があり、そしていつか衰退します。うちの教室にも同じ事が当てはまるわけで、それをどうすれば少しはマシになるのかは、やはり歴史が教えてくれるところは大きい気がします。
今回感じたのは、中国は大国としての歴史がやはり半端ではないこと、そして、近代は西洋諸国によってアジアをはじめとするその他の地域が搾取され続けてきたこと、戦争はすぐに起こりうること、などです。当たり前ですけど。
あと、世界史を復習しながら、国民性・お国柄というものに対する理解が歴史を学ぶことによって深まったとも感じました。
岡田 随象: ゼロから実践する 遺伝統計学セミナー〜疾患とゲノムを結びつける
もともと購入予定だったのですが、ありがたいことに岡田先生にプレゼントしていただきました。統計学の学び直しをプログラム言語の習得と同時並行したいとここ数年思っていました。Pythonなどに関する入門書もぱらぱら読みましたが、自身の臨床研究、ゲノムに関連する解析などでどのようにプログラム言語を選択すればいいのかなどもやもやしていたのが、この本を読んでスッキリしました。
この本は一朝一夕に作られたものではなく、岡田先生が毎年開催されている「遺伝統計学・夏の学校@大阪大学」の演習内容にそってつくられたものです。それ故、実践書としても存在価値があります。
ただ、まだきちんと読み込めたと言える段階とはほど遠く、この本の持っているポテンシャルの2−3割しか自身で発揮できていないところが悔しいところです。
読み終えたら医局に寄贈しようかと思っていましたが、この本は研究者であればだれもが自身で持っておくべき成書だと再認識。ということで、これからも折りをみてreferenceしていこうと思います。
いやはや、世の中には僕なんかが全く及ばないすんごい頭脳の持ち主がいるのだ、ということをまざまざと感じたGWでした。
Newton別冊『人体完全ガイド 改訂第2版』 (ニュートン別冊)
皮膚科医ではありながら、皮膚と神経、代謝、運動などとの関係に関する研究をやっていることもあり、どこかで医学の勉強をさっとおさらいしたいとずっと思っていました。
せっかく自粛による時間がたくさんとれたこともあり、お手頃そうな本を探していたところ、ドンピシャで見つかりました。
人体の発生、自律神経系や消化と吸収などの復習のみならず、はからずも肩凝りの原因などのupdateやなぜ人が体毛を失ったのかに対する3つの仮説や脇毛、男性の乳首がなぜ残っているのかなど、生物学的に面白い話題が盛りだくさんで、生命の神秘のようなものを童心に返って楽しみました。
そういえば、中高生のころ、父親が持って帰ってきてくれるNewtonがとても楽しみでした。
オルハン パムク, Pamuk,Orhan, 遼, 宮下: わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫)
オルハン・パムクにはまっています。この作品、めちゃくちゃ面白い。彼の作品でどれかまず最初にお勧めするとしたらこれに決定。
村上 春樹: 猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)
村上氏にしては珍しく父親のことを綴られている。小説のみならずエッセーもほぼ全作品目を通しているので、今回の新作も迷うこと無く購入。
彼のことを少しでも理解すれば、小説の理解も深まる、いや、異なる視点で見ることができるかも知れない、、と希望し、また、父方は京都市左京区粟田口にある安養寺の住職だったということで、勝手に身近に感じてしまいました。
本作の中で「僕のような職業の人間にとって、人の頭が良いか悪いかというのは、さして大事な問題ではない。そこではむしろ心の自由な動き、間の鋭さのようなものの方が重用される。そういうところはアカデミックな世界とはかなり違っている。」とありました。
これは違います。アカデミックの世界でもとても大切なことです。
テルモ科学技術振興財団「生命科学DOKIDOKI研究室」: やっぱりすごい! 日本の再生医療 (いのちの不思議を考えよう2)
皮膚の担当は阪大の玉井先生です。
先日お会いした高城さんが大変読みやすくまとめてくれています。
大澤 毅: 実験医学 2020年5月 Vol.38 No.8 マルチオミクスを使って得られた最新知見〜糖尿病・がん・腸内細菌研究における実例と解析法
今月号の実験医学は読み所満載でした。マルチオミクスの特集をはじめ、オートファジーやプロテオミクスの液ー液相分離、NC/Ngaマウスの原因遺伝子の発見の論文紹介、Japan Prize受賞者Paabo博士の古代人ゲノムと人ルの起源に関する特別記事、そして水島昇先生の論文査読における心構えとテクニックの紹介、などなど。やりますね、実験医学の編集部。
デイヴィッド・サダヴァ, クレイグ.H・ヘラー, ゴードン.H・オーリアンズ, ウィリアム.K・パーヴィス, デイヴィッド.M・ヒリス, 石崎 泰樹, 丸山 敬, 吉河 歩, 浅井 将: カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)
第三巻が僕にとっては一番興味がありました。
朗人, 有馬, 元, 松本, 良治, 野依, 洋二, 戸塚, 佳之, 榊, 佑, 本庶: 研究者
先日紹介した本の姉妹版です。こちらは本庶先生が登場します。
良い論文を書く方法として、「いい先生につくということ」を進められています。では、いい先生とは?
「真剣に研究に取り組んでいる先生」だそうです。
あとは、自分が何をしたいのかよく考える。そしてそれを深く考える。しかもいつも考える。さらに、集中して考えると共に広い視野を持つこと。全体像を見失ってはいけないと述べられています。そして最後に語学の重要性とのことです。
国民文化研究会, 新潮社, 秀雄, 小林: 学生との対話 (新潮文庫)
「信ずることと知ること」は、何度読んでも、そしてCDも持っているので、何度聞いてもよい。こういう名文はいつまでも残るわけで、研究も同じですね。すぐに忘れ去られてしまうような研究でなく、本物にかけたい。
野内 良三: 日本語作文術 (中公新書)
僕は日本語が、へたくそですが、この本を読んで、これでも少しはまし(というか読みやすくなった)になった気がしています。
キャリー・マリス, 福岡 伸一: マリス博士の奇想天外な人生 (ハヤカワ文庫 NF)
いまのコロナ感染関連の検査としては、ウイルスそのものを検出するPCRとウイルスに対する抗体検査となりますが、PCRを発見したキャリー・マリス博士の人生はあまりに破天荒で、ある意味参考にはならないのですが、それでもこの本の一読の価値はあります。
以下、アマゾンの書評から。
「DNAの断片を増幅するPCRを開発して、93年度のノーベル化学賞に輝いたマリス博士。この世紀の発見はなんと、ドライブ・デート中のひらめきから生まれたものだった!?幼少期から繰り返した危険な実験の数々、LSDのトリップ体験もユーモラスに赤裸々告白。毒グモとの死闘あり、宇宙人との遭遇あり…マリス博士が織りなすなんても楽しい人生に、きっとあなたも魅了されるはず。」
朗人, 有馬: 研究力
中村修二、岸本忠三氏をはじめ、医学、生物、物理や工学系の著明人による若者へのメッセージ集です。
分野は違えど、多くの人が同じようなメッセージを伝えていることに驚きます。
共通項として、
1. 独創的な人と出会うこと
2. 留学すること(できるだけ超一流のラボ)
3. 自分で考える時間がしっかりとれる期間をどこかで設けること
の大切さを説いている人が多いと思います。
そして、最も大切なことは、自分が何をやりたいのか、知りたいのかをはっきりさせ、その解決のために必要な道具や技術をいかに身につけるか、ということです。
実は、しばらく前に購入した本です。新入生にあげようと思って、その前に、さっと読み返しました。こういうのがamazonの中古本だと3-400円で購入できるのはありがたいことですね。
フランチェスコ・シリロ: どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門
少し時間ができたので、最近読んだにも関わらずブログでupできてなかったものを紹介していきたいと思っています。
まずは、これ。ポモドーロ・テクニックって、聞いたことがある人がどのくらいいるのかな?僕の周りではちょくちょくやっている人がいます。
この数年、メールなどが大量にくるし、SNSなどもおもしろいので、集中して仕事に打ち込むことが以前よりもできにくくなっているように思います。もちろん、年齢の問題とかもあるでしょうけど。。。
どうやってこのような仕事や勉強への集中を邪魔する「内的中断」を穏やかに対処するべきか。その方法の一つとしてこのテクニックは極めて有効と考えます。
一日は24時間しか無く、その中でどのように選択と集中を行い、それを25分という時間を使って管理していくのか。
僕はこのテクニック通りには進めていませんが、この考え方を多いに参考にしています。というか、もともとto do listを優先順位を決めて作業していく、ということは高校生の頃から続けていたのですが、それにこの25分という区切りを強制的に設けたところに大きな意義があります。
あと、smart phoneのappliもポモドーロ・テクニックに関しては、なかなか充実しています。
河岡義裕, 堀本研子: インフルエンザ パンデミック 新型ウイルスの謎に迫る (ブルーバックス)
2009年に執筆された本ですが、内容は全く色あせておらず、むしろ、コロナと対峙する際に、参考になることが多数見つかります。パンデミックというのは1918年のスペイン風邪や新型インフルエンザなどを既に経験しているので、その時の歴史を学び、経験を生かすのが良いのだと思います。
この書籍の中で、
1. 新型の何が怖いのか
2. どのように変異が入るのか
3. どの程度PCR検査をするべきなのか
4. 感染者数に一喜一憂するな
などの、現在直面している問題が既に深く掘り下げられています。
自宅にいる時間が増えた今、いろいろと自身の勉学のために時間を費やす良い機会と思います。
隆, 立花: 知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと (文春新書)
世の中にはとんでもなく凄い人がいるもんだなあ、、、と感じさせる人物の筆頭に、立花隆氏がまずあがります(ちなみに他には、佐藤優氏とか松岡正剛氏とか)。僕に取っては、田中角栄に関する一連の研究ではなく、「精神と物質」が一番の衝撃の出会いでした。利根川さんとの対談を読んで、研究という世界に大きな興味がわき上がってきましたから。。。
本作品は彼の集大成とも言える作品です。
立花氏は若い頃に世界中を見て、そして色々なことを深く体験しています。これがやはり彼の基本骨格を形成したんだろうなあ。
「日本の社会と言うのは、基本的にいまでも、数百年にわたって続いた鎖国時代の延長としてあり、意識が全然開かれていない。
外国の思想や文化にしてもわかったつもりになっているだけで、実はどこか本質において基本的な理解が欠けているということがわかってくるわけです。」
とあります。僕も同感で、これは海外に行って、そこでしばらく過ごしてみると本当に良く理解できます。だから、できるだけ若いうちに海外を見ておくことは本当に大切です。
「人間の真実について一言言っておくと、人間は全て実体験と言うものが先なんです。これはなんだろうと言う驚きがまずあって、それを理解したいから、本を読んだり、考えたりするんです。これは外国文化だけの話ではありません。1つの文化体系を本で読むことだけで勉強しようとしても、基本的には無理なんです。とても勉強しきれるものではない。ある文化体系を理解しようと思ったら、そこに飛び込んでその中に身を置いてしまうしかないんですね。」
僕もつくづくそう思います。
「時代を超えて語られるのは、ただ1つ、時代を超えて語られるだけの価値を持つ真理である。田中角栄のおかげで、だいぶ無駄な時間を費やしてしまったが、そうゆう心理が見つかるかどうか、遅まきながら、今度はそういう方向に自分の持てるエネルギーを集中したいと思っている」
とあります。僕らの仕事も全くおなじで、「時代を超えて語られるだけの価値を持つ真理」をめざす臨床や研究に打ち込むことが僕らの仕事の醍醐味と思います。
また、利根川氏は、「発見と言うのは、たまたまネイチャーがそちらの方向に用意してくれたものにぶつかると言うことなんだね。ネイチャーと違う方向に行っても何も見つからない。運がいい人だけが、ネイチャーの用意してくれたものにぶつかる。運の良さと言うものは、勘といってもいい。その人の自然観が本当のネイチャーに近い人ほどセンスが良いと言うことなんだろうね。」
「サイエンスと言うのはカバーしている領域が広くて深いから、細かいことを研究対象なんていくらでもあるわけです。だけどその大半は、そう言ったら言い過ぎかもしれないけれど、どうでもいいことなんですね。だけど大半の学者は、何が本質的に重要で何が重要でないかの見分けがつかないから、どうでもいいことを追って一生を終えているわけです」
とまあ、何とも切なくなることをおっしゃられています。そのあたり、僕の責任も重いですね。ただ、研究している本人が、自分のやっていることに対してどれだけの価値を見いだせるかを問い続けることがもっとも重要だと思うけど。
朝日新聞出版, テルモ生命科学振興財団「生命科学DOKIDOKI研究室」: いのちの不思議を考えよう (4) 生命の秘密を探求する研究者になる!
高校・大学・大学院・研修医などの若い人たちに、是非手にとって欲しい書です。医学系の研究者は知り合いばかりだったので、みんなの生い立ちを知ることができました。なんだかのぞいてはいけないところまで知ってしまったので、今度あったときに話すネタが随分増えました。。。。
ちなみにこのテルモの方に先日インタビューを受けました。次の書籍化の時には僕も登場するのか、それともすっ飛ばされるのか、、、。雑談しかしなかったので、ちょっと不安。
ヴィジュアルダーマトロジー編集委員会: Visual Dermatology 2020年4月号 Vol.19 No.4 (ヴィジュアルダーマトロジー)
毎年4月はフレッシャー向けの特集なのですが、今回は皮膚科に関連する当直マニュアルでした。中毒疹、薬疹、熱傷、アナフィラキシー、マムシ咬傷、などなど、への適切な対処法が記載されていて、シニアの皮膚科医にも有益な情報満載でした。
原田 マハ: 風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
どこかで書評を読んで、面白そうだと思って購入。
風神雷神図屏風はすごく好きな作品だし、俵屋宗達もミステリアスな人物なので、こういうフィクションもありかなあ、と思って読み始めました。
織田信長、狩野永徳、遣欧使節団、ダビンチ、カラバッジョ、、、など盛りだくさんですが、原田マハ氏の美術への造詣の深さのおかげもあって軽滑りせずに最後まで読み通せました。
最近は邦人によるフィクションはあまり読まなくなりましたが、こういう時空間的にスケールのでかい作品は読んでて楽しいです。これが読書の醍醐味ですね。
吉木 竜太郎: かつてないほどハードルが低い マンガでわかる皮膚科学
産業医大に赴任していた時の、後輩で趣味に突っ走る希有な人材がいましたが、ついに漫画家デビューしました。
たしかにハードルは低いのですが、ワクチン接種に対する自身の考えなどもきちんと盛り込まれていて、凄い才能だなあ、、、と感心します。
中高生も読めてしまうと思うし、皮膚科どころか医者じゃなくても多いに楽しめます。
ちなみに推薦文は僕が書かせてもらいました。いろいろとメモリアルな本(マンガ)です!
鷲田 清一: だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫)
この時期は、医局でも出入りが多くなります。そのような中、各教室員が、将来どのような医者を目指したいのか、ということがとても気になります。こういうことはもちろん常に変わりうるものなので、あまり神経質になっても仕方ないわけですが、それでも彼らの幸せを考えると、そこに僕がどう関われるのか、、、ということは僕なりに悩みます。
そんな中、鷲田さんのこの本は「仕事」というもの、そして我々が仕事とどう関わり合っていくのか、いくべきなのか、ということを考える上で示唆に富んだ著作です。
鷲田さんの作品はどれも温かい。なんとかして悩める読者を良い方向へと誘おうとしてくれているのが良く伝わってきます。鋭い批判をするばかりでは相手は立ち直れないですから。
宮地 良樹: 最新キーワードで読み解く ALL About 皮膚科学
うっかりしていて紹介するのが遅れてしまいました。。。。
医学の発展は日進月歩であり、全ての領域をきちんと網羅していくのは至難の業です。そういうときに、必要と思われる本を世に送り出されるのが宮地先生なんですよね。。。
凄いのは、診断と治療のみならず基礎医学にまで及んでいるところです。宮地先生のおかげで京大皮膚科の存在感も十分に示せています。ちなみに僕はiSALTについて解説させていただきました。
日本皮膚外科学会: 皮膚外科学 改訂第2版
皮膚科という専門家は、アトピー性皮膚炎のような湿疹以外にも網羅すべき領域が広いのが特徴です。
僕は皮膚外科学はからっきしだめなのですが、こういう成書の存在は、若い人たちが皮膚外科手術を学ぶ上で、最強の味方になることと思われます。
僕がいま、臨床でもっとも信頼をおかせてもらっている大原先生が編集幹事のもと、日本皮膚外科学会が総力を結集して生まれた素晴らしい本です。
値段はちょっと高いと思われる方もおられるかも知れませんが、ずっと使える本ですからね。。。
オルハン パムク, Pamuk,Orhan, 遼, 宮下: 雪〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫)
先日、「赤い髪の女」を紹介させてもらいましたが、この「雪」も秀逸。アマゾンの紹介では、「十二年ぶりに故郷トルコに戻った詩人Kaは、少女の連続自殺について記事を書くために地方都市カルスへ旅することになる。憧れの美女イペキ、近く実施される市長選挙に立候補しているその元夫、カリスマ的な魅力を持つイスラム主義者“群青”、彼を崇拝する若い学生たち…雪降る街で出会うさまざまな人たちは、取材を進めるKaの心に波紋を広げていく。ノーベル文学賞受賞作家が、現代トルコにおける政治と信仰を描く傑作。 」
とあります。
もう、雪という季節としては遅すぎますが、いつ読んでも良いと思いますよ。政治的メッセージのない、政治小説でもあり、宗教・文化にも深く触れられ、そしてまた、トーマスマンの「魔の山」を彷彿とさせる、閉ざされた空間の中での個性ある登場人物の対立と調和。めちゃくちゃ贅沢な本です。
オルハン・パムクは現代作家の中で僕の最も好きな作家(の一人)です。
ヴィジュアルダーマトロジー編集委員会: Visual Dermatology 2020年3月号 Vol.19 No.3 (ヴィジュアルダーマトロジー)
戸倉先生の特集号です。その名も「トクラテスの教え」。ネーミングは塩原先生です。さすが、教養がちゃいます。
僕は、お気に入りの人がいると、その人のことを深く知りたくなります。この特集号は、戸倉先生の臨床医としての歴史を伝えてくれます。戸倉先生ファンならずとも、臨床力が抜群であった恩師の臨床の診方に触れてもらいたいな、と思います。
Liz Elvidge, Carol Spencely, Emma Williams, 小谷 力: ポスドクの流儀〜悩みを解きほぐして今日から行動するためのチェックリスト
僕の過去を振り返ってみて、キャリア形成の上でもっとも重要だったのは、
1. 米国での臨床研修:人生で一番しんどかった
2. 成宮研での大学院:人生で一番よく働いた
3. アメリカでのポスドク:人生で一番楽しかった
と思われます。
この3つのプロセスを経験したことで、どんなところでも働いていけるという(大して根拠のない)自信が生まれました。
さて、このポスドクの流儀、という本ですが、What every postdoc to knowというのが元タイトルです。流儀、というのはちょっとはやりっぽくて軽いな、と思ったりしますが、内容は超濃厚です。
人生はやり直しができません。それ故、今を全力を尽くして生きていくことがとても大切です。ただ、どのように全力を尽くすべきかが見えていれば、より視界は明るくなるはず。
そういう意味で、この本はポスドクは絶対に読むべき。いや、全ての研究者や臨床家にも捧げたいところです。
とくに、今何をするべきか、逆にするべきではないこと、といったものが著者の考えの基に明確に記されています。
また、前書きは仲良しのヤスさん(藤田恭之先生)。前書きだけでもかなり読む価値あります。
シーマ ヤスミン, Seema Yasmin, 鴨志田 恵: 撃ち落とされたエイズの巨星〜HIV/AIDS撲滅をめざしたユップ・ランゲ博士の闘い (PEAK books)
恥ずかしながら、ユップ・ランゲ博士のことを存じ上げなかったのですが、この本を通して彼の一生を知ることができたのはありがたい事でした。
エイズという疾患が発見されてから40年の間で漸く(完全ではないですが)共存できるまでに至った訳ですが、新型コロナウイルスと人類が今後どのような関係をとっていくのか、と思い巡らせざるを得ません。
ランゲ博士のエイズ撲滅に向けた情熱と、また、ランゲ先生個人の魅力的な人柄が描かれています。不幸にもマレーシア航空便の撃墜事件で命を落としてしまいましたが、魂は生き続けていると感じました。
(こんな書籍を実験医学の羊土社が発刊していることにも驚きとうれしさを感じます)
実験医学 2020年2月 Vol.38 No.3 PAIN—痛み〜痛覚システムの最新理解と免疫・がん・多臓器への新たな役割
水島昇先生の「論文査読のリアル」という連載が始まった。
これは是非多くの方に読んでいただきたい。
今回も論文査読の心構え、どのくらい時間をかけるのか、どういう場合に断るべきか、といったことが詳細に触れられている。
水島先生のような超一流の研究者が、査読の問題について触れられるということ自体がなかなかありえない超魅力的な企画である!!
野村 克也: ありがとうを言えなくて
しばらく前にこの本を読んだときに、これは野村さんの遺言状のようにも思えました。
ちょっと僕らの世代とは異なる夫婦関係ではあるけれど、それでも色々なことを考えるきっかけになりました。
諏訪 通久: サブ2.5医師が教える マラソン自己ベスト最速達成メソッド
多くのマラソン関連の書籍は、学生時代からのエリートアスリートによるもので、それはそれでよいのですが、僕らのようなアマチュアには適していないところも多いのが現実です。
本書は、社会人になってからマラソンに目覚めた医師が、忙しい日常の合間をぬって、短い練習時間でいかに速く走れる様になるかに焦点が当てられています。整形外科医であるため、ケガをしない体作りなどについても細かく触れられている点がとても良いと思います。
読み進めていて、自分がこれまで考えてきた事とかなり近く、自身の練習法の是非再確認ができたと同時に、自分に欠けていたいくつかのトレーニングなども見つかり、来年のサブ2:50(通称、「サブエガ」)を目指して頑張ってみようかな、という気持ちにもなりました。
通勤ラン以外では、月に2-30kmくらいしか走らないという準備不足の状態が続いてきましたが、これからは少しポイント練習も加えて見ようと思います(とは言っても3:30/km x 1km x3-4くらい、あるいは39min/10kmを週に一回くらいが目標)。
笹田 昌宏: 幽霊列車 ~日本と世界の廃車図鑑~ (イカロス・ムック)
幽霊列車というと、赤川次郎の作品が思い返されるわけですが、今回は、実際の廃車です。しかも世界中の廃車が紹介されています。どうやってこんな列車があるという情報をつかんだのかも不思議ですが、その写真を撮るために、世界中を旅してきた作者がもっと不思議です。
今度彼とこの件についてたっぷりお話したいと思っています。
オルハン パムク: 赤い髪の女
オルハン・パムクの最新作です。
最近あまり日本作家の作品を読まなくなってしまったのは、松本清張の様な人の深層心理に深く切り込むような作品が減り、また、物語のスケールが小さいことによります。
そんな中、パムクの作品は圧倒的に面白い。トルコ人であるという背景もあるのかと思います。西洋と東洋の文化が交錯する場としてのトルコは旅行していてもとても魅力がありますが、彼の作品も同様の魅力があります。
今回の作品は、「王書」と「オイディプス」というペルシャ・イスラムとギリシャ神話、父と子、息子と母親の物語など、対比・重層的に話が進みます。こういう作品って、日本人には絶対に書けません。息つく暇もないくらいに圧倒されながら一気に読み切りました。もう勝手に2020年のNO1と感じます。
年末年始に、熱源と本書を読むことができて、今年は良い一年になりそうだな、、と確信しました。
川越 宗一: 熱源
ずっと読みたいと思っていてなかなか時間がとれませんでしたが、ようやく実現しました。そして、期待以上の作品でした。
まず、ストーリーのスケールがでかいです。
日露戦争前から第二次世界大戦の敗戦あたりの時をアイヌとポーランド(リトアニア)出身の登場人物が、樺太、ロシア、北海道、ポーランド(リトアニア)、南極という場を舞台に生き抜く様が描かれています。史実に基づくなんとも壮大な歴史小説で、こんな作品を日本人作家が描いていることに感動しました。
なんと、二葉亭四迷、金田一京助、白瀬矗なども登場してきます。
「生きるための熱の源は、人だ。人によって生じ、遺され、継がれていく。それが熱だ。自分の生はまだ止まらない。熱が、まだ絶えていないのだから。灼けるような感覚が体に広がる。沸騰するような涙がこぼれる。あつい。たしかにそう感じた」
こんな力強い言葉が続きます。文章そのものは、ちょっとつたない、でも、心に響く素晴らしい作品でした。
この本のおかげで心豊かな年末年始となりました。
丹羽 宇一郎: 社長って何だ! (講談社現代新書)
まだこんな本を読んでいるのか、と言われそうですが、やはり自省する機会を得るために、こういう本はときどき読む方が良いと思っています。
「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」
という格言は、うちの教室の目指す方向の一つでもあります。あまり他の人が既に参入している競争の激しいところでなく、よりオリジナルな分野をじっくり開拓していきたいと思っています。
あと、青山学院大の原監督の記事をよんでいて、組織のメンバーが指示待ちをするのではなく、自分で何をするべきかをきちんと考える集団となることが大切と改めて感じました。
そういう意味では、僕は後輩を信頼し、全権を委ねることが多いので、たくましい人材が生まれてくるのではないかと期待しています。
また、「自分は何も知らないのだ」と言うことを自覚することがリーダーには大切とありましたが、それにも納得です。いろいろな領域で僕を越える人材が育っていって欲しいと思っています。
最後に、京大アメフト部の元監督の水野氏の言葉で締めくくります。
「今、自分ができる精一杯のことをやれ。今日は疲れたからここで止める、と思えば止めろ。疲れたけど自分はやりたい、やった方がいいと思うのならやれ。もうちょっとやれば良かった、というのは良くない。自分はこれだけやった、これで負けてもしょうがない、これが自分の力だ、そう思えるまでやりなさい。それがベストをつくすということだ」
自省の意味を込めて。
宮坂 昌之: 免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス)
著者の宮坂先生とのおつきあいは、僕自身が大学院の学生のとき、解析しているマウスの脾臓やリンパ節の所見の解釈を教えていただくために直接訪問させていただいたときに遡ります。
その時に、他教室の大学院生に対してとても丁寧に教授自ら指導してくださりました。
さて、本書ですが、「免疫力を強くする」というよりもワクチンの理解に重きがおかれています。日本はワクチン後進国で、多くの国民が医学の発展の恩恵に被られていません。子宮頚癌の予防ワクチンはその際たるもので、子宮頚癌にかかった患者さんはいつ国を訴えてもおかしくない気がします。その他B型肝炎ワクチンも同じです。アメリカの病院で勤務したとき、日本でこのワクチンを打っていない事実にアメリカの医療関係者はみんな驚いていました。ということで、アメリカに行ってすぐ、このワクチンをすぐに打たされました。
一方で、インフルエンザワクチンは日本では当たり前の様に接種しますが、その効果はそれほど高くありません。僕もこれに関してはずっと同じように感じていましたが、この点について、本書では科学的事実に基づいて非常に客観的に記載されています。なぜワクチンによって効果の程度やその持続時間が異なるのか、という解析と、さらにワクチン毎に有益な情報が盛り込まれています。
この教書は、ワクチンに対する国民の理解を深めること、また、国のワクチン政策への提言とも言え、これは宮坂先生の正義感そのものなのだと思います。
読みやすい本ですので、万人にお勧めしたいです。
ユヴァル・ノア・ハラリ: 21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考
最近は寝る前の読書時間がめっきり減ってしまい、進みません。老いを感じる大きな変化の一つです。
ということで、audibleで本書を通勤ランで聞いています。ホモデウスやサピエンス全史よりもユダヤ教の話など個人的な体験や考えが寄り明確に表明されています。僕はむしろこの本の方が彼に対して好感を持てました。単なる知の巨人でなく、彼の人間くさいところを垣間見ることができ、しかしながら世界的な視野は失っていない。以下の21のテーマはどれも興味深く、また、彼の著書をこれまで読んだことがなくても十分楽しめる内容になっています。超お勧め。
いまを生きる現代人に贈る必読の21章
1 幻滅――先送りにされた「歴史の終わり」
2 雇用――あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれない
3 自由――ビッグデータがあなたを見守っている
4 平等――データを制する者が未来を制する
5 コミュニティ――人間には身体がある
6 文明――世界にはたった一つの文明しかない
7 ナショナリズム――グローバルな問題はグローバルな答えを必要とする
8 宗教――今や神は国家に仕える
9 移民――文化にも良し悪しがあるかもしれない
10 テロ――パニックを起こすな
11 戦争――人間の愚かさをけっして過小評価してはならない
12 謙虚さ――あなたは世界の中心ではない
13 神――神の名をみだりに唱えてはならない
14 世俗主義――自らの陰の面を認めよ
15 無知――あなたは自分で思っているほど多くを知らない
16 正義――私たちの正義感は時代後れかもしれない
17 ポスト・トゥルース――いつまでも消えないフェイクニュースもある
18 SF――未来は映画で目にするものとは違う
19 教育――変化だけが唯一不変
20 意味――人生は物語ではない
21 瞑想――ひたすら観察せよ
松本 清張: 或る「小倉日記」伝 傑作短編集1 (新潮文庫)
自身が小倉で幼少期を過ごしたこともあり、北九州とか小倉とか、その名にまつわる呪縛のようなものから逃れられないのは、九州人(あるいは田舎もん?)の特徴かもしれません。
その例外にもれず、松本清張の初期の作品は小倉にまつわる話が多く、また、彼の社会はミステリーの原点を感じさせるこの作品は時に読み返しています。
主人公の耕作が生涯をかけた「鴎外の小倉日記の補完」に対して、「こんなことに意義はあるだろうか」という耕作の自問こそ、僕ら研究者が抱える悩みに通じるものがあります。
それを支える母のある種のゆがんだ子への愛は、昭和にはよく見られたし、今もアジア全体に漂っているものです。
そう考えると、この70近く前の作品は、今以てなにも色あせることがない。時間つぶしにしかならないような小説がはびこる中、この作品はやはりずっしりきます。
李 栄薫: 反日種族主義 日韓危機の根源
こういう本が出版されたことを素晴らしい事と思います。今の日韓の問題は、政治家に利用されるのではなく、お互いが両国に行き来して実際にの自分の体で感じること、そして、この本にかぎらずいろいろな観点から歴史を見直すことが、その解決の糸口となると思います。
そして、なぜ韓国の方が日本を嫌うのかも、もっと我々は理解するべきと思っています。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163911588?prfbad&fbclid=IwAR1B3ykwaVn4VAleIBYtJTTz7eaLbrzS-IgeU-Ag2npyX7V8mAyqwUsiu7U
にある編者のメッセージに僕は共感を覚えます。
平野 次郎: 改訂版 CD3枚付 英語で聴く 世界を変えた感動の名スピーチ
英語のヒアリングでもお勧めですし、また、自分がこれからスピーチをしないといけないときにも助けになると思います。
出口 治明: 全世界史 上巻 (新潮文庫)
歴史を勉強し直したいのであれば、この本がお勧めです。単なる史実の羅列でなく、因果関係が説明されているのが非常に良いです。どうしてそのような事件が起こったのか、そしてそこから我々は何をまなべるのか、というのが歴史の大切で、かつ、面白いところだと思っています。
田中 雄一: ノモンハン 責任なき戦い (講談社現代新書)
ジョギング中は暇なので、英語の小説を聞きながら走るようにしています。音楽も悪くないのだけどせっかくの大切な時間なので英語の勉強にも充てたいし、、、という欲張りな自分があります。
今は、The Wind-up Bird Chronicle(ねじまき鳥クロニクル)です。皮剥の話などがどんな風に表現されているのか楽しみに聞いていて、僕にはやはり日本語の方がえげつなさが伝わってくるなあ、と思いました。
それに関連して、ノモンハン事件って、一体何だっただろう、ということもあってこの本を手にしました。詳細ははぶきますが、結局日本の体質ってそんなに変わっていなくて、なんども歴史は繰り返しているなあ、ということです。昔、歴史なんて大嫌いでしたが、今はむしろ逆です。そうそう、出口治明先生の全世界史も寝る前に読んでいます。単なる史実でなく、因果関係が説明されているのが非常に良いです。
村上 春樹: 遠い太鼓 (講談社文庫)
国際サイトカイン学会で講演のためにウィーンに来ることになりました。同じ時期に国際免疫学会が中国で開催されていて、どちらに参加すべきかは難しいところだったのですが、お声をかけて頂きましたので、こちらにしました。
ガイドブックとかあまり読まないのですが、少しオーストリアに関する書籍でも読みながら、、、と思って本棚からこの本を引っ張り出してきて、オーストリアのところだけ読み返しました。
ただ、わずかちょっとしかオーストリアには触れられてなかったんですね。もっとたくさん触れられていたような記憶があったんだけど。。まあ、いっか。
まだ村上氏が40才のころの話になります。長編小説もいいけど、こういう紀行文もとても好きです。3年間のヨーロッパ外遊の締めくくりとなったオーストリア旅行記を読んで、少しオーストリアに滞在しているときの心の持ち方が変わった気もします。ただ、今回は、実は、あとがきが一番よかった。
「文章を書くことはとてもいいことだ。(中略)自分という人間の志向やあるいは存在そのものが以下に一時的なものであり、過渡的なものであるかと言うことがよくわかる。」
ラルフ・ウォルドー・エマソン: 自己信頼[新訳]
自己を肯定する能力は人それぞれなのは当たり前ですが、日本人には自信なさげな人が多いですよね。これは良くないので、この本をおすすめしたいです。
一方、時にもの凄く自己肯定が強い人がいて、その最たるのが阪大のN教授でしょうか。ただ、自己肯定が強くても、周りを元気にさせてくれる人と、迷惑をかけまくる人がいて、N先生は前者なのでよしです。後者はいくらこっちからアドバイスとか、あかんことしているので注意しても伝わらないです。それに言い過ぎるとハラスメントになってしまうご時世なのでそういう人は放置去れがちで、そういう人達が今後どうなっていくのか心配です。特に医師は患者さんの命を扱う仕事なので、やはり僕は看過できないです。
ちなみにこの本、N教授もお勧めしていました。自分よりもずっと自己肯定が強い著者だと感心していました。。。
灰谷 健次郎: 太陽の子 (理論社の大長編シリーズ)
母親が読書好きだった影響もあって、小学校の頃、良く本を読んでました。この本も小学校の低学年の頃に最初読んだんじゃないかと思うのですが、なぜか今になってまたこの本を読みたくなりました。
かさばらないのでkindle本で購入しましたが、これを小学生の時に読んだのはとても良かったと改めて感じます。戦後の沖縄の苦悩がわかるだけでなく、日本にも様々な背景を持った人が生きているということをそれなりに感じる事ができるはずです。子供も大人も何かを感じざるを得ない名作だと思います。
ちなみに学生の時に沖縄をバイクで旅していたときに、素敵な家だなあ、と思って止まってみたら、この作者の灰谷健次郎さんの自宅でした。周りになにもない海辺の坂の上にありました(30年前の記憶なのでおぼろげですが)。
養老孟司 CW ニコル: 「身体」を忘れた日本人 JAPANESE, AND THE LOSS OF PHYSICAL SENSES
先日のフィンランドの教育の動画をみて、ふとこの本のことを思い出して読み返しました。最近読んだ本を捨てたり挙げてしまったりすることが多いけど、やはり残しておくと良いこともあります。
ニコルさんはアファンの森という風が通る谷に由来する森の再生を続けています。彼の住んでいる近くの山を走ったことがありますが、僕が子供の頃に慣れ親しんだ山や川などの自然がとても美しい。
この本の対談では、五感を失いつつある日本人について語られています。「銃を撃つ前に逃げるカモ」という章に、僕は共感を覚えるのですが、こういう殺気とか第六感的なものが無くなると、目の前の患者さんの疾患を見ても、また、実験をしていてもいろいろなことを見逃してしまうんじゃないか。感覚が冴えていると日々余りにややこしい事が多くてしんどいので敢えて鈍感に生きようとしているのですが、本当はそんなことではダメなんだと思う。
大塚 篤司: 「この中にお医者さんいますか?」に皮膚科医が…… 心にしみる皮膚の話
なんと医局の後輩が執筆した本です。AERA.dotで連載しているのは知ってましたが、ついに書籍化です。
僕の知らなかった彼のいろいろな面を知ることができました。そしてまた、彼の文才も。。。
皮膚を場として様々なエピソードが綴られています。皮膚に親しみのない人なんていないはずなので、万人が興味を持って読める本なんじゃないかな。
宮地良樹・椛島健治編集: エビデンスに基づくアトピー性皮膚炎治療 あたらしい潮流
宮地先生と二人で編集する貴重な機会をいただきました。一生忘れることのできない思い出となります。
私の「はじめに」の文章を転載させて頂きますね。巷に溢れるアトピー性皮膚炎関連の著書とは一線を画したものと(勝手に)自負しております。
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アトピー性皮膚炎の患者さんは世界で二億人を超えると言われ,アトピー性皮膚炎は,われわれにとって大変なじみの深い皮膚疾患の一つである.しかしながら,「アトピー性皮膚炎の患者さんに十分満足してもらえる医療を行えているのか?」という疑問に対してはっきりYESと答えられる医師はそれほど多いとは思えない(かく言う私もそう答えられない一人である).われわれは,診療ガイドラインを頭に入れつつも,とかく自身の経験に基づいて治療に介入しがちである.決して自身の経験に基づく医療が悪いわけではないが,それには自ずと限界がある.
近年になり,アトピー性皮膚炎に関する疫学調査,病態の解明を目指した基礎・臨床研究,新薬の開発や臨床試験が多数報告されている.すなわち,自身が経験できないことが国内外で実施され,エビデンスに基づく新たな知見が集積している.一方,皮膚科領域では皮膚悪性腫瘍や尋常性乾癬など幾つかの疾患において新薬が開発され,治療の選択肢が広がるとともに,患者さんの治療に対する満足度も高まってきた.そして,アトピー性皮膚炎の治療においても同様の状況が訪れつつある.
本書の企画に際し,こうした時代の要請を鑑み,宮地良樹・京都大学名誉教授と一緒に,アトピー性皮膚炎において「ベストな診療を実践するためには一体何が必要なのか」という議論をした.『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018』を治療戦略の基軸としつつ,IL-4受容体を標的とした新規治療や,JAK阻害薬,抗IL-31受容体抗体など,未来の治療の可能性について意見を交わした.病態についても,自然リンパ球をはじめとする新知見を積極的に盛り込むことにした.これらの情報は,アトピー性皮膚炎の治療を実践するうえで,将来非常に有益になると確信する.また,最近のトピックスとして皮膚常在菌(マイクロバイオーム)や,アトピー性皮膚炎のサブセットの可能性などの詳細に触れた.さらにコラムとして,汗や入浴など日常生活の指導での有益な助言や,教育入院,ブリーチバス療法なども盛り込んだ.こうして皮膚科医のみならず,小児科医や基礎医学の研究者らの知を結集させた本書『エビデンスに基づくアトピー性皮膚炎治療―あたらしい潮流』が完成したことを,とても喜ばしく感じている.
最後に,お忙しいなか快く執筆を受け入れてくださった多くの執筆者の方々に心より感謝申し上げるとともに,本書が,読者にとって明日からの診療,そして来るべきアトピー性皮膚炎治療の新時代において,診療の一助となることを心より願っている.
2019年8月
椛島 健治
小澤 幹雄: やわらかな兄 征爾 (光文社知恵の森文庫)
指揮者としてもさることながら、人としての魅力にも惹かれているので小澤征爾関連の本はついつい読んでしまいます。この本は、弟の幹雄さんの著書であるが故、小澤征爾の横顔が映し出される一方、僕に取ってあまり関心の無い幹雄さんご自身の話が出てくると興味が失せ、、、ということを繰り返しての読書となりました。
集中とリラックス、そして睡眠、という、まあ、当たり前のことではありながら、でも、朝5時におきてスコアをこつこつ勉強することを続ける姿勢には努力の継続の大切さもやはり感じます。
著書の中で、「当たって砕けろ精神で、積極的に行動し、何事にもどこまでもあきらめないでがんばり、その粘りだけは天才的である」と書かれていましたが、こういう精神って、日本の中からどんどん消えていってしまっています。
宮地良樹 編: 最新キーワードで読み解く ALL About 皮膚科学
最近ちょっと忙しくてあまり自身の勉強ができていない。「忙しいを理由にする人でろくな奴はいない」と良く言われたものですが、まさに自分もその通りなのです。
さて、この教書は、まあ、見事に最近耳にするキーワードが網羅されています。宮地先生は退官された後の方がよりアンテナが高くなったのでは無いか?と思えるほどに知っておくべき事項がもれなく記載されています。
僕も「自己炎症性角化症」、「アンチエイジング」、「シロリムス外用剤」、「ヒドロキシクロロキン」などあらためて勉強しました。
村上 龍: 人生における成功者の定義と条件
Bloombergのニュースによると、4-6月の日産の業績が昨年よりも利益が数百億下がり、そして1万人のリストラが必要とのことです。
トップ周辺の人達は、自分たちに主導権が回ってきてそれなりに満足しているかも知れないけど、リストラされるような人達にしたらたまったものではないでしょう。ゴーンさんの一件って、もっと社内でうまく整理できなかったのだろうか、、、と思います。
ゴーンさんのことを正当化するつもりは全くないけど、僕はテレビなどで知る限り、結構いい人だと思ってました(だまされやすいとも言えます)。サラリーマンNEOというNHKの番組で「教えて Mr. ゴーン」というコーナーがあって、視聴者の質問にゴーンさんが答えたりするわけですが、少なくとも10数年前の彼ってすごくまともなことを言ってました。
また、村上龍がゴーンさんらと対談した「人生における成功者の定義と条件」という本でも、祖父が13才のときにレバノンからブラジルにわたって頑張って生きてきた話とか出てきて好感がもてたものです。そして人生で大切なことは、「目的をしっかり持つこと」、「障壁にぶつかったときに、避けないで克服することで成長すること」、「人生を単に楽しみとして捉えるのでなく、生涯の学習であると捉える事」というところなどは胸に落ちたものです。
彼の様な人が、人生どこでどうあやまっていってしまうのかがまだよくわかりませんでした。
僕自身にとってもこれからの課題です。
ちなみに、村上龍のこの本、利根川進、安藤忠雄などとの対談本ですが、意外によいです。うちには子供はいないのですが、子育てをするときに結構貴重なアドバイスがたくさんある気がします。ゴーンさんのようになっては困りますが。
広瀬一隆: 京都大とノーベル賞: 本庶佑と伝説の研究室 (河出新書)
日本のマスコミの科学担当記者のレベルは先進国の中で最低だと思いますが、少なくとも広瀬さんはきちんとされています。実際僕も彼とこれまで何度か対談したことがありますが、質問の内容も、また、記事の正確さも他の記者を圧倒しています。京都新聞がメインの活動の場ですが、こうして書籍を著してもらえると嬉しいものがあります。
さて、この本は、歴史を変えるような研究がどのような教育・環境・人間関係といった京都の土壌から生み出されたかを歴史と共に紐解いていきます。主役は本庶佑先生ですが、早石修・沼正作先生に始まり、中西重忠・山中伸弥・成宮周・坂口志文・湊長博先生など僕に取ってとてもなじみの深い先生への取材もうまく溶け込んでいます。齋藤通紀先生も登場しますし、オール京都です。
「命の灯火の消えなんとするその瞬間まで、研究に執念を燃やされたN教授の気迫に打たれないものはない。これほど壮絶な死を、私は知らない」という本庶先生の沼先生をたたえる文章に胸を打たれる世代は僕らがぎりぎりかもしれないのが本当に惜しい。
「あらゆる方法論を駆使して、目的とするクエスチョンを解決する研究室」というのが当時の本庶研の学生向けの案内で説明していた言葉とありました。レベルは違いますが、不肖な僕も同じ気持ちで研究室を運営しています。
また、本書の中で、若手に世界に出ることの大切さも強調されています。世界に出る意味は「人間を鍛えると言うこと。広い世界をみて違うカルチャーがあり、全く異なる考え方や行動様式があることを知るのが大切。そしてそれはサイエンスにも反映する。どういうサイエンスをやりたいか、論理構築というのをどういう風に考えていくとか。そして「言葉」でけんかできる様になることが大切」と述べられています。英語を使って、海外の研究者とサイエンスを紙の上でも、学会でも戦えるようになるためには、海外の一流のラボに留学するのがベストだと僕も思います。
また、教育についても「易しい問題しか解けない人と、難しい問題が解ける人を見極めることが大切。与えるテーマ自体を変えなくてはいけない。難しいテーマを出すとつぶれる人が出てくる」とありました。本庶先生のリーダーとしての凄さの一つは実はここにもある気がします。じっとその人の目を見つめながら、脳まで見透かされている気がして時にぞっとなりますから。
そして科学者としての本庶先生の特徴を問われたときに、「物事を深く考える。ある現象をみても、ぱっと見る人と、じーっと深く考える人は違う。その場で気の利いた意見を言う人が重要ではなくて、翌日までじーっと考え続けて、あとでもうちょっと深く意見を言えるかが大事だと思っている」とありました。身に、心に、染み入りました。
あなたならどうする? 迷った・困った皮膚疾患アトラス Visual Dermatology2019年臨時増刊号 (ヴィジュアルダーマトロジー)
青山先生の渾身の一冊です。この本の素晴らしい点は、いろいろな専門医が、皮疹をみてから診断に至るまでのプロセスを追体験できることです。えらい先生が誤診してしまうことも多くあり、これはこれで読んでいてホッとします。
本庶 佑: がん免疫療法とは何か (岩波新書)
本庶先生の著者はすべて読んでいるので、今回の内容はどこかでいろいろとかぶってはいるものの、それでも読み応えがありました。
巷に溢れる本の多くが、現代の医療や科学政策に対して批判ばかりをあびせるだけに留まります。ところが本書では、それに対する自身の打開案が明確に提示されている点がやはり本庶先生らしい。
若い人たちには、「努力が報われるとは限らないが、目標に向かって挑み続ける努力無くしては幸運は生まれない。地道な努力は、生命医学の研究者にとって極めて重要な、「ここに何かある」と察知する嗅覚の独創性を養ってくれる。そしてその嗅覚が、ときとして幸運を呼び寄せることにもつながるのである」という本庶先生のお言葉を是非心にとめてもらいたいと願う。
HARUKI MURAKAMI: Dance Dance Dance
最近余り読みたい本が見つからないので、かつて読んで気に入っていた作品を英語で読み直す、ということをやっています。
単純に日本語で読み返してもいいのだけど、どんな風に英語で表現できるのか、など、別の好奇心をもって読めるので退屈もしません。
この頃あまり本を読む時間を持ててないのですが、村上春樹のダンス・ダンス・ダンスを英語のKindle本で。
日本語よりもむしろ面白いのでは無いか、と思えるくらい、飜訳が素晴らしい。英語が余り得意でない人でもKindleでよめば比較的読みやすいと思うのでお勧めです。
小林 秀雄: 小林秀雄全作品〈26〉信ずることと知ること
最近年だと感じるのは、布団に入ってから寝るまでの時間が短くなったことです。以前は一時間くらい読書してから寝ることがざらだったのが、最近では、比較的早い時間であるにもかかわらずすぐに眠くなって寝てしまう。。。。
というような理由もあって、めっきり読書の時間が減ってしまっています。また、たいしたことないhow to本などは、あっという間に目を通してしまえますが、内容の重いような本はなかなか進まず、何度も同じところを行ったり来たりという為体です。
そんな中でも、ときどきふと帰る場所は、小林秀雄などの本です。科学をやっているとどうしても学問の方法のとりこになってそこから得られたものを有意差という尺度を以て信じてしまう悪癖がついてしまい、感覚を大切にしなくなっている自分に気付きます。
そんなときは、小林秀雄の「信ずることと知ること」を再読します。何度読んでもハッとすることがあります。
宮地良樹・安部正敏著: ジェネラリスト必携! この皮膚疾患のこの発疹
写真がたくさんあって、わかりやすい教書です。若手皮膚科医やジェネラリストにとって、皮膚疾患へのこういう切り口は、実臨床の現場に即していて、役に立つ事大と思われます。
ジム・ロジャーズ: お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書)
ちょっと前に読んだのですが、時間がなくて放置していました。この本のタイトルには余り興味が無いのですが、ジム・ロジャーズという人物には以前から少し気になっていました。
10年以上前にアジアの時代の到来を予想してシンガポールに移住し、しかも子供に英語のみならず中国語もしっかり勉強させていること、未来を予想するためには歴史を勉強する必要があること(彼は著の中で「歴史は韻を踏む」という言葉を使っています)、もしも自分が10代だったら日本を離れて他国へ移住するかAK-47を購入して身を守る、などと激しいことを発言してきています。
こういう発言に腹を立てたりするのではなく、やはりそこに何か真理があるかもしれない、と思って読み進めました。読んでみてわかったのは、結構軽い人で、かなり直感に基づく意見が目につきました。しかしながら、「今の10歳の子供たちが40歳になる頃には、彼らの老後を保障する金は尽きている」という文面などは、このまま日本が改革無く進めばさもありなんでしょうし。
前向きな意見としては、日本の農業の可能性の高さと教育ビジネスでした。僕はそこに医療ビジネスを入れてもいいかと思います。一番のネックは言語の壁ですね。シンガポールのみならず、マレーシアなど、東南アジアは英語が一気に広がってきています。
もう一点、彼が日本の強みとして述べていることは、日本人のクオリティに対する妥協のなさと働く事への真摯な姿勢でした。失われつつありますが、それでも世界に誇れるところにまだあると僕も思います。
彼は他にも歳出のカット、関税引き下げ、移民の受け入れ(しかし慎重に・・・)、などの提案がありましたが、そこらあたりは僕に取って興味の対象外です。
他、興味深いと思った点は、近く朝鮮が統一国家となり、日本よりも飛躍的に成長を遂げるだろう、と予想しているところです。たしかにその可能性はありえますが、逆も十分ありえますよね。
この人は世界をいろいろと見てきた人なのでそれなりに重みがあるかと思います。我々も"What should they know of England who only England know?(イギリスのことしか知らない人がイギリスの何を知っているというのだ)"とならぬように、やはりその変化を肌で感じるべく、行動することだと思います。研究も同じで、研究者と直に話し合うことは大切です。論文を読めば科学のことを知ることはできますが、やはりdialogueからしか得られないものはたしかにあります。
Haruki Murakami and others: The Penguin Book of Japanese Short Stories
「ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29」の元本です。英語ですが、比較的わかりやすい飜訳になっています。オリジナルの日本語を読んだことがあればベストなのですが、そうでなくても楽しめると思います。
酒井 敏: 京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略 (集英社新書)
出張のときにぱらぱらと読みました。普段から僕の思っている通りのことが大体書かれており、僕がだらだらとブログで書き連ねるよりも、こういうまとまった書籍を読む方がよほどわかりよいのかな、と思ったりしました。
要は、「自由、多様性、自主性を大切にする」ということで、これは最近非常にしばしば耳にすることです。ただ、そういうことが叫ばれながら、日本のサイエンスがそれほど前に進んでいないことの方が問題です。
最後の締めくくりが良い言葉になっています。エジソンの言葉より、
「それは失敗じゃない。その方法ではうまくいかないことを発見したんだ。だから成功なんだよ。」
ただ、これはきちんとコントロールのある実験系を組み立てないといけないのですが。
おそらくは、もっと若いうちにとことん好きなことをやらせる環境を作ることが大切で、それはもしかすると、ゆとり教育なのかも知れません。小・中・高と入試に向けた勉強中心で、そのままの流れで大学生活まで送ってしまったら、なんかもう手遅れ感があります。答えの無いことに打ち込む時間をできるだけ早くとることが僕は重要な気がしています。たとえば大学生の時に、訳のわからん国に旅行して楽しんでくるとか、そんなのでもいいので、カオスを生き延びる生命力を鍛えて欲しい。そういう意味で、京大は、少なくとも僕が学生のときは自由な時間があって、好きなことをやらせてもらえたのが大変よかった。
ちょうどTimes Higher Educationの日本版大学ランキングでていて、京大が1位だったわけですが、これはおかしい。
https://japanuniversityrankings.jp/rankings/
特に教育成果が京大が1位なのですが、
https://japanuniversityrankings.jp/rankings/pillar-ranking/outcomes/
ほとんど何も教育をしない京大が成果が1位というのは冗談でしょうか。皮肉なものです。
こういうランキングは、ほんと、当てにならないです。
赤瀬川原平 山下裕二著: 日本美術応援団 (ちくま文庫)
美術に関する書籍もやはり楽しく読めないと。。。何も僕は専門家になりたいわけではなくて、純粋に作品や画家の背景とかを知りたくてこういう本を手にしている訳なので。アマゾンのサイトには、「教養主義や美術史にとらわれない、大胆不敵な美術鑑賞法を提示」と書かれていますが、まさにその通り。ということで、別に日本美術に興味がない人にとっても、この本はかなり面白いはず。
山中 伸弥・伊藤 穣一著: 「プレゼン」力 ~未来を変える「伝える」技術~
以前も紹介しています。そして、ときどき読み返すようにしています。
ダニエル・M・デイヴィス: 美しき免疫の力―人体の動的ネットワークを解き明かす
この本はじっくり時間をかけて読みました。自分が深く関わってきた免疫に関して幅広い観点から語られつつ、しかしそのすべてが有機的に繋がりあっています。単著の作品によってのみなせる業です。
いま個人的に興味をもっているのがストレスと免疫なのですが、このあたりのこともかなり詳細に記載されていました。
免疫学の歴史の中には光と影があり、その両面をフェアに取り扱い、そして将来の免疫学の可能性へとまとめられている本書は、こういう学術系の読み物としては別格に面白いです。
特に、著者自らが多くの登場人物に実際にインタビューしたり、また、本人も一流のサイエンティストであるところもこのような素晴らしい本が生まれた理由かと思っています。
松永佳世子: 接触皮膚炎とパッチテスト
接触皮膚炎はありふれた皮膚疾患ではあるが、その原因は非常に多岐にわたるため、きちんと正しく同定できているケースのほうがむしろ少数かもしれない。
これは医師が、原因としてどのようなアレルゲンがあり、そしてそれに対してどのような臨床症状を呈するのか、ということに関する知識の不足によるところが大きい。
本書は接触皮膚炎の病態、臨床像と原因物質(この章の松永先生の気合は凄い)、診断アルゴリズム、Japanese standard allergenの活用法、経験のない物質・製品を精査する方法、判定の具体的なレッスン、などなど本当にかゆいところまで手が届いた一冊となっている。
僕は接触皮膚炎外来を始めたとき、Fisher's Contact Dermatitisという教書で勉強しましたが、その本よりもはるかにコンパクトかつ実用的である。
ということで、大学や病院をはじめ皮膚科医がいるところには是非とも手元においておきたい一冊と言えます。
接触皮膚炎は本当に奥が深い。。。。
町田 康: 湖畔の愛
町田氏の作品の発売をいつも楽しみにしているのですが、今回の作品は、それほど気合が入っていない感じでした。まあ、OKです。そういうこともあります。次作に期待。
宮田 珠己: ニッポン47都道府県正直観光案内
阪大の仲野徹先生お勧めの本です。だまされたと思って購入してみました。
福岡、京都、鹿児島、千葉、岐阜県などそれなりに自分で良くわかっていると思っている都道府県があるのですが、全く知らない、あるいは思いもよらないことが紹介されていて驚きました。
最近出張に疲れモードになっていましたが、この本のおかげで少し楽しみが増えました。
梅林 芳弘: 皮膚科医の「見る技術」!一瞬で見抜く疾患100: Snap Diagnosisトレーニング帖
この本は、随分前に手にしてからなかなか読む機会がなかったのですが、今こうして手にしていろいろと勉強になりました。
皮膚科の診察の魅力の一つとして、皮疹を見ただけで診断がつくことが少なくないことでしょうか。他の皮膚科医がわからなかった診断を、一瞬で見抜くことができると嬉しいものです(僕にはそう言う事は滅多に無いですが)。
特に専門医を受験前の皮膚科医にお勧めなので、この本を病棟に寄付する予定。
Visual Dermatology 2019年3月号 乳房外パジェット病
皮膚科では、比較的よく目にする乳房外パジェット病の特集です。よく白癬と間違えられて重症になってから大学病院へ紹介されることも多く、皮膚科医ならずとも全ての臨床医にもっと知っていただきたい疾患です。
金田 信一郎: 失敗の研究 巨大組織が崩れるとき (日経ビジネス人文庫)
最近ものをなくしたり、また、教室運営でもうまくいってないなあ、と思ったりすることがあるので、この本を読み始めました。
この金田さんという日経の記者はかなり粘り強く取材をする人で、こういう人がいてくれると日本も少し安心かな、と思えます。
目次を見るだけでもなかなか魅力的ですよね。
【本書の目次】
序 章 「大企業時代」の終焉
第Ⅰ部 軋む巨体 8つの失敗を解く
1 理研-科学技術という名のゼネコン 2 マクドナルド-3万店のハンバーガー工場
3 代ゼミ-生徒ゼロの大教室 4 ベネッセ-巨大名簿会社の虚実
5 東洋ゴム-肥大化した「ムラ社会」 6 ロッテ-国家またぐ循環出資
7 三井不動産-マンションの膨張と傾斜 8 化血研-エイズと背徳の20年
第Ⅱ部 失敗の系譜 巨体を蝕む6つの病
1 膨張期 2 巨体維持期
終 章 大企業の未来
で、この本、出張の移動の最中に紛失しました。こういう本を読めば、本質的に自身が易々と変わるわけでは無い、という非常にわかりやすい事例でした。
買い直します。
生命科学データベース・ウェブツール 図解と動画で使い方がわかる! 研究がはかどる定番18選
読み始めたところですが、なかなか便利です。
データベースがどんどん発展していく中、それを使いこなせければ意味がないので、こういう本を利用し、どんなことが自分の疑問の解決のために生かせそうかを考える事が大切と思います。
ハンス・ロスリング: FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
いま、話題の本ですね。まだ全部通して読めてませんが、それでもいろいろと気付かされることが多いです。
amazonの内容紹介から
ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。
世界で100万部の大ベストセラー! 40カ国で発行予定の話題作、待望の日本上陸
ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領も大絶賛!
「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」―ビル・ゲイツ
「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」―バラク・オバマ元アメリカ大統領
特にビル・ゲイツは、2018年にアメリカの大学を卒業した学生のうち、希望者全員にこの本をプレゼントしたほど。
◆賢い人ほど、世界についてとんでもない勘違いをしている
本書では世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズを紹介している。たとえば、こんな質問だ。
質問 世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
答えは本書にある。どの質問も、大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できない。しかも、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低い。
その理由は、10の本能が引き起こす思い込みにとらわれてしまっているからだ。
◆教育、貧困、環境、エネルギー、医療、人口問題などをテーマに、世界の正しい見方をわかりやすく紹介
本書では世界の本当の姿を知るために、教育、貧困、環境、エネルギー、人口など幅広い分野を取り上げている。いずれも最新の統計データを紹介しながら、世界の正しい見方を紹介している。
これらのテーマは一見、難しくて遠い話に思えるかもしれない。でも、大丈夫。著者のハンス・ロスリング氏の説明は面白くてわかりやすいと評判だ。その証拠に、彼のTEDトークの動画は、累計3500万回も再生されている。
また、本書では数式はひとつも出てこない。「GDP」より難しい経済用語は出てこないし、「平均」より難しい統計用語も出てこない。誰にでも、直感的に内容を理解できるように書かれている。
千松 信也: けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然
数年前にこちらの本も発売されていることに今頃気づき、購入。
千松さんの自然に対する考え方が、前作よりもより明確に記されています。
こういう本を読んでいると、便利では無くても、より自然と近い生き方をしてみたい気持ちが沸いてきます。北九州の自然で幼少時代を過ごしたせいだと思われます。ただ、そんなに生やさしいものでもないので、あまりきばらずに、ぼちぼちとシフトしていこうかな、と。そのためには仕事中心の生活過ぎるので、それも改善しないと。
千松 信也: ぼくは猟師になった (新潮文庫)
この本は、以前ぱらぱらと読んでいたのですが、当時は猟にそれほど興味が無く(というか殺生をあまりしたくない)、余り記憶に残っていませんでした。
ただ、僕自身が育った九州の田舎では、両親が結構頑張って家庭菜園したり、また、僕も釣りとか好きだったこともあって、年も50に近づき、少しずつ自給自足とはいかなくても自然に少し戻りたい気持ちが湧いてきています。
さらに産業医大で一緒だった友人が猟を始めたり、知り合いが薪ストーブで暖を取ったり、先日千松さんがNHKのドキュメンタリーに出演していたりで、もう1度この本を手にしました。
猟の話のみならず、なぜ猟をすることになったのか、また、野草の話もあったりして、人間が生物としての原点に戻る不思議な感覚をもたらしてくれました。
今年の夏頃に、田舎に引っ越して、少し畑を耕そうかと思っています。
Visual Dermatology 2019年2月号 Vol.18 No.2 (ヴィジュアルダーマトロジー)
痒疹の特集です。最近大学でも結節性類天疱瘡で悩ましいことがあったので参考になりました。
痒疹はなかなか取りつきにくい疾患ですし、これまでなかなか正面から攻めた特集はありませんでしたが、この一冊はなかなかのものだと思います。
林 真理子: 愉楽にて
日経に連載されていた小説です。舞台が京都、東京、シンガポール、アメリカの西海岸とどこも自分になじみがあることもあり、また、日経で時々目にしていたので通して読みましたが、内容は浅すぎる。ただ、林真理子というおばちゃんがどのような想像力を働かせて男の視線から男女関係を描いたのか、視点でこの小説を読むと、それはそれでおもしろかったです。こういう小説は本来伊集院静とかが書いたら面白いのではないかと思うけど、そういう世界に敢えて女性作家が切り込んだところにこの小説の斬新さがあるのではないかと思います。単なるエロ小説として読んでも面白いかもしれませんが、一歩退いてよむともっと違った楽しみができるのでは、というのが僕の感じた事です。
仲野徹: (あまり)病気をしない暮らし
ただでくれるのではないかと期待してしばらく待っていたのですが、一向に送ってくれる気配がないので、仕方なく購入しました。仲野先生に印税が行くのがちょっとくやしいです。
さて、この本ですが、前作の「こわいもの知らずの病理学講義」よりもさらに仲野節に磨きがかかっています。本を読んでいて仲野先生と対話をしているような気になってきて、しかも、一方的に押し込まれる感じで、また仲野先生の毒にやられてしまった感があります。
この本は、僕らのような医者にはたしかに知っている話が多いのですが、知っていることと実生活とうまく融合されているかは別物で、その点で仲野先生は自らダイエットなども自ら試みられ、多数の失敗体験に基づいた内容になっていて笑えます。
研究者にとっては、本庶先生の話しや番外編の「研究者への道」、「教授的生活」あたりのほうが面白いかも知れません。
来週一緒にお食事なので、ごちそうしてもらえるかな、と期待しています。
カーマイン・ガロ: スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
再読しました。改めて、いい本だと感じました。
きちんとしたロードマップを描くこと、アイコンタクト、楽しむことを今年は意識したいと思います。
■人々を惹きつけるプレゼン 18の法則
構想はアナログでまとめる/一番大事な問いに答える/救世主的な目的意識を持つ/
ツイッターのようなヘッドラインを作る/ロードマップを描く/敵役を導入する//正義
の味方を登場させる/禅の心で伝える/数字をドレスアップする/
「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う/ステージを共有する/
小道具を上手に使う/「うっそー!」な瞬間を演出する/存在感の出し方を身につける/
簡単そうに見せる/目的に合った服装をする/台本を捨てる/楽しむ
オリバー ストーン: オリバー・ストーン オン プーチン
年末年始は読書をしたいと思っていましたが、その中の一つがこれでした。
僕に取ってプーチン大統領は謎に満ちた人物で、いつかもう少し理解したいと思っていましたので、非常にいい機会でした。
オリバーストーンが反アメリカ主義なので少し偏った方向に話が進むかも知れないと思っていましたが、そんなことはなく、この一冊の両氏の対談を通してかなりフェアな情報が入ったと思います。
日経のわたしの履歴書などでいろいろな人物伝を目にしてきましたが、この人はちょっと異次元ですね。歴史をしり、ユーモアとウィットもあり、大局が見えている。
本書では、スノーデン、ウクライナ・クリミア問題、ISのことなどについて赤裸々に語られています。ただ、彼の語ることを全て信じてもいけないでしょう。
一方で、彼の生き方は研究者にもとても参考になることが多いです。たとえば、彼は、要約された資料はよまず、必ず元の資料に目を通すらしいです。
そしてこんな発言がありました。
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実は世界で何が起きているかを常に注視するだけでその背後にあるロジックを理解することは可能なんだ。なぜ普通の人が何が起きているかがわからなくなるのか。なぜ外交問題は難しいと思うのか。なぜ私たちに隠された事実があると思うのか。それは彼らが日常生活に埋没しているからだ。日々仕事に出かけ、金を稼ぐことに忙しく、国際問題に関心を払わない。だから、世論を操作し、誤った方向に誘導するのはこれほどたやすいだ。
だが普通の人々が、日々世界の出来事に関心をもつようになれば、たとえ外交の1部が常に密室で行われるとしても、世界に何が起きているかを理解しさまざまな出来事の背後でどのような論理が働いているかをつかめるようになるだろう。機密文書にするつてがなくてもそれは充分可能なことだ。
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日本の政治家、いや、世界のどの政治家も叶わない気がします。残念ながら、北方領土も返還されない気がしてきました。
多賀 千之: たがのわ 多賀先生のあったか子育てアドバイス 第2巻
第二巻もあります。
多賀 千之: たがのわ 多賀先生のあったか子育てアドバイス 第1巻
僕は医学部学生時に米国に短期留学したのですが、その時に、僕が金魚の糞のようについていっていろいろなことをおそわったのが多賀先生です。
あの時の楽しい研究体験がなかったら僕は研究の道に進んでいなかったと思います。
それくらいの強烈な影響を受けました。
多賀先生が現在小児科を営まれていますが、「たがのわ」という子育て本も執筆されています。我が家には子供はいないのであまり大きな事は言えないのですが、子育てにはやはり悩みがつきもので、そんな時に、この本は、一助となってくれるのではないかと思います。
佐藤 優: 君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話
しばらく前に買っていた本で、積まれたままになっていたのですが、ふと目にとまったので読みました。灘高生との対話本ですさすがに僕にはちょっと話しがわかすぎましたが、。中高生のお子さんがいて、エリート教育を目指しているのであれば役に立つんじゃないかな、と思います。
宮坂昌之: 免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か (ブルーバックス)
きちんと免疫やアレルギー疾患について勉強したいのであれば本年度NO1です。今読み進めていますが、宮坂先生の単著であるため、一貫性があり、読み進めやすいです。
目次は以下の通りです。
第1章 慢性炎症は万病のもと
第2章 炎症を起こす役者たち
第3章 慢性炎症はなぜ起こる?
第4章 慢性炎症が引き起こすさまざまな病気
第5章 最新免疫研究が教える効果的な治療法
第6章 慢性炎症は予防できるのか?
慢性炎症が軸に据えられていますが、そこにはアトピー性皮膚炎をはじめ様々な疾患が対象となり、そしてそれらがどのように引き起こされているのかが非常にわかりやすく解説されています。一般の方にも理解できるとおもいます。ブルーバックスは中学生の頃からずっと愛読してきましたが、このシリーズが日本のサイエンスを下支えしてきたその貢献は計り知れないですね。
渡辺 順子: 世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン
最近はやりの「教養」という名のつく本です。もううんざり感がありますが、でも、ほぼ毎日ワインを飲んでいる我が家としては、せっかく日常で親しんでいる飲物なのでもう少し色々と知りたいなあ、という思いはあります。
それ故、この本を購入してみたわけですが、大体知っている内容に留まっていました。それでもいいんです。初めて聞く話とか、もちろんたくさんあった訳なので。こういう本は大体一時間以内で読んでしまう事がほとんどです。
北島康雄: 皮疹の因数分解・ロジック診断
読み終わったらupしようと思っていたら、ちょっと時間が経ってしまいました。皮膚科医にとって一番頭を悩ませるのは、皮疹がなぜこのような形で生じるのか、そしてどうしてこのような病理像をとるのか、ということです。
こんなに臨床に深く掘り下げて取り組めるのは皮膚科の醍醐味です。
そして、その課題に真っ正面から切り込まれたのが岐阜大医学部皮膚科の北島康雄名誉教授です。
そもそも基礎研究を何年もやってから皮膚科に転向されたのですが、研究のみならず臨床力が抜群なのがすごいです。
ということで、他に類をみない良書ですから、皮膚科医は是非とも手にして欲しい一冊です。書評を頼まれましたので、追ってまた改めてきちんとしたためたいと思います。
マシュー・ウォーカー: 睡眠こそ最強の解決策である
そういえば、最近、この本も読んだのでした。睡眠本は世にたくさん出ていますが、本書の著者はUCバークレーの教授だけあり、多くの記述がエビデンスに基づいています。とはいえ、睡眠が科学に落ちてきてからまだ歴史が浅いので定説が今後覆されることはたくさんあると思うので、自身で考えていくことが大切です。
たとえば、睡眠が何時間必要かは自分で答えをみつけるしかないです。僕は8時間ちょっと寝ると凄くいい感じで一日が送れるのですが、なかなかそれだけの時間を確保するのは難しいのが現実です。
人生の1/3が寝ているわけですから、その部分についてこういう本を読んで考えて見るのは大変いいことです。
アルコールがレム睡眠を阻害するので実は寝酒は良くない事、カフェインの取り方、そもそもレム睡眠がいかに重要であるか、寝不足による免疫力の低下や健康への障害など、多くは既に知られていることではありますが、なかなかの説得力を持って示してくれています。
高校生のころまではどのあたりの睡眠時間が必要か、そして次の日に何をするかによって睡眠時間を使い分けることなどがうまくできてませんでしたが、大学生くらいからは随分と意識してきました。
それでもこの記憶力の悪さですから、全く、自分はどうしようもないです。。。。
落合 陽一: 日本再興戦略
この本はしばらく前に読んでいたのですが、upするのを忘れていました。落合陽一氏の著作は幾つかありますが、これが一番彼の主張が理解しやすいと思います。正直、他の本の内容はこの本とかぶっていますので、これ一冊を読めば十分とも言えます。
この本の中から幾つか共感したところを挙げます。日本がどうすれば再興できるかについて様々な観点からアイデアが寄せられています。斬新なものが多く、時には受け入れられないこともあるかも知れませんが、これくらいのことを理解してこの先10−20年を迎えないと気付いたら世界の中で日本は浦島太郎になってしまいます。
吉田松陰の遺書から「諸君、狂いたまえ」ですが、そういうクレイジーさが僕らの社会でもっと許容されてもいいですね。
公平にこだわり平等にこだらない日本人。そうなんですよね。この二つの言葉の違いがわかりにくいところがあるかも知れません。
日本人は「近代的個人」が不向きであること。
ものづくりへのリスペクトを回復すべきこと。
夢物語に感じる位に大きなビジョンをもち、そして実際に手を動かすことが大切。
これからのリーダーには、「意思決定と実務権限の象徴が別で良い」ということ
トップ研究者になるには時代感覚をつかむ能力が必要だが、日本人は余り得意では無いこと
大学生にやらせることで最もいいのは、研究をやらせること。
サロン型教育が日本に向いていること
「自分探し」より「自分ができること」からはじめることの重要性
そして、最後に
「手を動かせ、モノをつくれ。批評家になるな。ポジションを取ったあとに批評しろ」
でしょうか。
今年も残り少なくなりました。皆様よいお年をお迎え下さい。
堀江貴文、落合陽一: 10年後の仕事図鑑
いわゆる現代社会の風雲児的な二人による未来予想図です。
医師という仕事も「診断を下す人」ではなくなり、治療・手術に専念する方向に移行すると解かれています。実際そうなると思います。
この二人の考え方に、ぼくは大体近い考えを持ちつつも、ただ、今の社会に合わせて生きています。その方がやはり僕は生きていきやすいので。
そして、"Work as life"という落合氏の考えと、「遊ぶ」、「働く」、「学ぶ」の三位一体の生き方という堀江氏の考えに関しては、これは僕の人生そのもので、これを50年近く地でやってきた感があります。
こういう本をたまにでも目にして自分の頭を柔らかくしておくことは、特に僕のように年を取ってきた中年には必要かな、と思います。
大藏 昌枝: 研究者・留学生のためのアメリカビザ取得完全マニュアル
研究・留学生向けのマニュアルですので、各教室に一冊位ずつあってもいいかな、と思います。
ビザを取得するのは特にトランプ政権に移ってからはちょっと苦労するかも知れませんが、できるだけ多くの人に留学を経験してもらいたいです。
Neil Canavan: がん免疫療法の誕生 科学者25人の物語
通読してからコメントを書こうと思っていたのですが、仕事が溜まっていてちょっと遅れてしまいそうなので、途中までしか読んでませんがupすることにします。
これまでいかがわしいと思われていたがん免疫療法がいかに市民権を得ることができたかに関する歴史が25人の科学者へのインタビューに基づくオムニバス形式の物語で綴られています。
こういう本ってそういえばあまりなかったですよね。日本人も本庶先生はもちろんですが、坂口志文先生など度々登場します。
ちょうどノーベル賞の受賞テーマと重なっていて、監訳者の河本先生は引きが強いですね。。。そしてお値段も2000円台と医学関連書にしては破格の安さです(とかいいながら、僕は河本先生に頂いたのですが)。医学やサイエンスに関係ない人でも楽しめる内容になっていますので万人にお勧めです。
吉田修一: 国宝 (上) 青春篇
吉田修一氏は僕の最も好きな作家の一人。悪人、怒り、横道世之介、パレードなど映画化もたくさんされているし、ANAの月刊誌に連載されているからご存知の方も多いはず。しかしながら、この「国宝」は映画化は不可能でしょう。これを演じきれる役者がいないから。
主人公が1964年生まれなので、自分自身と時代背景があまり変わらないこともあり、また、舞台が長崎、大阪、京都、東京と移るのですが、親しみのある街がよく登場するので親しみを感じながら一気に読んでしまいました。
途中、ソープドラマのような安っぽいところもあって納得できないところもあるのですが、歌舞伎の各シーンと物語がハーモナイズしていて、それに心動かされました。
歌舞伎ファンで無くとも十分満足できる作品です。今年超一押しの一つ。
永田 和宏: 知の体力 (新潮新書)
今回の対談のテーマのベースとなった作品です。万人にお勧めできます。
永田 和宏: タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)
タンパク質は生命の要ですから、この領域をしっかり理解しておく事は生命科学者として必須です。そして、やはり文章が美しい。
永田 和宏: 歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子闘病の十年
以前も紹介させていただきましたが、一番好きな永田先生の作品です。
堀江貴文 落合陽一: 10年後の仕事図鑑
10年後を予想することは大変難しい。5年後ですら、AIがどれだけ臨床の世界に入るのかなど正直わかりません。
結局先の事を意識しながらも今を全力で駆け抜けるしかないと思っています。
とはいえ、何らかの手掛かりをもとに未来を想像し、自分がその中でどのような役割を果たせそうかと考える姿勢は大切で、これは、研究とも重なります。こうなるのではないかと仮説を立てて実験をしつつもその試行錯誤の結果、適宜軌道修正して行く作業は、似ていると思います。
落合陽一氏は、科学界のホリエモンだと僕は常々思っていますが、革命児だと思います。
さあ、10年後の医療がどうなっているのかとても楽しみしつつ日々をあくせく過ごしています。
河本 健: トップジャーナル395編の「型」で書く医学英語論文〜言語学的Move分析が明かした執筆の武器になるパターンと頻出表現
利根川進先生がいまでも英語の勉強を日々続けている、と言う話や、山中先生もランニングの時に英語を聞いて勉強されていると言う話を聞くに付け、やはり一生勉強なのだと感じます。
というわけで、たまには英語の論文の書き方について勉強しているのもいいかと思い、この本を購入してみました。というのも、ゴルフなどのスポーツでもある程度は型が決まらないと上達しないと思っているからです。
本書では、intro, method, result, discussionという論文構成の中でどのようなことをlogicalに記載していくべきかがくどいほど丁寧に記されています。
僕には「時制の意味とその重要性」や「パラグラフのつなぎとしてのフック」のあたりは役に立ちました。現在形・現在完了形・過去形の使い分けはいつも頭を悩ませられてきて、これまで感覚的に書いてきましたが、少し意識が変わりました。
ただ、ちょっと方法論がくどかったり、また、基礎医学というよりは臨床医学論文に偏りすぎているところが気になったところでしょうか。
これまでたくさんの後輩の論文をチェックしてきましたが、せめてこの本くらいを読んでおいてもらえると指導する方も随分楽になります。
かなり初心者向けなので、とりあえずラボに一冊あれば十分かも知れません。それでもやはり一読の価値はあります。
山本 晃市 (著), 藤巻 翔 (写真) : 極限力
トレラン界のトップアスリートたちが、肉体と精神の両面の極限まで自らを追い込む世界について語ります。ただの自慢話ばかりではなく、そこに至るまでの苦悩もきちんと描かれていて、共感を覚えました。現代人はおそらく極限まで自らを追い込む、と言う体験をしたことはほとんどないのではないでしょうか?極限まで身を置くことで自分の限界がわかり、そして少し限界の枠が広がっていくように思います。そういうことをトレランやマラソンは僕に教えてくれました。
丹羽薫さんら知り合いも取り上げられていてそれ故一気に僕は読んでしまいました。トレランに興味がない人には理解しがたい世界かも知れませんが。。。。
ジャレド・ダイアモンド: 未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか (PHP新書)
内田樹氏は、日本辺境論の中で「学ぶ力」とは「先駆的に知る力」のことで、自分にとって死活的に重要であることをいかなる論拠によっても証明出来ないにもかかわらず確信できる力と記しました。
正確に「未来を読む」ことは、誰にもできないことくらいわかっているわけですが、それでも少しでも推測しながら現在を生きていくことを積み重ねていくか否かでは、将来的に大きな何かの違いが生まれてくるのではないでしょうか。
ジャレド・ダイアモンドやハラリ、リンダ・グラットンらの見通す未来像に耳を傾けながら、来るべき未来を楽しみに迎え入れていこうと思います。
また、未来のことのみならず、現在の日本の移民の受け入れの遅れや、動物の本能を失った我々に危機感が欠乏していることとパプアニューギニア人の異常な慎重さをconstructive paranoiaと表現していることなど大変興味深いものでした。ちなみに僕は実験するときに結構constructive paranoiaに近い状態だったかもしれません。ただ、慎重になりすぎて実験をしないのは最悪なので、やはりconstructiveという点が重要なのだと思います。
ハラリ氏は、AIにともなるuseless classの出現を述べられ、これはどこでも聞く話ではありますが、医者も特に診断においてはAI抜きに今後の進歩はあり得なく、そうすると医者は減ってもいい(というか一人一人の仕事の負担が軽減されて欲しい)。
また、かつては「学ぶ時期」を経て、それを「使う時期」に移行させることでプロフェッショナルとして生きていくことができたけれど、これからは時代の変動が早いため学んだことを使って生きていける期間は短くなっていきます。となると我々は死ぬまで学び続けないといけない訳で、ある年になったら悠々自適に、、というわけにもいかないでしょう。僕はもうすぐ50才ですが、いつまで学ぶことを楽しいと感じ続けられるのか予想がつかないですが、今はアカデミアにいることが楽しいので幸せだと改めて感じました。大学は、人事や事務仕事などの楽しくない仕事も多いわけですが、それ以上に若い人達とふれあったり、困難な疾患に立ち向かったり、基礎や臨床研究をしたりと知的刺激に満ちあふれています。
佐藤 恵美: もし部下が発達障害だったら (ディスカヴァー携書)
これはなかなかよくできた本です。発達障害の解説から始まり、次に、様々な事例に対して、「なぜこうなるのか」
「本人はどうしたらよいのか」、そして「上司はどうしたらよういのか」というコンテンツになっています。
それ故、上司としてでなく、自身が発達障害かも、と思ったらこの本を手にしてみるといい指南書になりえます。
僕自身が子供の頃はADHDだったと思います。それを受け入れてなんとかいろいろと適応しようと苦労してきました。今でもいろいろと忘れ物が多いし、思考があっちゃこっちゃに飛び散ります。そんな中でどうすれば大ポカをやらずにすませることができるかにいまだに苦労しています。ということで、医局でもみんなにいろいろな粗相を大目に見てもらっています。
川村 元気: 仕事。 (文春文庫)
文庫本としての新刊になります。単行本は4年前に発刊されていますが、その新鮮度はまだ保たれています。
川村元気さんは「君の名は」、「怒り」、「電車男」などの映画のプロデューサーとして有名ですが、まだ30代のエネルギー溢れる若手です。
彼の人生を楽しくするために働く「仕事。」というコンセプトに僕は強く賛同しますし、また、彼が対談した12人の方たちのリスト:山田洋次、沢木耕太郎、杉本博司、倉本聰、秋元康、宮崎駿、糸井重里、篠山紀信、谷川俊太郎、 鈴木敏夫、横尾忠則、坂本龍一は僕の好きな人ばかり。
彼らが30代に何をしていて、そして辛いとき、どうやって乗り越えてきたのか。川村氏は正直にその思いを一人一人にぶつけるわけですが、十人十色の答えがあり、僕はこの対談を通して、あたかも自分が彼らと実際に会って話しているような不思議な感覚に陥りました。
そしていろいろな発言があるわけですが、それが全く違う仕事をしている自分にも当てはまる事が多くて。
巷に溢れているマッキンゼーやらハーバードのMBAをとったとかで自慢している人達の薄っぺらの本とは全く違う言葉の重みがあります。
是非とも時間をとってこの本を手にしてみてもらいたいです。
永田紅: 春の顕微鏡 (塔21世紀叢書)
歌人永田紅さんの歌集です。永田さんは、永田和宏・河野祐子ご夫妻の長女でもあり、これって遺伝子的にも環境的にも凄いですよね。Nature & Nurtureな訳ですが、ただ、そういう枠に収まらずに、伸び伸びと自分の研究生活や、また生と死についての読み手に突き刺さってくるような歌もよまれています。
ご本人も書かれていますが、まるで長編小説のような分厚い歌集だと思います。
本庶 佑: がんを消す免疫薬の真実【文春e-Books】
本庶先生のお仕事や、この数年の科学政策や製薬業界における問題点に対する意見を知るには一番わかりやすいです。
平野 啓一郎: ある男
全作「マチネの終わりに」から約二年待っての新刊。
一気に読みました。この作家の引き出しの多さを改めて感じさせてもらいました。彼の最近のこだわりの「分人」をまた違う角度から捉えた作品で、読後感も凄くよいので今年の一押しです。
平野氏は、SNSでの意見からはかなり偏った思想の持ち主と見ていますが、作品の中では、例えば死刑制度に対しても賛成と反対の両意見を取り込んでこちらに考える機会を与えてくれます。
村上春樹氏と比較するのは間違っているかも知れませんが、平野氏が作品の中で描く人間像や作り出す世界観のようなものは、決してまさるとも劣らないと感じますし、また、重ねての言及になりますが、引き出しが多い。次はどんな世界を展開してくれるのかをとてもワクワクしながら待てる作家です。
立山 秀利: 入門者のPython プログラムを作りながら基本を学ぶ (ブルーバックス)
まだ読み始めたところですが、具体例がきちんと示されていて凄くいい本だと思います。
Visual Dermatology2018年臨時増刊号: 皮膚科本音トーク (Visual Dermatology臨時増刊号)
この本は、visual dermatologyの歴史の中でももっともユニークな企画の一つです。僕も「アトピー性皮膚炎の今とこれから」、「AIは皮膚科を滅ぼすか?」の二企画に参加させてもらいました。
塩原先生・江藤先生・今山先生らのぶっちゃけトークに比べると自分の到達しているところがまだまだひよっこだと思わざるを得ない。この企画はまた数年後に是非やりたいものです。
堀江 貴文: (146)自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新書)
内容はこれまでの彼の作品とさほどかわりません。それをわかってはいるのですが、たまに彼との対話を楽しみたくて読んでいます。
悪くいう人が多いですが、正直な人です。
ということで、少し。
「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人は金持ちにならない」 byサッチャー
これは英語の方がわかりやすいです。
“The poor will not become rich, even if The rich are made poor.”
いいと思ったのは、「解決しなければならない課題は必ずその日のうちに解決する。だから、悩み事で不眠になる、という感覚はない」というところでしょうか。僕も同感で、研究していたときは、必ずデータはその日のうちに全て解析し、考察してから帰宅してました。これは大学院のみならず、留学中にもずっと続けていました。
そしていまはどうかというと、人事などの問題は、なかなか自分だけの考えでは解決しないことが多いので先延ばしにすることで、かえってストレスを溜めてしまっています。あかんですね。
もう一つ、「世の中には熱中できてない人が多すぎる」という点。これは先日小澤征爾さんも同様のことを述べられていました。全く同感です。死にものぐるいに熱中して何かを成しえた体験をせずにこの世を去るなんて僕には絶対にあり得ないです。
塚崎 朝子: 世界を救った日本の薬 画期的新薬はいかにして生まれたのか? (ブルーバックス)
以下、目次からですが、そうそうたるメンバーです。知り合いも多いし。。。こういう本を読むと、自分も創薬でなんとか世の中の役に立つようなこともしてみたい、という気持ちが湧いてきます。
内容紹介
21世紀に入り、日本初の画期的新薬が続々と登場している。こうした新薬の開発に日本人科学者や日本企業が重要な役割を果たしている。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」を開発した本庶佑・京大教授や、肺がん治療の「魔法の弾丸」といわれる分子標的薬「ザーコリ」の開発に貢献した間野博行・国立がんセンター理事などを取材し、新薬開発の舞台裏を詳細にレポートする。製薬業界や薬学部学生必読の一冊
第1章 画期的新薬を創った日本人科学者たち
第2章 世界を救った薬
・イベルメクチン
3億人を失明から救った画期的新薬でノーベル賞(大村智)
・ファビピラビル
新型インフルエンザとエボラ対策の「切り札」を開発(白木公康)
第3章 がんを薬で治す時代に
・ニボルマブ
免疫治療に革命を生む免疫チェックポイント阻害薬(本庶 佑)
・クリゾチニブ
肺がん治療の「魔法の弾丸」となる分子標的治療薬(間野 博行)
・トラメチニブ
世界唯一のスクリーニング法で開発したMEK阻害薬(酒井 敏行)
・モガムリズマブ
難病「成人T細胞白血病」の光明となる抗体医薬(上田 龍三)
第4章 生活習慣病を抑え込め
・カナグリフロジン
腎臓を標的にした全く新しい糖尿病治療薬(野村 純宏)
・ジルチアゼム塩酸塩
日本発ブロックバスターの先駆け(長尾 拓)
・カンデサルタンシレキセチル
米国大手との熾烈な競争で誕生したヒット商品(仲 建彦)
第5章 ペプチド・ハンティングから薬へ
・ボセンタン スボレキサント
ペプチド探索で創薬につながる新規物質を発見(柳沢 正史)
第6章 中枢神経に働きかける
・アリピプラゾール
研究打ち切りの危機を乗り切り、全米処方薬トップ10に(大城 靖男・菊地 哲朗)
・ナルフラフィン塩酸塩
夢の鎮痛薬の臨床試験失敗から誕生した痒み止め(長瀬 博)
第7章 難病もよくある病気も
・フィンゴリモド塩酸塩
生薬「冬虫夏草」の成分を用いた多発性硬化症治療薬(藤多哲朗)
・タムスロシン塩酸塩
産学連携が生んだ前立腺肥大症治療を変えた新薬(竹中登一)
白川 英樹: 私の歩んだ道―ノーベル化学賞の発想 (朝日選書 (670))
飛騨高山育ちの白川氏の伝記です。今回甲子園で活躍していた大阪桐蔭高校の根尾選手も高山育ちだったりして、僕の生まれが高山市であることも重なり勝手に親近感を抱いています。
松岡 正剛 佐藤優: 読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)
タイトルとはあまり関係なく、知の巨匠の二人が幾つかのテーマをもとに言いたい放題の書。
こんな変人が世の中にいることに驚きつつ、そしてこのような人達がいてくれることはありがたいことだと感じるための書でしょうか。
実験医学 2018年9月 Vol.36 No.14 疾患を制御するマクロファージの多様性〜マクロファージを狙う治療戦略の序章
週末に一気に読みました。阪大の佐藤荘さんの企画が素晴らしい。マクロファージはまだまだ魅力に溢れている。
見城 徹: たった一人の熱狂 (幻冬舎文庫)
当科の大日先生に教えてもらって読みました。幻冬舎の設立者。
暑苦しいほどの情熱のある人で、ただ、僕はこういう人はちょっと信用できないな、と思ってしまったりもするのですが(会ったこともないので間違っているかも)、それでも人生を送る上でのヒントはたくさん込められていると思います。
ただ、やはりどうしても気になるのは、この人もそうだし、ホリエモンとかもそうなんだけど、あまり敬意を抱くことはないんですよね。マッキンゼーの人とかが書いた本の著者もみんな同じ。平成の成功者の特徴でしょうか。
僕は京セラの稲森さんとか、その少し前だと、本田宗一郎、松下幸之助、井深大さんとか、そういう自分の理念や哲学のある人にやはりあこがれます。
平澤興: 山はむらさき 新装版
元京大総長の平沢先生の自伝です。1900年生まれで僕が京大に入学した年に逝去された方です。錐体外路系の研究などをされた元京大の解剖学の教授です。
最近の僕の興味は、なぜ我々のメンタリティが軟弱になってしまったのか、ということです。
この本はわずか100ページちょっとですので1時間もあれば読めてしまうと思います。そこに描かれている昭和初期から中期にかけての大学の姿には、今失われてしまった何かを感じます。
いくつか気になったところを。
「学生を奮い立たせるためには、教師自らが燃えなければならない」
「迷いや煩悶は若い人には誰にでもある。それを乗り越えてこそ、はじめて望ましい人間が生まれる」
「趣味は学生諸君との楽しい生活」
などなど。。。
30歳で新潟医科大(今の新潟大)の教授になったそうで、今では考えられないですが、でも平沢先生のような教師の元であれば、教室員も幸せだったのでは、と思います。
多賀 千之: たがのわ 多賀先生のあったか子育てアドバイス 第2巻
第二巻になります。今年の5月に発刊されました。
多賀 千之: たがのわ 多賀先生のあったか子育てアドバイス 第1巻
医学部の学生の4回生の時に、3ヶ月ほど米国のNIHキャンパスにあるFDAというところに留学する機会を頂きました。実は留学するまでに研究室に一年間ほどぼちぼちと通わせていただいていましたが、授業や部活、アルバイトなどもあり、研究の魅力というものをそれほど感じる事はできぬままでした。
米国では、金沢大の小児科出身の多賀一之(たがかずゆき)先生にご指導いただき、僕の研究に対する思いが大きくそこで変わりました。
仮説を立て、実験し、結果を丁寧に観察して、そして自身の仮説が正しかったかを検証する。というプロセスを学ばせていただきました。学生にそこまでしっかり教育することはとても大変なことなのに、本当に感謝しています。
また、当時の多賀先生のボスのGiovanna Tosato先生も大変優しい先生でした。いいボスに恵まれて、僕は研究というものを将来やりたいと思って残りの学生生活を過ごし、そして皮膚科への入局を決める事になったのだと思います。
多賀先生との出会いがなければ間違いなく僕の人生は変わっていました。
さて、多賀先生はいま、石川県で小児科を開業されていますが、その傍ら、講演会を年に100回近く、そして子育てに関する書籍まで出版されています。エネルギーはいまもあふれ出んばかりです。
この「たがのわ」という本も第二巻が出版されています。僕の妹家族に、アマゾンでプレゼントしてみました。。。
最新 美容皮膚科診療ナビゲーション
美容にはそれほど興味はないのですが、老化には興味があります。そして美容と老化は切っても切れない関係にあり、僕としては、美容の中からいかに「老化」という興味深い生理現象を切り出して、そこを真面目に深めていくべきかに結構関心があります。
この教書は僕の好奇心を満たしてくれるものでした。
清水宏: あたらしい皮膚科学
言わずもがなの名著です。この成書がある限り、他の教科書をつくる必要はもはやないのでは、と思えるくらいです(治療に関しては別ですが、治療の詳細はこの教科書のout of scopeで、それで僕も正しい路線と思います)。
第三版になり、さらに写真も増えました。皮膚科医であろうがなかろうが、手元におくことを強くお勧めしたいです。
(医学部の学生さんにもそう説明しています)
井村 裕夫: 医の心―私の人生航路と果てしなき海図
僕が大学を卒業するときに京大総長だった井村先生の自伝です。今自身がこうして大学で教官を務めているわけですが、何が自分に欠けているのかを自省する良い機会となりました。
特に印象に残ったのは、沼正作先生との会話です。
「近頃の若い人は簡単にデータが出る研究を好む傾向があるが、思い切って困難案問題に挑戦して欲しい。京都大学は登山や探検で有名であり、それで命を落とすこともある。研究では失敗しても命まではおとさないのであるから是非思い切った挑戦をするべきであると若い人に伝えて欲しい」
この言葉が、沼先生の井村先生の遺言となったそうです。この言葉は今の自分にも重い意味があります。
日野原先生との思い出の中では先見性と行動力、努力の重要さを感じました。「飛行機の中でワインを飲んで寝ていてはダメ。印象が強い間に文章にしなさい」とのことでして、僕は全くダメ人間です。
翠川先生は京大の教授の中でも、非常に情熱的、行動的、かつ思いやりのある方だったようで、翠川先生のお名前はしばしばうかがってきましたが、実際にお目にかかることはなかったのが残念です。今の教授会が、客観的にみて、どこが良くて悪いのか、そういうことをもっと知りたい思いに駆られました。
石坂 公成: 我々の歩いて来た道―ある免疫学者の回想
僕はこの本を3回ほど読んだと思います。
石坂先生がお亡くなりになられたのは、本当に残念です。
他科医から訊かれるこの皮膚病はなに? (皮膚科フォトクリニックシリーズ)
いわゆる「宮地本」の最新作(の一つ)となります。
この2−3ヶ月はほとんど読書ができず、ベッドで読書をする余裕もなくネオチしてしまっています。ですので教科書の紹介です。
さて、この教本ですが、皮膚科よりもむしろ他科の先生が読むといいのではないかと思っています。あるいは、専門医を未取得の皮膚科レジデントの方など。本当は医学部の学生さんも、これくらい勉強しておいて欲しいところです。
永田 和宏: 知の体力 (新潮新書)
この本を読んだら、僕のブログにアクセスする必要はないですね。。。僕の伝えたいこと以上のことが著されています。
過保護なっている大学への警鈴。
学習と学問の違い。
学んでから始めるのではなく、始めつつ学ぶことのすすめ。
一度きりの自分の人生をどう生きるのか?
今の日本は親が子供の自立を妨げていること。
河合隼雄先生や木村敏先生の話。
などなど。
輝いている自分と巡り会うために、この本はいろいろなヒントを与えてくれます。
人生はいつでも再スタートを許してくれますから、みんなが輝きのある人生を送って欲しいと思います。
阿刀田 高: 詭弁の話術 即応する頭の回転 (角川文庫)
古い作品なので、話題も今の人達にはちょっと通じにくいところもありますが、言葉遊びという点で、凄く気に入っています。
今日から私の履歴書で彼の自伝が始まりました。どんな奇遇かわかりませんが、ちょうどkindle本で昔を懐かしみながら読んでいたときだったので、びっくりしたところです。
当時は筒井康隆氏とかひねた性格の作家が多かったですが、今はストレートな時代やなあ、と感じます。
鈴木 長十: 新・基本英文700選 (駿台受験シリーズ)
この本を知らない人は少ないのではないでしょうか。
大学受験の時にお世話になりました。
最近海外出張して感じるのは自分がものにしている英文が少ないと言うことです。
これを克服するためには、この本が一番ではないかと思って、改訂版を購入しました。
そしてCDを聞きながらshadowingをしたりしています。
僕はこの本は自分にとって大変有益と確信しています。
佐藤 優: 十五の夏 下
この本、とてもおもしろい。できるだけ若いうちによむべき。
高校一年でこのような旅行を決行したのは本人自身はもちろん、彼を取り巻く家庭などの環境などすべてが普通ではないです。
さすがは高校生だけあって、あまり冒険はしていませんが、それでもこれだけ最高の旅ができたのは素晴らしい。
大学生はもっと世界に揉まれる経験をするべき。そして、科学者も同じ。
そう言う事を感じながらようやく下巻に入りました。
五木寛之 佐藤優: 異端の人間学 (幻冬舎新書)
最近は、夜、ベッドに入るとすぐに寝てしまうので読書が進んでません。ただ、この本は、一気に読めてしまいました。
ロシア通の二人の対談ですが、ロシア人の内面世界をかたるのみならず、ロシアの枠をはるかに超えた内容に拡大しています。
のっけから「人間は一生のうちに逢うべき人に必ず会える。しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに」という森信三の言葉から始まります。これってその通りだと思います。
そしてウクライナ問題とかカヤカベ教などの宗教の話に進みます。スノーデン事件の話などが出るのですが、中西輝政氏の発言ともかさなりますが、日本の情報戦のもろさというかデータ主義の貧しさがずっと気になってしまいます。
そんな中、Black Mirrorという近未来をドラマ化したものをみたりしましたが、さらにその思いは強くなりました。
一方で、アウシュビッツの話題も出てきますが、「ユーモアと情感、そしてセンチメンタリズム、この3つの持ち主が生き残った」という部分に凄く納得しました。
とまあ、なんとかこれからの時代を生き延びていかなければなりません。
泉 孝英: ガイドライン外来診療2018
自身がアトピー性皮膚炎の項を担当しましたので、送られてきました。
対象が幅広いので皮膚科医向けというよりは、開業医さん向けか。。。とはいえ、この本に忠実に医療を行っていただけるとするなら、かなり高いレベルまで到達できるのでは。
日野 治子: 口腔粘膜病変アトラス: 口の中をのぞいてみよう!見えない病気が見えてくる
写真が多くて、リファレンスとして凄く役に立つと思います。
体の皮疹はみても、口腔内をのぞくことを忘れがちですので、自分を戒める意味でもいい刺激を受けました。
安宅和人: イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
この手の書籍は世の中にたくさんあり、それにもう、マッキンゼーの関係者が似たような本を出版しまくっている現状にはもううんざりしています。
ただ、まあ、この本は研究者には悪くない本です。
おそらく研究者が、自身がfirst authorとして世に出せるfull articleは、人生でも数編と思います。
となると、そのテーマ選び、そしてそれをどのように論文まで持ち込むかはそれなりのstrategyがあるべき。
この作者はマッキンゼー出身でありながら生物学者でもあり、また、著作の中でも利根川氏やファインマンさんなどの科学者の言葉を適宜引用しています。
それが僕には結構響きます。もちろん研究は、こういうstrategyによって達成されるわけではない事はよくわかっています。ただ、日本人全般に言えることですが、多大なる努力をうまく結果に結びつけることができない人が多いので、こういう本を読んで意識を変えることはそれなりに大切なのではないかと時に思います。
ちょうど今、4月から研究室に入ってきた若者達がいるので、彼らにどのようなテーマで進めていこうかと考えていたのでこの本をふと思い出しました。
月刊ナーシング増刊 見てわかる患者の異変図鑑 2016年 10月号
以前頂いたので、さっと目を通してみました。看護士さんにお勧めです。
永田 和宏: 生命の内と外 (新潮選書)
対象とするテーマは、細胞や生命の定義という根源的なものから、上皮細胞、タンパク合成、恒常性などと幅広い。
僕に取っては、皮膚の話や免疫の話は、やはり興味深く、永田先生がこのあたりのことをどのようにお考えなのかは参考になります。
それにしても、よくもまあ、これだけ仕事をどんどんやっていけるものですね。
ここしばらくは永田先生に完全密着、という感じです。
短歌 29年12月号
永田和宏先生という人物に興味を持たれた方にお勧めの一冊です。
永田先生の素顔をうかがい知ることができます。
一人の人をしっかり理解していくプロセスは、自分を知る過程と似ている気がします。
永田 和宏: 歌集 午後の庭 (塔21世紀叢書) 永田和宏著
永田・河野ご夫妻の歌を読んでいると、短い言葉の中から広がる想像の世界の大きさを感じることができます。
自分が行っているサイエンスにおいても、そういう仕事をしたい。ごちゃごちゃfigureがならぶのではなく、すっと読み手の頭に入り、かつ、広がりのある仕事。
言葉を大切にする意識がたかまると、頭の中の構造までも変化するような気がするのはなぜでしょう。
佐藤 優: 十五の夏 上
早速読み始めました。
僕が海外旅行を始めたのは二十の夏。
それまでは興味があったけど、部活に明け暮れたり、せっかくの夏休みを車の免許の取得など、そんなことに使ってしまっていました。
佐藤優氏とは一度お話したことがありますが、もの凄いオーラを放たれていて、とても叶わないとすぐに悟りました。
十五と二十の違いは三分の四、というだけの次元ではなく、その後、指数関数的にその差は拡大していくのではないかと思います。
その彼の十五の世界にこれから浸る予定です。
西部 邁: 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱 (講談社現代新書)
西部氏の渾身の一作。経済などの一部の話は僕はあまり興味がないのですが、日本人論、日本文化論、教育論など、西部氏ならではの幅広く、また鋭い視点に圧倒されました。
このような方が亡くなられてしまったのは大変惜しい気がしますが、自裁死(ある意味の尊厳死に近いかと思います)を遂げられた彼の魂がここに込められています。
永田和宏: 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)
海外出張の機内で読み終えました。いつもながら、4名の方の講演も素晴らしいのですが、永田先生が対談を通じて相手の引き出しをすいすいと開けていってしまうのが凄いです。この対談を読むと、自分が周りの人と鈍い感性で対峙しているかが知れてしまって恥ずかしくなります。
世の中には多数の対談集がありますが、インタビューアーが、そもそも自分の中に何をもっているのか、が実は一番大切なのではないかと。
以下、アマゾンからの引用。
第1章 池田理代子(劇画家・声楽家)
自分が今ここにある意味を見つけよう
「人間の一生のうち、自分がやりたいことにチャレンジできるチャンスというのは、一回か二回巡ってくるかこないかだと思います」
第2章 平田オリザ(劇作家・演出家・青年団主宰)
わかりあえないことから
「コミュニケーション能力なんていうものは大したことはない。恐れることはないんです」
第3章 彬子女王殿下(京都産業大学日本文化研究所専任研究員)
石橋を適当にたたいて渡る
「自分に対して嘘をつかない正直な生き方をすることを、留学を通して学んだ気がしております」
第4章 大隅良典(東京工業大学栄誉教授・2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)
知りたいという欲求
「信頼する人が面白いと言ってくれることだけで、相当な苦労もしのげるようになります」
宮沢 賢治: 新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
宮沢賢治の作品の中では、銀河鉄道の夜がやはり一番のお気に入りです。といっても、他の作品をそんなに沢山読んだわけではないのですが。
これを機にいろいろ読み返そうかと思っています。
ちなみに、銀杏BOYZの「銀河鉄道の夜」という曲もすごく好きです。
ジョン・ネイスン: ニッポン放浪記――ジョン・ネイスン回想録
ニッポン放浪記というおもしろい本を読みました。この本は、才能豊かな、でも、ちょっといい加減なアメリカ人の一自伝です。大江や三島の作品を英語に翻訳してきたひとだけに、日本を作ってきた昭和の人達との交流を作品の中で体験できることは、とても有意義でした。
アーナルデュル・インドリダソン: 緑衣の女 (創元推理文庫)
amazonの内容紹介から。
「男の子が拾った人間の骨は、どう見ても最近埋められたものではなかった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。世界中が戦慄し涙した。究極の北欧ミステリ登場。 」
この本はもしも僕が言語を読めたら原著を読みたいです。この飜訳は、どうもやわやわしくて、荒々しさはあまり伝わってこなかった。。。
ミステリーではありますが、途中で話の筋は読めてしまいます。それでも読み進めたくなるストーリー展開があり、現代のミステリーの作家の中ではかなり好きな部類に入ります。
つくづく、松本清張とか凄いなあ、と思います。
ジョン ブルーワー: ランニング・サイエンス
これまで散々いろいろなランニングの本を読んできましたが、これが一番わかりやすくランニングに関する科学を解説してくれています。
イラストも多いし、比較的エビデンスもしっかりしています。
個人的には、カフェインの効用とか、体重とランニングエコノミーの関係、食で気をつけるべきことなどが役に立ちました。
おそらくどんなレベルの人にも有益と思います。ちょっと高いかも知れませんが、こういうのでタイムがよくなったり、普段の練習の意識が変わるのであれば、十分有益と言えるかと。。。
塩野 七生: 男たちへ (文春文庫)
現在の塩野七生ほどの迫力も説得力もないですが、ヨーロッパと日本の男性の違いを彼女の感性でバシバシ指摘してくれてかなり楽しく読めました。
そして女性のこともさりげなくちりばめられています。
「女は結局のところ、頭の良いのが最高だ」という丸尾長顕氏の言葉から始まります。
「頭の良いことが最高」というのは男にも当てはまり、ただ、頭の良い、というのは、
「何事も自らの頭で考え、それに基づいて判断をくだし、ために偏見にとらわれず、柔軟性に富み、それでいて鋭く深い洞察力を持つ」と言うことです。
あと、人前で泣く男、についての話も面白く、まあ、彼女のことなので、もちろん人前で泣く男は嫌いな訳です。しかしそこから話は飛んで、塩野さんは「苦節十年」とかそいうのがそもそも嫌いで、たしかにそういう人はえらいとは思うけど、そういうことをいう人はなにかしらゆがんだり貧乏くさかったりするところがあかんようです。できるならば人間、日の当たる道を進むにこしたこと無し、とおもわれているようです。特に40歳以降の人生はその人自身のせいで幸運にも不幸にもなるので、その年を過ぎた人が自分の人生の不幸をぶつぶつ言うのは見苦しい、との論理です。
ただ、彼女も唯一許せる男の涙があるとのことで、それは別れたいと告げた女に対し、ハラハラと涙を流しながら留まって欲しいと願う男の涙、とのことです。
これは僕には良く理解できませんでした。やはり女心は難しい。
牧野正幸: 「働きがい」なんて求めるな。
年末に本を一斉処分しているときに、この本を買ったのに読んでなかったことに気付きました。
ということで、読んで処分しました。
これからは基本的に読み終わった本はすぐに処分してしまうつもりです。
この本で再確認できたことは、メールに依存せず対話することの重要性と身だしなみをきちんとすること。
特に後者は僕は気をつけないと。
恐妻家とダメ社員に共通する欠点、という話は結構面白くて、「本来なら恐れる相手でもない人を恐れてしまう」とのことでした。たしかにですね。
うちは恐れるべき事をわかっていて、こっちはこっちの正しいと思うことを言ってしまうからもっと状況は複雑です。
村上 春樹: 回転木馬のデッド・ヒート
どういう理由だったか忘れたのですが、「タクシーに乗った男」という作品をどうしても読みたいと思って、本作品が収録されている回転木馬のデッド・ヒートを購入しました。
この本は村上春樹氏の実体験に基づいた作品集でして、こちらも追体験しながら読み進めていきました。
そして、あらためてタクシーに乗った男が素晴らしいさくひんだったことを確認。しかし、なぜこの作品を読もうと思ったのか理由がどうしても思い出せない。
googleで検索したけど、それらしい記事は見つからず。理由を誰か教えてください。
宮野 公樹: 研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)
学会などで発表しているときに、いい発表はもちろんパフォーマンスにもあるのだけど、見やすくわかりやすいスライドを準備しているところに負うところが大きいと思います。どんなスライドがいいのか、それをこの本はきちんと示してくれていて、自分のスライドでも随分修正するべきところが見つかりました。
これから勝負のプレゼンテーションを迎える方もあるかと思いますが、一読することをお勧めします。
先日たまたま生協で見かけて買ってみましたが随分と勉強になりました。
お勧めです。
山際 淳司: 江夏の21球 (角川新書)
この本を読まずして野球は語れない、というくらいの名作。こういう人物の存在が今の球界に感じられずプロ野球から少しずつ離れていった気がします。
石毛 直道: 世界の食べもの――食の文化地理 (講談社学術文庫)
私の履歴書の連載がおもしろかったので、一冊購入してみたら、既にかなり前に家内が読んでいたようで、また同じ本が二冊。。。
食が文化として語られるのはいまや当たり前になりつつあるけど、僕が子供の頃は文化もくそもなく、目の前のご飯をおいしく食べるだけでした。
一日を振り返ると、仕事と食事とトイレと睡眠でほとんどが終わっているわけで、これから食事と睡眠をどうするべきかはいろいろとおもしろさが残っていそうです。
吉野源三郎: 漫画 君たちはどう生きるか
漫画でありながら、なかなか力強い作品でした。
良かったと思います。
若い人に読んで欲しいですね。
関野 吉晴: グレートジャーニー探検記
この人はただ者ではないです。まずはイントロとして手にしてみましたが、更なる興味を覚えましたので、これからもう少し彼の本を購入する予定。
湯川秀樹氏が、
「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。地図は探求の結果として、出来るのである。目的地がどこにあるか、まだ分からない。もちろん、目的地へ向って真直ぐな道など、出来てはいない」
と述べられてましたが、探求心を有する研究が圧倒的に面白いし、そういう研究に若い人がのめり込んで欲しいと思います。
僕の場合は、いま自分で実際に手を動かしているわけではないので、それはとても残念なことですが、どれだけ研究室の若い人達と思いをシンクロできるか?もしもできなくなったら研究を止めるべき時だと思っています。
磯野 真穂: 医療者が語る答えなき世界: 「いのちの守り人」の人類学 (ちくま新書1261)
amazonで実物を見ずに購入すると失敗することもある、という一例です。
残念ながら、タイトルに見合う内容ではなかった。こういう論文を査読したら即rejectにするでしょう。
行方 昭夫: 英語のセンスを磨く――英文快読への誘い (岩波現代文庫)
この本はいわゆるハウツー本ではありません。
モームなどの美しい英文が30編ほど準備され、その文章をどう解釈するのかをcontextや欧米の文化に基づいて解説する素晴らしい教書です。
10編ほど読みましたが、一つ一つを読みこなすのにもの凄いエネルギーと時間を要してしまうので、一気に通読するのは止めました。元気なときに1-2編ずつでも読みながらじっくり楽しんでいこうと思います。
免疫学コア講義
僕も一部貢献させて頂きました。
免疫学の知識は常にupdateされていっていますが、それらがきちんと反映されています。
医学部の学生さんや、免疫の研究を始められた方には非常によい教科書だと思います。
医師と患者のためのパッチテスト・アレルゲン解説書
おそらく外来患者でもっとも多いのが湿疹ですが、その中で多くを占めているのが接触皮膚炎だと思います。
外来で湿疹と診断が付いても、なぜ湿疹がそこに起こっているのかを突き止めることは至難の業です。
この解説書はアレルゲンによる皮疹の特徴などが網羅されていて皮膚科医にとって必携の書籍と思います。
最近の人達は教科書を買わなくなってきていますが、僕には全く理解ができません。
死ぬまで勉強やと思います。
松尾スズキ: 東京の夫婦
ほのぼのとした夫婦の話。松尾氏も随分とまるくなったもんです。
北九州の出身ということもあり、折に触れて映画をみたり演劇をみたり、と長い間楽しませてもらっています。
仲野徹: こわいもの知らずの病理学講義
http://www.sankei.com/life/news/171021/lif1710210011-n1.html
の書評にはオランウータンとまで書かれている仲野徹先生の著書。
ようやく読了。。。
さすがに予備知識がある程度ないと理解はつらいところもあるとは思いますが、医学関連書の中ではこれほどわかりやすい例えで説明された書籍はないと思います。
個人的には最後の40pageくらいが一番おもろかったです。がんゲノムの話はいまや大切なトピックですし、プレシジョンメディシンも避けては通れません。
ただ、帯に書かれている「ボケとツッコミで学ぶ病気のしくみ」というほどボケとツッコミが満載というわけではないので期待しすぎないように。
ガイドライン 外来診療2017
アトピー性皮膚炎と接触皮膚炎の項目を担当させて頂きました。ガイドラインもしっかりのっているし、臨床の現場ですぐに使える成書と思います。
疾病別、知っておきたい皮膚病の検査とその評価 2017年 05 月号 [雑誌]: 皮膚科の臨床 増刊
臨床の現場で使いやすいように、よくまとまっています。外来に一冊おいてあると便利かな、と思いました。
久坂部 羊: 院長選挙
野次馬根性で購入したものの、途中まで読んで離脱。読んでてあまり心地のよいものではなく、また、内容もなさそうだったので。。。でも途中までしか読んでないので、批評する資格はないですね。
Visual Dermatology 2017年11月号Vol.16No.11 痒み十人十色
室田先生の編集です。臨床の現場では、痒みを主訴に来院される方が多いにもかかわらず治療に難渋することをこれまでずっと経験してきました。
週末を利用して一気に読破しました。読み応えがあります。
山と溪谷 2017年11月号 保存版特集「再発見 高尾山 東京都心から最も近いあの山へ!」綴込付録「高尾山周辺詳細登山地図 2万5000分ノ1登山地図・高尾山中心部詳細図・関連情報・アクセス&バス時刻表」第2特集「六甲山を遊びつくそう!」綴込付録「六甲山全域ハイキングマップ」
六甲山に今度いってみようかな、とおもって買いました。土井さんのUTMBの話や、高尾山の情報もたくさんあり、僕に取ってはuseful。
鳥飼 玖美子: 話すための英語力 (講談社現代新書)
この方の本は、読者のことをとても考えてくれていることがよく伝わります。また、引用も正確だし、説得力があります。
読み物としても十分面白い。
石井 則久: VisualDermatology2017年臨時増刊号: 目で診る感染症アトラス
皮膚科の臨床診断力は、実際にその症例を経験したか、あるいは、学会や論文などでみたことがあるか、によるところが大きいです。
そういう意味でこういうアトラス本は非常に役に立ちます。
ただ、僕の興味は、その疾患がなぜこのような臨床症状を呈するのか、皮膚の中で一体何がおこっているのか、そしてそれがわかることでどう治療に応用できるか、にあります。
いずれどの診療科も診断においてはAIに取って代わられることでしょうが、そこから先は、まだまだそう簡単に人には追いつけないでしょう。
ビル・エモット: 「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
結構重い本です。
西洋化が正義とすり込まれて育った僕らの世代にとって、今の世界の現実は、西洋化とは一体何だったのか、ということを改めて問い直すよい機会だと思います。
この著者は日本の事も良く理解してくれており、単なる西洋の話にとどまらりません(実際の日本のことも、「第7章 日本という謎」という形で触れられます)。
野村 克也: 私のプロ野球80年史
野球(ソフトボール)が小学生の時の自分の多くを占めています。
ずっと巨人ファンで、ただ、いまは知っている選手も少なくなってしまい応援できてないですが、それでも自分とスポーツとの関わりではダントツで一番長い。
そういう意味で、この本をよむことでなんとなくいろいろなことが総括できました。
専門医でも聞きたい皮膚科診療100の質問
いわゆる「宮地本」200冊目という記念すべき節目の本です。いつもよくネタが尽きないなあ、、、と感心します。今回の質問もたしかにみんなが疑問に思うところで、それに対して国内の第一線の先生が的確な返答をされています。
このタイトルをみて、つい買いたくなる気持ちは十分わかります。読み物としても面白いですし、お勧めの一冊です。
追記: H29.10.23に漸く読了。勉強になりました。人生死ぬまで勉強ですね。
江川 清文: 疣贅(いぼ)のみかた,治療のしかた
イボ博士こと江川先生と、そのご子息による教書。
イボ(疣贅)だけで一冊の本ができあがるというのが凄い。しかしながら、イボほど新しい治療が出てこない疾患も珍しいかもしれないですね。
エリック・R・カンデル: 芸術・無意識・脳―精神の深淵へ:世紀末ウィーンから現代まで
いまこの本を少しずつ味わいながら読み進めています。
皮膚の研究に一番興味があるわけですが、芸術とか無意識にも惹かれるところは多いです。もっと時間が欲しい、というか作らないと。。。。
ちなみに翻訳者は須田年生ご夫妻です!
レイモンド・チャンドラー: ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
村上春樹氏の飜訳のおかげで名作がさらに輝きを増して生き返ったような感じ。70年近く前の作品故の時代背景の違いを感じられることもたのしいし、それ以上にマーロウ氏と周辺人物とのやり取りは、人生哲学そのものでした。
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「アルコール は 恋 に 似 て いる」 と 彼 は 言っ た。「 最初 の キス は 魔法 の よう だ。 二度 目 で 心 を 通わ せる。 そして 三度 目 は 決まり ごと に なる。 あと は ただ 相手 の 服 を 脱がせる だけ だ」
さよなら を 言う のは、 少し だけ 死ぬ こと だ。
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などなど。
さらに、村上春樹氏のあとがきもまた凄くボリュームがあり、それだけ言いたくて仕方なかったのだと思われます。「しかし 僕 が 彼 から 学ん だ 本当に 大事 な こと は、 むしろ 目 に 見え ない 部分 で ある。 緻密 な 仮説 ディテイル の 注意深い 集積 を通して、 世界 の 実相 に まっすぐ に 切り込ん で いく という、 その ストイック なまでの 前衛 性 で ある。」
という村上氏の文章がそれをすべて示してくれてます。
あと、職業的作家についてのチャンドラー氏の以下の言葉は、村上春樹氏がまた別のどこかで記載してましたよね。研究者にも当てはまるように思います。
「私 は 思う の です が、 生命 を 有し て いる 文章 は、 だいたい は みぞおち で 書か れ て い ます。 文章 を 書く こと は 疲労 を もたらし、 体力 を 消耗 さ せる かも しれ ない という 意味あい において 激しい 労働 です が、 意識 の 尽力 という 意味あい では、 とても 労働 とは 言え ませ ん。 作家 を 職業 と する もの にとって 重要 なのは、 少なくとも 一日 に 四 時間 くらいは、 書く こと の ほか には 何 も し ない という 時間 を 設定 する こと です。 べつ に 書か なく ても いい の です。 もし 書く 気 が 起き なかっ たら、 むり に 書こ う と する 必要 は あり ませ ん。 窓 から 外 を ぼんやり 眺め ても、 逆立ち を し ても、 床 を ごろごろ のたうちまわっ ても かまい ませ ん。 ただ 何 かを 読む とか、 手紙 を 書く とか、 雑誌 を 開く とか、 小切手 に サイン する といった よう な 意図的 な こと を し てはなり ませ ん。 書く か、 まったく 何 も し ない かの どちら か です。( 中略) この 方法 は うまく いき ます。 ルール は ふたつ だけ、 とても 単純 です。 ⒜ むり に 書く 必要 は ない。 ⒝ ほか の こと を し ては いけ ない。 あと の こと は 勝手 に なんと でも なっ て いき ます」
レイモンド チャンドラー. ロング・グッドバイ フィリップ・マーロウ (ハヤカワ・ミステリ文庫) (Kindle の位置No.8170-8179). . Kindle 版.
ひろゆき: 無敵の思考 ――誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21
ホリエモンとの対談の 「なんかヘンだよね・・・」は結構楽しく読むことが多いです。ホリエモンの事は数冊本を読んで大体理解できた気がしていますが、ひろゆき氏の方ももっとしっかり知ってみたいと思ったので手にしてみました。究極の現代人とも言え瑠な、と感じました。こういう考えを理解できないと僕も浦島太郎になってしまうなあ。。。ある意味、この人は真理・本質がだれよりも見えている人で、世界がまだついて行けてないのでしょうね。
出口 治明: 本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)
出張中に手持ちの本を読み切ってしまったことと、先日出口さんの本を読んで面白かったので、Kindleで入手。
先日の教養本の中の、「本」の項目を丁寧に取り扱ってくれています。内容は結構かぶっていますが、それはご愛敬。。。
出口 治明: 人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)
教養本はもう卒業した(つもり)のですが、出口さんに興味をもったので、読んでみました。
この方の感性が僕に極めて近いので非常にすんなり頭に入ります。
「先を読むことはできないので、どんな状況になっても自分で考えて乗り切ることができるように教養を身につける」という考えも正しいと思います。先日出口氏の事に触れましたが、
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO00162620X20C16A4X12000/
などいろいろとネットでも彼の主張を知ることができます。
井村 裕夫: 健康長寿のための医学 (岩波新書)
これからの医療は「死なせない医療ではなく、いかに健康に生きるか」が重要であるかということに異論を唱える人は少なくなってきていると思います。ただ、それを頭の中でわかりつつも、それでもいざというときにはそれを受け入れる事ができない人が多いのではないでしょうか。
本書では、どうすれば健康に生きられるか、そして先制医療ができるかについて科学的なエビデンスに基づいて、その問題に真正面から取り組まれています。
一般の人でも理解できる様にかみ砕かれつつも、生命科学者にもしっかり読み応えのある素晴らしい内容。
80歳半ばでありながら井村先生って一体どうやって最新の科学をupdateしているのか、本当に不思議。
日野原先生、早石修先生など、超一流の人の遺伝子を解析する研究をもっと真剣に行い、僕がぼける前に臨床応用して欲しい。
平野 啓一郎: 自由のこれから (ベスト新書)
彼の掲げる「分人」という言葉には僕はもう飽きてしまってますが、上田泰己さんとの対談は楽しく読めました。
ケント・ギルバート: 儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇 (講談社+α新書)
最近見かけないと思っていたらこっち方面で活躍してたんですね。
内容は低いevidenceに基づく感覚的な点が多く、しかもかなり偏っています。
日中韓とは異なる視点にケントさんは立ってくれるものと期待しましたが、かなり右より。
今はやりの日本礼賛的な考えは僕はあまり好きではないです。
ただ、それでも、こういう考え方があると言うことを知っておくことは別に悪いことではないです。
こういう本を読んで、それを自分でどう良く砕くかですね。
米倉 誠一郎: イノベーターたちの日本史
一橋大のイノベーションセンターの米倉氏の渾身の作品。僕はやはり科学のイノベーションに興味があったので高峰譲吉や理研がどのように発展してきたかが理解できる
第6章 科学者たちの創造的対応――知識ベースの産業立国
終章 近代日本の創造的対応を振り返る
の二章が素晴らしく思えました。今後日本がどのように生き抜けるかについてヒントを多く与えてくれる本です。
強くお勧めします。
一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号―ノーベル賞と基礎研究――イノベーションの科学的源泉に迫る
最近忙しくて(これは仕事だけでなくつきあいだったり遊びだったりするので同情は不要です)本がほとんど読めてなかったのですが、これは読みました。
この本を読んで、特に自分自身がこう変わるべき、というような思いを抱くわけではないわけですが、ただ、大隅先生の研究がどのように発展していったのかを詳細に記載されているchapterがあり、そこは楽しく読めました。ジョギング仲間の吉森先生の仕事を高く評価されているあたり、なかなかの力作です。
あとは、韓国がサイエンスの発展に力を入れている記事も感じる事がありました。
アレックス・カー: 美しき日本の残像 (朝日文庫)
読みかけのところで、anaの機内に忘れてきてしまった。。。もう1度買い直して読むしかない。。。
途中までしか読めてないけど、今のところ素晴らしいので、いつかきちんとreviewしたいです。
西原理恵子: ダーリンは71歳 (コミックス単行本)
西原さんの独特のユーモアは昔から好きだったのですが、幸せ満開だとそれがでてこないですね。。。途中で疲れてしまって読むのを止めました。。。高須院長とこれからもどうぞお幸せに。
大森靖子: ユリイカ 2017年4月号 特集=大森靖子
たまにはこういう本もいいんじゃない?
免疫ペディア〜101のイラストで免疫学・臨床免疫学に強くなる!
非常によくできてます。是非手に取ってみてください!!
羊土社をよいしょするわけではないですが。。。
新谷 学: 「週刊文春」編集長の仕事術
この本、かなり面白かったです。
飛行機に乗ると、週刊誌をパラパラ読むことが多いのですが、週刊文春が一番勢いを感じます。ただ、時にやり過ぎ感や、品のなさを感じさせることもあります。そしてこの記事がそのまま世論を動かして政界の人物を引退に追い込んだりする事もしばしば。昔フライデーやフォーカスがあって、そういうのは品のない週刊誌と思われがちでしたが、文春とか新潮とかも時に同じやと思っています。
ただ、記者側からの姿勢というものをきちんと知ることがなかったので、この本はそういういい機会を与えてくれました。
それに、組織を牽引することに対する彼の考えに共感を覚えることが多かったです。
綾辻 行人: どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
ときどきミステリーも読みます。綾辻さんの作品はどれも味があって好きです。
Visual Dermatology 2015年9月号 Vol.14 No.9
この本、再読しています。皮膚を対象に動物実験を考えている方にはこれよりもいい本はないでしょう。
村上 隆: 芸術起業論
この本を読んだときの衝撃は今でもまだ脳に焼き付いています。もう10年ほど前だと思いますが、「芸術をビジネスにすること」を画家が公言することに抵抗を少し感じました。でもいまは彼のいいたかったことが本当に良くわかる。
サイエンスもいい研究をするだけではダメだと言いたい。一部の特別な人は除いて、僕らのような凡人は、いい研究費の申請書も書けないとならないし、自分の仕事のいい点をきちんと世にアピールしないといけない(「世」というのは、一般市民、と言う意味だけではなく、企業だったり、文科省だったり、その対象はとても広い)。自分の所属するsocietyでいろいろと役回りもしてsocietyからもappreciateされないといけない。コラボレーションも不可欠。そういう総合プロデューサーをさらりと演じられないとダメだということです。
西原 大輔: 日本人のシンガポール体験: 幕末明治から日本占領下・戦後まで
マニアックな本ではありますが、シンガポールに興味がある人にはお勧めです。
日本人がどのようにシンガポールと関わっていったのかが、きちんとした裏付けをもとに述べられています。たしかに昔は飛行機がなかったわけで、日本人がヨーロッパに向かう際には船を利用してシンガポールに寄港せざるを得ませんでした。その小さな島が今のような国家になるとは思いも寄らなかったでしょう。それに比べて今の日本は成長を止めてしまってますね。
養老 孟司: 日本人はどう死ぬべきか?
日本人の死生観について。
対談故に、いろいろな課題に深く掘り下げられていないのが残念ではあります。
ただ、高齢化社会が進み、社会保障制度が破綻に近づくなか、どのような医療をめざすべきかは国民1人1人が考える必要があります。
村上 春樹: 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)
自分も同じようなところを旅行したことがあったので、彼がどのような感じを抱きながら旅をしたのかに興味があったので手にしてみました。
遥かに僕よりも旅を楽しめない人だということがわかりました。僕はいろいろなハプニングが楽しみなのですが、彼には時にかなりの苦痛だったみたい。
でもそんな中で、witにとんだユーモアで作品を仕上げていくあたりが本当にさすがです。
海外出張の楽しみの一つは、その町を走りながら本屋に立ち寄ることです。マンチェスターにも村上春樹氏の著書がかなり多く取りそろえてありました。さすがやな。。。
田中 眞紀子: 父と私 (B&Tブックス)
巷に溢れている田中角栄本とは異なり家庭での彼の姿がたくさん見ることができます。
清濁併せのんで生きてきた人ですから、そういうことを受け入れつつ読むとちょうどいいバランスになるかと。
今の日本の政治家には彼のような人材はいないですが、それはサイエンスにおいても同じ事が言えるかな、と思います。どんどんそういう人が減ってきています。効率とかそんなことばかりが叫ばれていて、僕はいつも違和感を覚えます。無骨に努力を続けていく若者がいたらそういう若者を応援したいし、田中角栄の時代はそういう日本の時代だったんだと感じます。
それにしても、田中眞紀子はまだ政治家として色々と未練がありそうな感じ。そういうのも一つの血なのかも知れません。僕はずっとこの女性政治家は嫌いじゃなくて、むしろ心のどこかで応援していたのですが、ボタンの掛け違え、というか失言というか、、、が多すぎました。田中角栄氏が娘に指摘したように、「貧しさを知らずに育った」ためでしょうか。人の心がわからないところがあったように感じます。
野口 悠紀雄: 話すだけで書ける究極の文章法 人工知能が助けてくれる!
全く僕も同じ事を考えてきたのですが、さすがは野口氏。僕の知らないことを色々教えてもらえました。
携帯を使ってメールなどの打ち込みが大変億劫で、かといってしばらく前までは音声入力がしょぼかったのですが、今はもの凄い。
漸く音声入力の時代がやってきました。これを使わない手はないです。
ただ、残念な事にこの本、繰り返しが多く、エッセンスをうまく抽出してくれれば数十頁の本で完成できたはず。これが音声入力の結果であるとすれば、こちらも気をつけないと。。。
村上 春樹: アフターダーク
機内でぱらぱらと。。。今までなぜかよんでなかったので、手にしてみました。村上春樹の世界は存在しつつも、広がりはそれほどでもなく、やはり彼の作品は長編作品にかぎるな、、、と。
永守 重信: 「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる
随分前に読みましたが、この本には衝撃を受けました。本田宗一郎や松下幸之助氏のような人達は僕に取って伝説の人ですが、永守氏ならまだ現役です。
それ故、まだ時代を共有できるので、こちらにも言い訳が立ちません。
自己啓発書としてこれほどすさまじい本にはあまりで会えないと思うのでお勧めではありますが、毒が強すぎる気もします。
医師と患者のためのパッチテスト・アレルゲン解説書
この本、めちゃくちゃプラクティカルでいいと思います。
パッチテストをする皮膚科医は手にするべき必読書です。一生役に立つと思います。
島岡 要: 行動しながら考えよう 研究者の問題解決術
僕の敬愛してやまない島岡要先生の最新刊です。
一気に読みました。
今回は、悩みを抱える学部学生、院生、ポスドク、助教、PIなどの12のケースから始まります。これらの悩みの多くは僕も経験しましたし、このブログの読者も日頃感じていることではないかと思います。
それに対して島岡先生の適切なコメントがなされ、その後は、総論が繰り広げられます。
研究者というのは自分をなかなか客観的にみつめられないし、また、悩みに対して答えを見つけることが困難な事が多いわけですが、この本は、非常に的確なアドバイスを提供してくれています。
直属の上司でなく、むしろこういう印刷物から助言を受ける方が素直に受け止められると思います。そういう点で、全ての人が手にするべき本ですね。
PIと学生の両方の視点からかなりfairにかかれていることも特筆すべきかと思います。多くの本は成功者が上から目線で書かれている中でこの本はかなり異なります。
人生の指南書としてもお勧めできます。
それにしても島岡先生って、いつの間にこんなに執筆する時間を確保しているんだろう。不思議。
村上 春樹: 羊をめぐる冒険 (上) (講談社文庫)
仙台とドバイへの出張の途中で読んでしまいました。
今度はまたねじまきでも再読しようかな。。。
数年に一回の村上春樹の長編作品がでるごとにしばらくどっぷり浸かってしまいます。
ドラクエとかもそうだったんだけど、最新作はいつになるのかな。。。
村上 春樹: 海辺のカフカ〈下〉
僕は、文庫本よりも新書の方が好きなので、高かろうが重かろうが、新書を購入することが多いです。
あーたのしかった。
村上 春樹: 海辺のカフカ〈上〉
騎士団長殺しを読んだ後、どうしても僕には読む必然を感じました。。。
ということで、村上ワールドにしばらく浸りました。
先週の東京と昨日の金沢出張で読んでしまいました。
村上 春樹: やがて哀しき外国語 (講談社文庫)
本を読み返すという作業は、僕は無駄でないと思っています。特に僕のような忘れっぽい人間には、いつも新しい発見があります(そしてそれも忘れ去られていくわけですが)。
最近はKindle本も気に入っています。なれてくると、iphoneでも十分読めます。
堀江 貴文: すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 (光文社新書)
忙しい人は、アマゾンの内容紹介を読むだけでも意味があるかと思います。
彼の言動は生理的に受け付けないところも多いですが、本質を鋭く見抜く力は誰にもなかなか真似ができないと思います。
山中 伸弥 永田和宏: 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)
永田先生と、山中先生・羽生棋士・是枝監督・山極総長との対談をまとめたものです。
みなさま魅力的な人達ばかりですので、楽しく読めます。
何より凄いと感じたのは、永田先生が4人の方の魅力をうまく引き出されていて、研究者であり歌人という感性の鋭さです。
山中先生との対談で「純粋に喜べるのは若者の特権」という件がありますが、本当にそうですね。特に自分で実験をするのを止めてからそういうのが失われてしまい、自分はそれをランニングで補填している気がします。
あと、研究者である我々にもっとも良き示唆を与えてくれたのは羽生棋士でした。
「挑戦するときに気をつけないと行けないのは、ミスをしないことでなく、ミスをした後にミスを重ねて傷を深くしないこと」とあります。ゴルフでも同じですね。研究の場合は、メカニズムの詰めをしているときに本質とは違う方向にすすんで行ってしまっていることがあります。一歩後退する勇気も必要ですがそれがなかなかできないです。
あるいは、テーマそのものがあまり良くない事もあり得ませんが、一旦始めてしまうとそれをどう片を付けるかきめられずずるずる行く場合も多いです。
いずれにせよ、羽生棋士と永田先生の対談は素晴らしいので是非読まれるといいと思います。
村上 春樹: 騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編
米国出張の機内や空き時間をフル回転させて読み終えました。
第二部の半ばを過ぎたあたりから、読み終えるのが惜しくて仕方なくなり、ゆっくりゆっくり読み進めていきました。
村上春樹のねちっとしたところを時に鬱陶しくも感じつつ、それでもやはり彼の世界観は好きだな、、と。
今回も完全に引き込まれてしまい、そこから抜け出したくなくなりました。読書が終わると、なんだか大切な友人を失った様な気分になるのはなぜだろう。。。
第三部を期待しながら読み終えましたが、今回はさすがになさそう。僕の中では、十分に納得し終えました。
村上 春樹: 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
早く読みたい。。。
そのために、仕事を気合で早く終わらせようと思います。
村上春樹「象の消滅」英訳完全読解
この本は、内容が面白いだけでなく、めちゃくちゃ英語の勉強になります。
村上春樹の本文のさることながら、飜訳も素晴らしい。そしてそれに対する解説もこれまた素晴らしい。ということで、楽しみながら英語が勉強ができる魅力的な本でした。
村上 春樹: 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)
先日の出張の時に読み返しました。
出張中は長編ものもいいのですが、時間が細切れになることが多いので、ぼくには短編ものの方が読みやすいです。
藤森 義明: リーダーは前任者を否定せよ プロ経営者の仕事術
まずは、僕はM名誉教授を否定するために読んだわけではなく、最近の社長で興味がある人のひとりだったので読みました(Lixilの社長)。
内容そのものは、ジャックウェルチと一緒に働いていたときのことなど、彼の自伝のような感じで、経営者の心構えについて説かれています。
自分よりすぐれた優秀な人材を持て、というあたりは納得ですね。僕を越える人がどんどん内部にいて欲しいです。たとえば、うちでも病理や外科を担当している人材は僕をはるかに超えているわけで、そういう人がいてくれるおかげで組織は成長するし、また、僕も学ぶことがあります。また、僕からの素朴な疑問が彼らを成長させる事もあるかな、とも思っています。
立入 勝義: ADHDでよかった (新潮新書)
ADHDが一体どういう人なのかを知る上では悪くはない。でも、僕には知っている内容ばかりでした。。。
遠藤 周作: 沈黙 (新潮文庫)
タンザニア出張の機内で読みました。途中から前に進むのがもったいないくらいの気分になり、じっくりじっくりかみしめて読みました。
キリスト教徒でない自分にとっても、信仰とは何なのかを深く考えさせてくれる名著です。中学の時に読みましたが、また違った栄養を与えてもらった気がします。
映画は絶対見に行きます。
新海 誠: 小説 君の名は。 (角川文庫)
ときどき映画を見た後に原作を読みますが、アニメを見た後で原作を読むのは初めて。新海氏のこの小説は、完全にアニメの作成を意識している、というか連動しています。そのため、小説を読んでいる、というよりは、こうやってアニメを作るためのシナリオを作っているのだ、というプロセスを理解する上で興味深かったと言えます。
田部井 淳子: 再発! それでもわたしは山に登る
山好きの人にはお勧めできます。
僕は、ご主人さんのあとがきが、一番胸に響きました。
お互い理解し、respectし合っている、素晴らしいcoupleであるが故に成し遂げられた偉業だと改めて感じました。
佐藤 泰志: 海炭市叙景 (小学館文庫)
新潟大の阿部先生に以前佐藤泰志を勧められてから、「そこのみて光輝く」などの映画を見たりしていました。
佐藤泰志は残念なことに若くして自死してしまったので、この小説も未完に終わるわけですが、それでも十二分に読み応えがあります。特に前半の力強さには一気に引き込まれます。
この作家は人の弱さが痛いほどわかる人なのだと思います。こういう作品と出会えて良い新年を迎える事ができました。
ロバート・A・ハインライン: 夏への扉[新訳版]
「君の名は。」をfacebookでお勧めしたら、西川研時代からの知り合いの吉田尚弘先生にこの本の存在を教えてもらったので、早速読んでみました。
そんなに猫好きではないので最初しばらく読みづらかったですが、途中からは夢中に。
一昨日は一旦寝た後に、夜中に本の続きが読みたくなって起きてしまい、結局最後まで読んでしまい、凄い寝不足になりました。
時をかける少女に始まるのかも知れませんが、時間を行ったり来たりする話は凄く好きです。
モンティ・パイソンの12 monkeysとか、そういうSFが好きなのは、現実がつまらないと思っていることの裏返しなのかよくわからないけど。。。
南 杏子: サイレント・ブレス
アマゾンの評者(奥野 修司さん)のコメントが僕の感じたとおりですので、転載しますね。
メディア掲載レビューほか
患者の死を看取りながら成長する医師を描く
「サイレント・ブレス」というのは〈穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉〉だそうだ。その題名どおり、本書は訪問診療を受ける終末期の患者たちの死をめぐる物語である。
主人公の水戸倫子は医療技術の研鑽がすべてと信じる大学病院の女医。ある日突然訪問クリニックに異動させられる。左遷だと思って落胆するが、訪問先で死を待つ患者と向き合ううちにサイレント・ブレスを守る医療の大切さに気付いていく物語だ。倫子の進むべき道を示すようにあらわれる教授の一言がいい。「死は負けじゃない。安らかに看取れないことこそ、僕たちの敗北だからね」
百人いれば百通りの死があるように、ここにもさまざまな死がある。「私、医者なんて全然信じてないから」と言い放つ乳がんの女性ジャーナリスト。母親の失踪後も穏やかに暮らす筋ジストロフィーの青年。息子の頼みを聞き入れ胃瘻をする老母。消化器がん専門の名誉教授は、自らの死を覚悟すると一切の治療を拒否……。大学病院では見ることがなかった患者たちだ。最終話は、脳梗塞で意思疎通がはかれない父親の介護のため休職をする倫子が、死に向かう人間の家族という当事者となって苦悩する。
面白く読んだといえば失礼だが、死という重いテーマがやさしく説得力のある文章で書かれたことで、より深く死を考えさせる。小説でありながら、あまりにもリアルすぎるのは、著者が現役の終末期医療専門の医師だからだろう。ここに登場する患者は、きっと実在したんだろうな、と思いながら読んでいた。
現在は、治る可能性にかけて最後まで治療する時代から、死を静かに受け入れる時代への過渡期にある。倫子は、そんな時代の変わり目を背負った私たち自身でもあるのだろう。人は誰もが死ぬ。だが、死ぬときは安らかに死にたい。誰もがそう思っていることを、一番忘れてはならない医師にこそ読んでほしい。
評者:奥野 修司
僕はこれからの医療は、死と戦うのではなく、どのように死を受け入れるかが大切と思います。
僕はものすごく素直に受け入れる事ができると思います。この点に関しては、家内も全く同意見なので、まんざら僕の勘違いというわけでもなく、本当にそう思っています。いつでも死の準備はできています。
成毛 眞: 40歳を過ぎたら、定時に帰りなさい (PHPビジネス新書)
彼らしい発想に基づく本でした。僕は個人的にこの人のことを知らないのですが、勝手に想像するに、かなりあまのじゃくで、逆説的なことが好きな人だと思っています。
この本を読むと、僕はむしろ、こんな人間になったらダメだというメッセージに受け止められてしまうくらい。それにしても、この人は軽いです。巻末に、自分のこれからやりたいことのリストが出ているのですが、どれもくだらないことばかりで、なんともがっかりするわけですが、それでもこの人の意見には時に凄く真理をついているところもあるわけで、だからHONZとか、一定の評価を受けているのだと思います。
里見 清一: 医者とはどういう職業か (幻冬舎新書)
医者というものを、さまざまな観点から捉えた本です。僕らの日常感じていることにかなり近く、これほど的確に医者という職業の現実を暴露したものはこれまで無かったと思います。
医者を目指す人や医者に興味がある人だけでなく、一般の人に読んでもらい、医者をとりまく医療の現状を知ってもらうのに最適な本です。
2-3時間もあれば十分読めると思いますので、是非是非手にとって欲しいと思います。
今回はKindle本で購入してしまいましたが、新書で買えばよかったと後悔しています。こういういい本は、手元に置いておきたいので。
研究留学のすゝめ! 〜渡航前の準備から留学後のキャリアまで
研究留学について、門川先生の研究留学術が非常に良くできているので、それ以上の本はなかなか出ないと思っていました。
そんな中、羊土社から有益な本がでました。
若い人の中は、漠然と研究留学に不安を持っていて、それ故に踏み切れない、と言う人が多いようです。
この本には、多数の留学者の経験に基づいた主観的な情報と客観的な情報がいい感じで組み込まれています。
助成金などの情報もしっかりしているので、少しでも留学に興味がある方は、手に取るといいと思います。
「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン2012」DVD
これをみて僕は死ぬまでに一度この大会で完走したいと強く思いました。
来年は実現できるかも。。。
石牟礼 道子: 新装版 苦海浄土 (講談社文庫)
読み終えることができない本とはこの本がぴたりと当てはまると思います。
水俣病の犠牲者の心を言葉にした石牟礼道子氏の作品を読むことを薦めたいです。
トランプ氏が求める強い経済と裏腹に何を失うのか。
「私たちが知っていた宗教は全て滅びた」という言葉が重くのしかかります。
是非、「そのとき歴史が動いた」の「わが会社に非あり~水俣病と向き合った医師の葛藤~」も一緒にyoutubeでご覧になって欲しいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=R2fu9xNWJ3g
高崎 卓馬: 表現の技術―グッとくる映像にはルールがある
まあまあの本でした。。。
町田 康: バイ貝 (双葉文庫)
町田康節炸裂です。
先日大阪出張だったのですが、思いもかけず満員で座れず。パソコンで作業したかったのですが、これ幸いとこの本に読みふけりました。
何度も思わず吹き出してしまいましたが、笑いをこらえながらこの本を読むのは「鬱」が溜まりますので。。。
稲盛和夫: 賢く生きるより、辛抱強いバカになれ
仕事が順調に終わったので、以前一度読んでましたが、もう1度読み返してみました。。。
人との出会いを大切にすること、激しく努力すること、リーダーとして叱るべき時にはメンバーを叱ること、高い目標をもつこと、感性的な悩みをしないこと、など自分の生き方を客観的にみつめる良き機会となりました。
鷲田 清一: 京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫)
これまで京都に関する本は何冊、いや何十冊も読んできましたが、間違いなくこの本が一番面白かったです。
206系統のバスにそっての京都の町案内に限定されていますが、それでも十分に京都の人がどうしていまのような考え方をするに至ったかが良く理解できるようになります。井上章一氏の京都ぎらいがよく売れているようですが、鷲田先生のこの本の方が圧倒しています。
京都の文化に興味がある人には強くお勧めです。
最近はめちゃ忙しいのですが、それでものめり込んで読んでしまいました。
山中 伸弥: 「プレゼン」力 ~未来を変える「伝える」技術~
この本は万人が学ぶところが多いと思います。
TEDの番組を以前既にみていたので、内容はかぶりますが、それでも文字で読み起こすとそれはそれなりの価値があります。
研究者の仕事の半分はプレゼン、という山中先生のお言葉は、多少誇張されているとしても、やはり正しいと思います。とくに、大型研究費のヒアリングの時などは痛感します。
また、日本ではあがってこない「ビデオトレーニング」は僕も一度試してみたいと思いつつ、、、いや、はやり、試さないと行けないです。
たしかに日本人は予演会は若い人しかやらないけど、僕らもやるべきだし、指摘される必要があります。
一方、プレゼン以外の話も多く出てきます
「計画とリスク管理主義」よりも、「どんどんやって、体で覚える」というナウイストが重要ではないかと山中先生は提案されています。僕は、特に大学院生はそうあるべきと思いますね。。。
プレゼンの話だけでなく、人生論が語られていると思いました。
佐藤 紅: 京都文具大全
僕のものに対するこだわりはそれほど強いわけではないですが、
ランニングシューズ
文房具
には、心地よくつきあっていけるようにいろいろと試行錯誤を繰り返すことが多いです。
この本に紹介されている和のテイストの文房具、いろいろ気に入っています。
NHK CD BOOK Enjoy Simple English Readers Rakugo ~“Afraid of Manju"and Other Stories~ (語学シリーズ)
移動のランのときは何も聞かないことが多いのですが、退屈なランのときは、こういうのを最近聞いてます。
山元 修: イメージで理解する皮膚病理のサインとパターン
非常にユニークな着眼点の病理学の教科書がでました。
皮膚病理には、さまざまなサインがあります(例えば、coat sleeve like infiltration, cribriform pattern, stag horn like configuration, storiform patternなどなど)。storiformってなんじゃい?となるわけで、そういう数十個の病理サインについて個別に詳しく写真・イラストつきで説明してくれています。
さすがは日本皮膚病理組織学会の理事長、山元修先生。着眼点が違います。
すぐには読了できませんが、機会を見つけて読み進めていきたいと思います。
蔡英文: 蔡英文 新時代の台湾へ
台湾の新リーダーについて興味があり、手にしました。
読了するのに時間がかかってしまいました。
日本には中曽根康弘首相以降、国際バランスの優れた学のある首相はほとんどいないのでは?
そういう意味で、ポテンシャルの高いリーダーが存在する台湾を少し羨ましく感じもします。
浦尾 充子: 遺伝カウンセリングのためのコミュニケーション論-京都大学大学院医学研究科遺伝カウンセラーコース講義
遺伝カウンセリングは、とても繊細な問題が伴いますので、こういう教書をもっておけば、力になります。
早川 タダノリ: 「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
こういう本をたまには読んでみるのもええかと思いました。
というのも最近の「美しい日本」とか「おもてなし」などのオンパレードに辟易してきていますので。。。
世界のことをそれほど知らない人が、日本が素晴らしいなって言っているのはちょっとおかしいし、そういう風潮って、昔の繰り返しなのではないかと気になっています。
鷲田 清一: まなざしの記憶 (角川ソフィア文庫)
鷲田清一先生の本です。植田正治氏の写真もいいあんばいです。
そうそう、「先生」と呼ばれる職業の人に共通しているのは、「人に褒められたい」という思いがとても強いところにあるそうです。
たしかに納得。。。
西川 美和: 永い言い訳 (文春文庫)
「ゆれる」に魅了されて以降、ずっと西川美和の大ファンです。
この人の作品には、女性にしか気づけないような感性のみならず、なぜか男性的なところも醸し出されていて、なんとも中性的な、、というか、不思議な人だな、と感じます。
途中、ちょっと中だるみ感はあるものの、最後の数頁が特にとても良くて、絶対に映画も見に行くぞ!という気分にさせられました。
ムーギー・キム: 最強の働き方;世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓
先日の東京出張の帰りにオアゾにある丸善で購入。帰りの新幹線の中で読みましたが、僕はこういう本を随分とよんできたためか、新しい情報はほとんどなく、また、既に自分が実践していることばかりでした。
でもまあ、kろえはこれでよしとします。
たまにこういう本を手にして、自分を少し客観的に見詰めることは大切な事かと思いますので。
伊藤 亜紗: 目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)
家内が購入していた本です。
五感の中でどれを失いたくないかと言えば、僕は視覚です。見えることが当たり前で生きてきた自分にとって、目の見えない人の世界はずっと気になってきましたが、その答えが随分と見つかりました。
指圧を盲人にしていただく事がありますが、指先に目があるような気がいつもしますが、そう言う事です。
自分はどのように老いていくのでしょうか。。。
ちなみに先日夜間に山走りをしているとき(特に下りのとき)、踵着地ではだめで、つま先から着地しなければなりませんでした。それはつま先で着地しながら、その場所が安全か、こけないか、ということを感じ取っていたわけで、これもそう言う事かと思います。
山と溪谷 2016年7月号 特集 日本アルプス4大高峰をめざせ! 、山岳ガイドがすすめる岩稜ルート10選、特別DVD穂高・北岳・レスキュー篠原秋彦の軌跡、南北アルプス4大高峰登山MAP
この本を読んで、ことしは南アルプスにいこうと思い立ちました。
長谷川 修司: 研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に活かす (ブルーバックス)
この本は、研究者としての一生が述べられています。しかも各ステップにおいて注意すべきことが具体的かつわかりやすく述べられていますから、あらゆる研究者にとって有意義な教科書かとおもいます。
ちなみに教授になってからも気をつけるべき事なども記載されていて、途中までは自分の若い頃と重ねて余裕をかましながら読んでましたが、教授としての心構えなどにいたると身が引き締まる思いになりました。
お勧めです。
鳥飼玖美子: 本物の英語力 (講談社現代新書)
先日会議で藤田衛生保健大学の松永名誉教授とお会いしました。そのときに、松永先生が手にしておられたのがこの本でした。
僕は著者の鳥飼玖美子さんを知らなかったのですが、隣にいた塩原先生もよくご存知のようで、どうやら昔同時通訳者として有名だったようです。
そんなこんなでこの本を松永先生からそのままプレゼントしてもらいました。内容はいわゆるハウツー本ではなく、鳥飼さんが英語を学ぶという事に対する哲学が述べられています。
生涯かけて「自律した学習者」にならなければならない、とのことです。また、英語を勉強するのでなく、何を「英語で」勉強したいのかが大切、という考えには強く共感します。
馬場 錬成: 大村智 - 2億人を病魔から守った化学者
以前買っていた本を再読。
安西水丸: イラストレーター 安西水丸
ほのぼのします。
この人に東京オリンピックのエンブレムを作ってもらいたかった。。。
成毛 眞: これが「買い」だ:私のキュレーション術
もちろんこの方との面識はないのですが、成毛さんの直感的なものがとても自分の感覚と合うことが多いので大体手に取るようにしています。
ちょっと軽さはありますが、先を見越す力はいまも衰えてないと思いますし、「人のやらないことをやる」という根本姿勢は自分の生き方のベクトルと同じです。
正しく効果的に伝える 医師のための英文Eメールの書き方
呼吸器外科の伊達先生のお兄様が執筆されています。
具体的なレターの例が豊富に掲載されています。英文Eメールのほぼ全ての状況を網羅していますので、強くお勧めしたいです。もっと早くこの本に出会えれば良かったです。この本を後輩に読ませれば、僕の払わなければならなかった労力がかなり軽減されていたと思われます。
谷口 ジロー: 神々の山嶺 上 (ヤングジャンプコミックスGJ 愛蔵版)
先日機内でこの映画を見ました。阿部寛が随分といい俳優になっていて、久しぶりにいい日本映画に出会えました。
小説ではなく、コミックの方を手にしました。谷口ジローの絵は力がこもっていて、そしてこの漫画を読むと、主演はやはり阿部寛しかないなあ、と思いました。
薬疹の診断と治療アップデート―重症薬疹を中心に
僕も一部担当させて頂きました。
発症機序のような基礎的なことからステロイド内服の使い方といった実地臨床まで幅広い内容です。薬疹はこれ一冊で十分でしょう。
太田 和彦: ひとり飲む、京都
たまにはこういう本も紹介させてもらいます。
僕のなじみの店が幾つか出てました。
ここに紹介されているお店は、概ねselectionがいいと思いますよ。
しかしこんな感じで一週間飲み歩いて一冊の本になるのは羨ましいことです。
プレジデント社: PRESIDENT (プレジデント) 2016年7/4号
著名人の仕事に対する考え方述べられています。こういう本から一つでもなにかヒントがあれば良しとしています。
高橋 明也: 美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書)
先日のロンドン出張の前に読みました。これを読んでから美術館や博物館にいったら見方が変わるかなあ、と思って。
美術館を僕らのような単なる鑑賞者とは異なる視点から捉えられています。期待通りの作品。
又吉 直樹: 夜を乗り越える(小学館よしもと新書)
東京出張の帰りに読みました。この本は、既に本好きの人は手に取らなくていいです。。。
でもそうでないのなら一つのきっかけにはなるかも。
ちょっとくどすぎだなあ。。。
高山かおる: 「ガサガサかかと」が危ない! 足の手入れが健康寿命を延ばす
フットケアがうまくいかずに来られる患者さんは多く、この領域の啓発の大切さは良く感じています。
僕の興味は、かかとというよりは、走るときにどのような靴や足の手入れが必要か、ということでした。
他の部分は、読めてません(高山先生すみません)。
岡西 徹: 若手医師のためのキャリアパス論―あなたの医師人生を10倍輝かせる方法
知り合いにいただきましたので目を通しました。
著者の岡西先生は僕よりも若い方ですので、今後の僕の人生を左右する著書となるわけには行かないかも知れませんが、若手医師(サイエンティスト)には貴重なアドバイスが豊富に含まれていると思います。
僕が試行錯誤しながら歩んできた道は、この著者がいうところの「計画的偶発性」とまさに合致します。
また、「20年後を何となく、7年後を大まかに、2年後を具体的に」というのは大賛成です。
僕は、どちらかというと、「10年後を何となく、5年後を大まかに、1年後を具体的に」というもう少し短いspanで考えているかも知れませんが。
永守 重信: 「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる
僕の人生で、最初にマネイジメントを意識させてもらったのがこの本です。
産業医大に助教授で着任が決まったころに、ふと手にしたのがきっかけですが、それ以降、この本ほどの衝撃を与えてくれるビジネス書には出会えていません。
当時とは、時代も変わり、この本で書かれていること全てが僕の考えと合致するわけではないですが、それでもこの本は、日本という資源の限られた国でどうすれば世界に互することができるかというヒントを与えてくれるものと思います。
東 禹彦: 爪 基礎から臨床まで 改訂第2版
爪は奥がとても深いです。臨床の現場で患者さんから爪の相談を受けるとなかなか自分で満足のいく答えができないことが多くもどかしいです。
僕の留学先のシアトルのワシントン大学ではPhil Freckmanという教授が爪の専門でした。
日本では、東先生が第一人者!!
この6月についに改訂第2版がでました。手にとってみてますと、内容がさらに充実しています。しっかり勉強しないと。。。
だれか東先生を超えようとする若者が出てくるべきなのですが、今のところ不在です。
E.H. カー: 歴史とは何か (岩波新書)
50年以上前に発刊された本ですが、こういう名著は手元に置いておく方がいいです。
引っ越しの度に本を処分してきたので、今僕が持っているのは3冊目になります。
河野 裕子: 京都うた紀行 歌人夫婦、最後の旅 (文春文庫)
限られた字数の中で、いろいろなことを表現することができる言葉の力を味わいました。
この連載の時には、河野さんのがんの再発が発覚していたわけで、京都・滋賀の各地での歌や旅の記録には、二人の人生の絆の深さが強く(いや、強すぎるほど)刻まれています。
京都に在住する僕としては、これまでなんとはなしに歩いていた道や場所に、これまでとは違う思いを抱いてのぞむことになりそうです。
林 宏樹: 京都極楽銭湯案内―由緒正しき京都の風景 (新撰 京の魅力)
もう1度京都の銭湯巡りをしていきたいという思いから再読しています。
ということで、これから孫橋湯へ向かいます。。。
最相 葉月: 東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか
この本のタイトルと内容は必ずしもマッチしてませんでしたが、僕の好きな人との対談部分だけ拾い読みしていきました。。。
萩尾 望都: 11人いる! (小学館文庫)
萩尾望都の作品は、折に付け読んでいます。。。
川村 孝: 臨床研究の教科書: 研究デザインとデータ処理のポイント
臨床研究は、ネタとデザインを考えた時点で、ほぼその仕事の価値が決まってしまうと言っても良いくらいです。
そういう意味で臨床研究のデザインの方法や、解析手段を学んでおくことは必須です。
この本はその両方を網羅しているし、またとてもわかりやすい。
一度川村先生と一緒に学位審査をしたことがありますが、素人が陥りがちな落とし穴などを良く理解されていて、そういう先生が執筆された本なので、referenceとしても通読するにしてもとても良い教書です。
平野 啓一郎: マチネの終わりに
以前より、彼の作品にはずっと魅せられています。
今回の作品は、また新たな試みを感じました。
「時間」とともに、人の過去はどう変わるのか。過去そのものは変わらないわけですが、でも、解釈やその過去に対する気持ちや感情は変化しえます。
そういう人間の心の機微をこれだけうまく表現できるこの作家に改めて心揺り動かされました。
小説はあまり好きではない、という人にも是非手にとって欲しい一作です。
堀江貴文: 君はどこにでも行ける
まだあまり海外旅行に目覚めていない人にはお勧めです。また、彼の世界観も見えてきます。
僕が普段感じていること、そしてこのブログに書いてあることとさして変わらないことですが、世界(特にアジア全体)からみた、日本の現状は日本人が感じているほど楽観的ではない、ということです。
井上章一: 京都ぎらい (朝日新書)
ここしばらくで読んだ本の中で一番おもろかったです。嵯峨育ちの井上氏は、京都の人にとっては京都人にあらずなわけど、そういうコンプレックスからきた話がねちねちと語られつづけます。この書きっぷりこそ京都人です。
僕こそ全く京都の人間ではないので、傍観者として楽しく読ませてもらいました。
そして、やっぱ、京都好きやなあ、と改めて思うのでした。
WHAT’S NEW in皮膚科学 2016ー2017―Dermatology Year Book
漸く時間が取れて目を通せました。
宮地先生と鶴田先生のコラボ、なかなかよかったです。
この本を読んでいれば、この1−2年の皮膚科学の進歩にしっかり対応できます。
それにしても、この2人の編者、アンテナ高いですね。。。
小西 利行: 仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。
友人のお勧めにのって購入しました。
ざっと1時間くらいでよみました。というのも、ほとんどの内容が既に僕が実践していたので。。。
僕は学会では,パソコンを使ってメモをとりますが、このメモの取り方にも随分工夫をするようにしています。
それと同じようなコンセプトの内容の本でした。
To do listは精神の安らぎをもたらしてくれます。
また、論文や研究費の申請書を書くときにはメモというよりもいろいろな書き出しをしますが、そういうところは、伊坂幸太郎との対談で出てくるところとかなり重なります。
こういう本は、一つでも得ることがあれば良しという気持ちで読むのがいいです。
宇原 久: 皮膚科診断をきわめる: 目を閉じて診る,もうひとつの診断学
臨床写真がなく、代わりにイラストが一杯。
question and answer形式ですが、鑑別診断が、豊富で、宇原先生の臨床力の高さが際立ちます。
初心者はもちろんですが、臨床経験の豊富なベテランの皮膚科医でも十二分に楽しめる内容です。
まだ、読み始めたばかりですが、出版されたばかりですのでtimelyに紹介させて頂きました。
吉田修一: 作家と一日 (翼の王国books)
ANAに乗る楽しみのひとつが、吉田修一氏のエッセイを読むことです。
こういう温かみのある文章を書ける作家にとてもあこがれますね。。。
堀江敏幸氏と吉田修一氏(あと、村上春樹氏も)の作品からは目が離せません。
多賀 千之: たがのわ 多賀先生のあったか子育てアドバイス
留学時代のお師匠さんの著書です。
子供がいない僕が推薦するのもなんですが、ほのぼのするいい本です!
康永 秀生: 必ずアクセプトされる医学英語論文 完全攻略50の鉄則
こういう本を読みたがらない人が多いですが、僕はときどき読むようにしています。
対象は大学院生からポスドク、さらにはPIクラスの人にも十分学ぶ点があると思います。
なぜ論文を書く必要があるのか、というところから始まり、fool-proof English(誤りのない無難な英語)の薦めへと移ります。そのあと、論文の書き方に入りますが、秀逸なのは、introductionとdiscussionの書き方(構成)ではないかと思います。この本を読めば、自信をもって論文作成に取り組めるようになると思います。研究者に必読の書です。
岡野栄之ら: 細胞工学2016年3月号 Vol.35 No.3
一つの時代の終わりを感じさせます。
これまでテーマに合わせてちょくちょく購入していました。
これで実験医学だけが生き残ったわけですね。。
どうして休刊に至ったのか、発行部数がどの程度減ったのか、そしてその原因はどこにあるのかを知りたいところです。
最終号なので、購入しましたが、なんとも寂しい限りです。
山極寿一: 京大式 おもろい勉強法 (朝日新書)
なんでこんなしょーもないタイトルを付けたのでしょうか。この本は、山極先生のこれまでどうやって生きてきたか、という自伝のようなものです。
こういう方でないと、京大のようなややこしい人達の巣窟で、リーダーとしてやっていくのは困難です。
皮膚科程度の小さな組織ですら、全くたやすくないですから。
さておき、一読の価値は十分あります。
石原 慎太郎: 天才
田中角栄氏については、僕の記憶には生の存在としません。ただ、彼の生き方についてはいろいろと興味はあって、これまで彼に関する多くの書籍を読んできました。
そういうこともあって、最初の半分は、既にしられたことばかりで、しかも石原氏が一人称で執筆するのはいいのですが、田中氏の考えなのか、それとも石原氏自身の考えなのかが多少困惑されるような記載もあり、ひどい作品だと思ってました。が、後半は生まれ変わったように迫力がでてきて、ロッキード事件に関しても、田中氏自身に罪悪感はなく、日本のために尽くして何が悪い、的なパワーが炸裂していました。ただ、それでもやっぱりあかんやろ、と思うけど、そういうエネルギーのある政治家も官僚も研究者も皆無になってきている現代の方がよほどつまらなくもおもえてきます。
福原 俊一: 臨床研究の道標(みちしるべ)―7つのステップで学ぶ研究デザイン
京大の福原先生が執筆された本です。臨床研究は日本はからきしだめで、僕自身もそれにたがいません。
いつか僕も世の中に貢献できたとしっかり言えるような研究をしたいと思い、手にしました。
まず最初の頁が、利根川進先生の「まず疑問を持ち、その内容を詰めていって、何が同問題なのか疑問点をはっきりクエスチョンの形に定式化するのが重要」という言葉から始まります。
もう、それだけで、本書の凄さが伝わってくるかと思います。
福澤 潔 (ミズノランニングクラブ監督): 「3時間切り請負人」が教える! マラソン<目標タイム必達>の極意 (SB新書)
多くの人を指導した経験から、独自の練習法などが展開されます。従来の理論とは合わないところも多々ありますが、理論だけでなく、経験から得られることも実際にあるので、耳を傾ける価値はあるかと思います。
ただ、僕には、ほとんど既知の情報に限られてましたが。。。
藤森 照信: 藤森照信×山口晃 日本建築集中講義
せっかく松本にいくのだから、この本に掲載されている「松本城」の項を再読しました。
それにしてもこの本は、本当に面白い。。。
ただ、松本城の項は、松本城と直接関連した内容に乏しい。。。
それでも松本城は見学してから講演会に向かうつもりですが。
堀江 貴文: 本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書)
堀江氏のことを嫌う人は多いし、その理由も良く分かりますが、僕は、彼の真理を鋭くつく感性というか動物的感覚に魅力を感じることが多いです。
この本は、1章 言い訳をやめる
2章 バランスをとるな!
3章 本音で生きられない理由は「自意識」と「プライド」である
4章 すべてを最適化せよ
5章 本音で生きるために必要なこと
の5つの章からなっていますが、「すべてを最適化せよ」の項は、非常に素晴らしく、一読の価値ありです。
ちなみに僕は、この本を歯医者での診察中に読みました。僕が本を読んでいるか、あるいは爆睡しているので本当に、担当の歯医者さんはあきれていることと思います。。。この場を借りてお詫び申し上げます。
みやす のんき: 走れ! マンガ家ひぃこらサブスリー 運動オンチで85kg 52歳フルマラソン挑戦記!
なつかしい漫画家ですね。僕らの世代では結構有名だったのでは?
今回の話はマラソンです。しかもサブスリーを目指すという話。
いろいろとマラソン本が出ている中、この本は、過去の各セオリーをうまくとりまとめていて、全く侮るなかれ、という内容です。
また、僕のマラソンに対する考えや理論ともかなりマッチしているところが多くていい復習になりました。
山口 晃: 山口晃 前に下がる 下を仰ぐ
ヘンな日本美術史が最強に面白かったので、思わず買ってしまいましたが、彼の絵そのものは、あまり胸を打ちませんでした。
評論家としての山口氏の方が、僕には刺激があります。
ただ、一部、紙ベースのツイッター企画などは天才的なので、企画ものと評論家としての活躍に大いに期待したい。
東山 彰良: ありきたりの痛み
僕の好きな現代作家はある程度限られてしまっていて、誰かいい人がいないか模索中でしたが、◎の作家がようやく見つかりました。
この人の小説も、エッセイもめちゃくちゃおもろい。
最近は1970年前後生まれの人がいろいろなところで活躍していますが、彼もその1人。同世代として刺激を受けますし、また、共感できる面も多い。
今山 修平: 皮膚病理イラストレイテッド2 免疫染色
週末時間が取れたので、読みたかったところをじっくり読むことができました。
形態学からここまで現象を想像する事ができる著者に、敬服。こういう臨床家になりたいと何度も思いながら読み進めました。
出井 伸之: 変わり続ける―――人生のリポジショニング戦略
以前、あこがれの人だったわけで、新刊を手にしてみました。今となってはソニー凋落のA級戦犯扱いを受けてすらいます。
ちょっと流し読みになってしまいましたが、40代半ばでリポジショニングすることが大切、というメッセージは伝わりました。
ただ、僕は、「人生最後までチャレンジ精神が大切」と言ってもらう方がわかりやすいかも。40歳半ばとか、そういう年齢はあまり関係ないですから。。。
賛否両論ありそうな本ですが、こういう本を読んで一つ二つでも自分の糧になれば十分です。
「誰もやりたがらないほうを選ぶ―みんなが嫌がる役回りを引き受ける」とか「日本を外から見る」など、言い古されたことではありますが、やはり重要な事ですよね。。。
笹田 昌宏: 廃駅ミュージアム
医局の後輩の笹田昌宏君が執筆したものです。親切にもプレゼントしてもらいました。
そもそも僕は、宮脇俊三氏の大ファンで、また、鉄道を使った旅行が好きでした。青春18切符はいまもあるんだろうか。。。
宮脇俊三氏のお弟子に当たるのが笹田君で、皮膚科医をしながら、いや、どっちが趣味で本業なのかわからないくらいのてっちゃんな訳です。
廃駅でふと思い出したんだけど、学生時代に、京大か東大かわすれたけど自主上映会に行ったときに、廃線に霊がでる、というような作品をみました。
たしか余部鉄橋の事故をモチーフにしていたと思うんだけど、どうしても詳細が思い出せない。。。
なんだか現代と過去の記憶が錯綜して全然ダメです。。
そうそう、そんなことより、この本、写真も美しく、とても僕は気に入っています。北海道や東北、九州、四国がほとんどで、関東や関西には当然ながら、廃駅ってすくないんですね。。。
福岡伸一: 芸術と科学のあいだ
しばらく前まで、日経に毎週連載されていた記事が漸く一冊の本になりました。
彼の自然現象への見方は、愛と好奇心に満ちあふれていて、サイエンスの最も大切なところが何かを改めて気付かせてくれます。
記憶力の悪い私は、読みながら再度感動したりできるので、これはこれでありがたい事です。
岡本 太郎: 日本の伝統 (知恵の森文庫)
以前買ったのになくなったなあ、、と思っていたら、先日の教授室の引っ越しの時に本棚の裏にかくれんぼしていたのを発見。
一気に読みました。日本の伝統・文化に対する彼独特の視点は、今になっても全く色あせていない。
個人的には縄文土器と日本庭園に関する章には、うならされました。是非お勧め。
一色 清: 日本の大問題 「10年後」を考える ─「本と新聞の大学」講義録 (集英社新書)
いくつかのテーマをつまみ読み。内容はどうしても薄くなってしまっていますが、まずます。
石坂 公成: 結婚と学問は両立する―ある科学者夫妻のラヴストーリー
当教室は女医の入局が大半を占めます。結婚や出産を機に仕事との両立に苦心している姿を目にしますので、少し客観的な立場からこの問題を捉えたいと思いました。
しかしこの本の内容は、一般に当てはまる話とはちょっとかけ離れている気がしてしまいました。それでも学ぶことは多かったですが。
角田陽一郎: 「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史
ほぼ読み終わりました。
たしかにどんどん読めますし、また、彼独自の切り口で世界史をとらえている点も好感が持てます。ただ、彼の考えのすべてが正しいとは思わないですし、ちょっと軽さを感じる点もありますが。。。
これまで世界史を勉強しようと思って挫折を続けてきた人には強くお勧めできます。
ちなみに角田君、僕の高校の同級生です。
実験医学増刊 Vol.32 No.20 今日から使える! データベース・ウェブツール 達人になるための実践ガイド100
この本はおすすめです。以下に無駄をすくなく研究を進めることができるのか、この本にはヒントがたくさん隠されています。
伊藤 潔: 台湾―四百年の歴史と展望 (中公新書)
先日の台湾出張にあわせてよみました。
ちょっと古い出版ですので最近の台湾はカバーされていませんが、それでも中立的な立場で台湾の歴史について理解出来る良書です。
最近心がけているのは、海外に講演などで呼ばれた際には、できるだけ相手の国のことを理解しようということです。
ただ、いろいろと複雑な背景を皆様持っておられることが多いので不要に政治や宗教の話を持ち出すことはできません。
そのあたりは充分に注意しないといけないです。
村上 春樹: ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
紀行文の彼の文体はまた独特のものがあります。
熊本の話など別の雑誌などで既に読んだことがあるものありましたが、それでも楽しく読めました。
出張の移動の時に、仕事の合間に夢中になって読んでいたらあやうく乗り過ごしそうになりました。
ゴールズワージー: リンゴの木 (角川文庫)
イギリス人の階級制度を理解する上でいい小説と思います。日本人と異なりイギリスを始めとするヨーロッパは日本人には少し理解しがたい差別意識が根付いている気が時にしますが、そういうのはこの小説から読み取れます。
岡本 健太郎: 山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)
猟にはまっている産業医大の後輩がいます。なかなか理解できないところもあるけど、千松信也さんやこの漫画はヒトが生きることの根本を改めて考えるきっかけになると思います。
カート ヴォネガット: 国のない男
学生の頃一番好きだった海外の作家は彼かと思います。この本は、彼のセンスのいい英文や、自由きわまりない発想が詰まっています。
彼のことを知らない人がいたら、まずはこの本を是非是非!
CREA 2015年9月号 本とおでかけ。
村上春樹氏の熊本紀行に読みいりました。
熊本での光景がまざまざと目に浮かびます。本を読みながら映像までクリアにできあがるのが彼の作品の凄いところかと思います。
野尻 知里: 心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由
読みました。僕よりもむしろ女性が読む方がモチベーションが上がっていいのかな、と思いました。
あと、以下のサイトをみるとおおまかな内容がつかめると思います。
http://toyokeizai.net/articles/-/79358
村上春樹: 職業としての小説家 (Switch library)
慌ただしい中、出張の移動中などを利用して読みました。小説家もサイエンティストも医者もどんな職業にも共通した問題がありますので、そういう意味でとても共感することが多かったです。
ノーベル賞、今年は取ると思います。
角幡 唯介: 探検家の憂鬱 (文春文庫)
僕は探検家でも登山家でもないですが、山にいったり海外旅行に行くことが自分にとって必要なelementになっています。その理由がこの本を読んでよりはっきりしました。「
“つまり冒険と呼ばれる行為は、つま先の皮膚感覚から脳内で勝手にこしらえた抽象概念に至るまで、あらゆる感覚を総動員して、世界の中で自分が生きていることを確認したり、あるいは自然から強制的に確認させられたりする、そういった一連の作業のことなのである。そしてその感覚を支えているのが、まぎれもなく身体なのだ。”
という表現が出てきます。これなんだと思います。今は生きていることを実感することがほとんどなくて、そもそも動物であることを失っています。そういう野性を時に満たして上げないと自分の精神と体のバランスがおかしくなってしまうんだと思います。
島岡 要: 優雅な留学が最高の復讐である 若者に留学を勧める大人に知ってほしい大切なこと
私も少し登場します。
留学というだけでなく、どのように若者が科学者として生きていくべきかを考えるのにとてもいい本です。若手にはまず勧めますが、我々のような後輩を指導する立場の人間にも有意義な内容です。
古森 重隆: 君は、どう生きるのか: 心の持ち方で人生は変えられる (単行本)
富士フイルムの会長の著書です。これは本当に面白い。こういうおじさま方がいてくれたおかげで今の日本があるということがよくわかります。
我々の世代がどうやってそれを引き継ぎ、そして独自に発展させていくべきかを考えさせてくれる貴重な一冊です。海外出張の飛行機で一気に読みました。
Visual Dermatology 2015年9月号 Vol.14 No.9
皮膚アレルギーの動物モデルとヒト疾患の違いをクリアに説明した良書です。是非手にとってくださいませ!
山本健一: トレイルランナー ヤマケンは笑う。 僕が170kmの過酷な山道を“笑顔”で走る理由
走ること、登山が好きな人は是非どうぞ。山本さんの笑顔での走りにはいつも魅了されてます。
NHKスペシャル取材班: 老後破産:長寿という悪夢
延々と悲惨な老後を送っている人達を紹介し、しかしながらそれに対する解決策はほとんど提示されず。厳しい現実が待っているかも知れないと言うことをしっておくには悪くはないけど、、、という感じです。
高本 眞一: 患者さんに伝えたい医師の本心 (新潮新書)
ちょっと自身の行ってきたことを美化しすぎている感もありますが、以下の項目は多くの方が興味あるだろうし、それらにとても真摯に考えておられる点は敬意を払います。
良い本と思いました。
第1章 医師が「患者の家族」になったとき
第2章 手術を拒否するおばあちゃんはなぜ翻意したのか
第3章 「患者にやさしい治療」の落とし穴
第4章 左遷時代に学んだこと
第5章 「患者様」を廃止した理由
第6章 迷惑がられても当直します!
第7章 ヨン様とモーツァルト
第8章 周辺開業医への「お中元大作戦」
第9章 組織の「ミッション」を明確にすべし
第10章 警察は医療事故を裁けるか
第11章 東大医学部の傲慢と時代錯誤
第12章 悪意あるテレビ報道に医師はどう対処すべきか
第13章 病院ランキングを信じてはいけない
第14章 東大医学部教授はこうして選ばれる
第15章 医学部の宿痾「講座の縄張り争い」
第16章 医療政策を担える人材を育てる
第17章 医療事故を起こした医師は現場に戻せるか
第18章 輸血拒否の「エホバの証人」に向かい合う
あとがき 出版をめぐるささやかな冒険について
黒木 登志夫: iPS細胞 不可能を可能にした細胞 (中公新書)
良書です。黒木先生の本はどれも読みやすく、かつ、内容もしっかりしています。
京大の井村先生もそうなのですが、学問に年齢って関係無いですね。
村上 春樹: 村上さんのところ
依頼文はよまずに村上春樹氏のコメントのところだけを拾い読みしています。
それでも十分楽しめます。
ベン ホロウィッツ: HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか
この本、素晴らしい。
日本人のこの手の本には飽きていた。というのもそれほどたいした事を為し得ていない著者が多すぎですし。
この本はその点で、一線を画しています。教授職についたのを契機にちょっと真面目に読書中。。。
小林 秀雄: 読書について
読書関係でまとまったもの。
最近忙しくて読書ができてなくて、渇望していたときに、なぜかこの本を再読。。。
大前 研一: 低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論
これも読みました、というかつらくなって途中でやめてしまっています。
今の日本が直面している現実をあまりにも露骨に表記しているからです。勿論しばらくしたら読書を再開しますが、いまただでさえ疲弊気味なのに、こんなの読んだらもっと疲れてしまいそうだから。。。
田中 陽希: グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き
読書の時間が取れない中で読んだのはこれ。結局こういう読みたい本に流れていきます。。。
天外 伺朗: マネジメント革命 -「燃える集団」をつくる日本式「徳」の経営 (講談社+α文庫)
高知大のS先生よりプレゼントしていただきました。
20年前のマネジメントとは異なります。
どのように組織全体を発展させるのかを考える際にいいヒントがたくさん含まれています。
この本を生かすも殺すも自分次第です。
大前 研一: 旅の極意、人生の極意
人生でこれほど本を読まなかった2ヶ月はなかった気がします。気分転換にこの本を読みました。
色々な意味で贅沢な旅の案内があり心癒されました。
谷川 俊太郎: 自選 谷川俊太郎詩集 (岩波文庫)
仕事で疲れたときに、ちらちら読んでます。
今野 浩: ヒラノ教授の論文必勝法 教科書が教えてくれない裏事情 (中公新書ラクレ)
生命系とは少し世界が異なりますが、そうであるが故にgeneralなところが何か、ということも見えてきました。
木下 是雄: 理科系の作文技術 (中公新書 (624))
文章と文章のつなぎ方を意識させるための教書。
できるだけ若い人が読むべき。僕のようなおじさんにはちょっと物足りないけど、それでも学ぶ点はありました。
つげ 義春: つげ義春コレクション 紅い花/やなぎ屋主人 (ちくま文庫)
調子に乗ってこれも再読。
やなぎ屋主人はmy favoriteの一つ。
つげ 義春: つげ義春コレクション 近所の景色/無能の人 (ちくま文庫)
これも再読。やはり独特の世界観があり。
つげ 義春: つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む (ちくま文庫)
再読。やはり独特の世界観があり。
Michael H. Ross: Ross組織学
最近、組織学の教科書とかちらちらチェックしています。
皮膚科の教科書に記載されていないような詳細な皮膚構成細胞や構造がわかりやすく説明されています。
生理学の教科書もまた買おうかなあ、などとおもったりします。
学生の時にGuytonを読んで感動しましたが、20年以上も前に比べて随分内容も変わったんだろうなあ、という気がしてワクワクします。
つげ 義春: つげ義春: 夢と旅の世界 (とんぼの本)
先日生協で購入。僕の中で手塚治虫とつげ義春はちょっと特別な存在。この一冊の本にはつげのすばらしさが凝集されています。いくつかのmajorな作品も掲載されていてお勧めの一冊です。
ジョージ ガモフ: 不思議宇宙のトムキンス
高校の時は、物理の勉強よりもこっちの方が遙かにおもしろかった。 新版を再読していますが、星の王子様の物理版という感じですね。
梅原 猛: 老耄と哲学 思うままに
知恵を授けてくれる書。こういういろいろな領域の学者同士の交流の場、「サロン」の存在が京都のよいところ。そしてその中心に梅原さんがいると思います。
万人にお勧め。
黒田夏子: ケトルVOL.12
ちょっと古い本ですが、京都の住民がお勧めする場所は穴場が多いです。
大下英治: 落ちこぼれでも成功できる ニトリの経営戦記
日経の私の履歴書があまりに破天荒すぎるので、もう少しきちんとこの人のことを知りたいと思い購入。こちらの方が圧倒的に詳細が書かれているものの、私の履歴書ほどの文章に勢いが感じられない。やはり自伝は文章のうまい作家にかいてもらわないとだめですね。
とはいえ、似鳥氏そのものが面白すぎるので、読む価値は十分ありますが。
上杉 志成: 京都大学人気講義 サイエンスの発想法――化学と生物学が融合すればアイデアがどんどん湧いてくる
医学と化学がどう融合するのかにも興味がありました。なかなかのアイデアマンです。著者は、第一線の研究者でありながら、経営者感覚のような才能にも長けています。こういう異分野の融合がうまくできる人はこれから重宝されるでしょうね。。。
お風呂の中で読んだので、本が大分膨張してしまいました。
東村 アキコ: かくかくしかじか 1
某先生のブログで紹介されていたので読み始めています。漫画とばかにするなかれ。。。
http://blog.hypoxia.jp/hypoxia-reseacrh/13076.html
松林 弘治: 子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい
プログラミングは苦手なのでまだ読んでません。。。
ちなみに中学の同級生が執筆しました。
(追記)
読了しました。これは若いお子さんがいる親御さんが読むとちょうどいいですね。
ジミー・カーター: 知の英断 (NHK出版新書 432)
吉成真由美さんのインタビューアーとしての能力の高さは知の逆転でも十分感じていました。この本でもいかんなく発揮されています。マンデラ氏を囲んだエルダースからうちらのような若者から中年は学ぶことがとても多い。宗教の意義などこういうことを1度は考えておかないと国際社会では通用しにくいです。
外山 滋比古: 知的生活習慣 (ちくま新書)
ぱらぱら読むといくつか自分の気付いていなかった着眼点があったりしました。
知識と創造性に関する話などは、常日頃から感じていることで、僕に創造性があるかどうかは別として、「記憶力が悪いが故に、好き勝手に妄想できる」という自分の特徴を再認識しました。
大西 泰斗: ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (語学シリーズ)
暇な時にぱらぱら読んでいます。大学生の頃にこういう本に出会えていたらもっとよかったと思えます。
aとtheの違いなど、従来の教科書とはまったく異なるnativeがどのような感覚を持っているかをしっかり説明してくれる良書です。
阿部 章夫: ライフハックで雑用上等〜忙しい研究者のための時間活用術
こういう本は定期的に目を通して何か使えそうな情報は無いかをチェックしています。
いくつか試してみたいツールがみつかりました。
稲盛和夫: 賢く生きるより、辛抱強いバカになれ
尊敬しているお二人の対談です。超お奨めです。モントリオール行きの飛行機で一気に読んでしまいました。
京セラフィロソフィーなど、研究者にも通じる話です。
医と人間 (岩波新書)
成宮先生、山中先生、日野原先生らが執筆されています。なんと川島実先生も。
日本医学会総会に向けて、いよいよ、という感じがしてきます。
内田樹: 日本戦後史論
二人は僕の考えの根本において違うと感じつつも、彼らの考えを理解することも大切だと思っていましたので、読みました。
途中、あまりに強引なレトリックにいらいらしつつも、でもその中に一理あるところはあるなあ、と。
ことしは、戦後70年。戦後80年の時にはほぼ生き証人はいなくなっているでしょうから、今年はある意味最後のチャンスなのかも知れません。
岩本能史: 型破り マラソン攻略法 必ず自己ベストを更新できる! (朝日新書)
型破りと銘打っていますが、自分自身の経験と非常に合致します。作者の奨める峠走などの細かい練習方法はまだやったことがないのでわかりませんが、あまりにほとんどのことが僕が実践していることと同じなので、ちょっと驚きました。
堀江 貴文: 我が闘争
前半は非常に良かったと思います。彼のようなキャラクターがどのように生まれたのかがよくわかります。
こういうのって、研究で考えると、ブレイクスルーを産み出す可能性のある貴重な人材です。中村修二さんとか、みんなそういう個性があります。エネルギーレベルが異次元です。
山極 寿一: 「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)
ゴリラ観察を通して人間を観察するという姿勢が随所にみられました。こういう人は総長職が向いているのだとつくづく感じます。
免疫学の巨人イェルネ
また読み直しています。
バーゼルの時代が免疫学の隆盛期だったのかなあ、と感じざるを得ないです。今は免疫をやっていることを少し寂しく感じたりするくらいです。
審良 静男: 新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで (ブルーバックス)
河本先生の「もっとよくわかる免疫学」以来、秀逸の読み物が久しぶりに登場、という感じです。
読んで面白くなかった、ということはあり得ないでしょう。
何しろ、審良先生が、「サイトカインとは、周囲の仲間に気合いを入れたり、、、」などと書かれているのは本当に笑い転げてしまいます。
阪大のスピリッツはやっぱり「気合い」なんだなあ、、、。
WHAT’S NEW in皮膚科学 2014ー2015―Dermatology Year Book
最近どんなことがトピックになっているのかということを短時間でおさらいしたかったので、通読しました。
齊藤 太郎: 足が速くなるこけし走り-かんたん! ! 体幹ランニング! !
斎藤さんの理論は僕にすんなり入ります。いろいろな考えを持っている人がいますが、斎藤さんが僕には一番ですね。。。
近藤ようこ: 五色の舟 (ビームコミックス)
メディア芸術祭マンガ部門大賞にふさわしい作品。
日本の漫画は手塚治虫のみならず、本当に素晴らしい作品がたくさんあります。
橋本 治: バカになったか、日本人
週間PB連載のものが多く収録されています。
桃尻語訳 枕草子のころの切れはなくなっていますが、怒りはまだ健在(原発問題が中心)。
松岡 修造: (日めくり)まいにち、修造! ([実用品])
悪ふざけで買ってみました。
ラボのお茶飲み場にでもおいてみようかと。。。
古川 福実: 日常診療で必ず遭遇する皮膚疾患トップ20攻略本
面白い観点からスタートした教書です。特に若い人達はこの20疾患を抑えておけば大抵なんとかなりますから。。
また、一部クイズ形式になっているのも面白く、ベテラン皮膚科医でも楽しめると思います。
松本 翔: <東大式>マラソン最速メソッド 「考える力」を磨いてサブ4・サブ3達成! (SB新書)
一般的な事しかかかれていませんでしたが、「情報に惑わされずに、自分で考えて自分に合った調製法を見つけることが大切」というメッセージには僕は大いに納得です。
レベルは違いますが、僕も限られた練習時間の中でいかに最大限の効果を発揮するかを意識しながら練習しています。
奥泉 光: 東京自叙伝
ついに読み始めてしまいました。
色々やらないといけないことがあるので、読まないように気をつけていたのですが、もう我慢できませんでした。
この一年で読んだ本の中でもっとも面白い!!
PRESIDENT (プレジデント) 2015年 1/12号
温泉宿の風呂の中で読みました。
この号は良くまとまっていて、日本人として最低これくらいは知っておかないと恥ずかしい、という内容です。
ただ、どんどん私の場合、忘れていくのだけど。。。
黒岩麻里: 消えゆくY染色体と男たちの運命 オトコの生物学
女性から見た男性学ですが、多くの記載が科学にもとづいているところが斬新です。
僕のY染色体はかなり退化してしまっていそうです。。。
大前 研一: やりたいことは全部やれ! (講談社文庫)
元気が出る本。基本的に僕と考え方の方向性が似ているので、少しつかれた時にこの本を読むと推進力が湧いてきます。
病態と治療戦略がみえる 免疫・アレルギー疾患イラストレイテッド
この本も比較的新しくて情報がうまくまとまっています。大体一通り目を通しました。
Abul K. Abbas: 分子細胞免疫学 原著第7版
最近、自分の免疫の知識に偏りがありすぎることを懸念し、時間をみつけては勉強しています。
訳はちょっと間違いもありますが、英語で読むよりはやはり脳に優しいです。。。
木本 哲: クライマー魂
順天堂大の横溝先生ご推薦。
一部はマニアックすぎて理解できないところもありましたが、山・岩登りにかける生き様が力強く描かれていて、山好きにはたまらないと思われます。
バイオ研究者が生き抜くための十二の智慧 (細胞工学 別冊)
少なくとも僕には学ぶことがたくさんありました。薄い本の割に高いと思うなかれ。こういう本は一つでも学ぶことがあれば良かったと思うべしです。
こう考えることができるくらいには稼げるようになって本当によかった。
アトピー性皮膚炎治療の最前線 (MB Derma(デルマ))
自分でいうのもなんですが、執筆陣において良いセレクションをしたと思っています。
アトピー性皮膚炎の治療において、今を反映するベストな本だと自負しています。
林 忠彦: 林 忠彦写真集 日本の作家 (サライムック)
文士の時代の写真は文庫なので小さすぎる。。。
ということで、こちらの本も購入しました。
よりリアルに感じる事ができました。
林 忠彦: 文士の時代 (中公文庫)
知らない作家も多いですが、こういう写真をみることで、小説の読み方も少しは変わってきそうです。
そういう意味でも、写真はその真実を永遠に残す貴重な術ですね。
大原 國章: 大原アトラス 1ダーモスコピー
先日プレゼントして頂きました。ダーモスコピーの可能性を改めて感じさせます。
皮膚科は目からの情報をいかにおおく、しかも正確に手にするかがまず重要ですから、その上でダーモスコピーは素晴らしい道具といえます。
普通の皮疹も良くこれを使ってのぞき込んでいます。
若い医師たちに紡ぐことば
僕も少し書きました。田中俊宏先生の文章が一番面白いでしょう。
宮地先生の事を知らない方でも楽しめると思われます。
吉本 隆明: 吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)
読書もいいけどたまには耳からもよいです。
丸谷 才一: 思考のレッスン (文春文庫)
二年ほど前に亡くなられましたが、この方の本はどれも楽しいです。こういう本は、年と共に感じ方が変わるので何度読んでもいい。
小林秀雄もいいけど、寺田寅彦とか、丸谷才一などのほうが肩肘張ってない感じで僕は好みます。
先日読んだばかりですが、なぜか再読。。。。
池川 玲子: ヌードと愛国 (講談社現代新書)
いまかなり売れているようですが、僕に取っては、ちょっと頭でっかちな意見が多く、残念ながら僕の感覚とは相容れませんでした。。。
大前研一: 大前研一 日本の論点 2015~16
突拍子もないように思える意見もありますが、今の政治家よりはbroadな知見を持っていて、今回も触れられていますが道州制の導入など、是非実現して欲しい。
政治家も大前さんの様な人をもう少し生かすことはできないのでしょうか。
ただ、彼も批評家になってしまいつつありますので、個々は一度大阪市長なりやってみて欲しいところです。
宮台 真司: これが沖縄の生きる道
いくつか重要なトピックが抜けてはいますが、今の沖縄の現状を2人の立場からしっかり記されていました。本来ですと、生粋の沖縄の人にも加わって欲しかったところですが、やむを得ないか。。
竹本 住大夫: 人間、やっぱり情でんなぁ
なかなかの傑作でした。本人の生の公演をみる機会がなかったのが悔やまれます。
手塚 治虫: アポロの歌 (手塚治虫文庫全集)
先日愛媛の佐山先生と手塚治虫の話をしたために、ふと読みたくなって読み返しました。
彼の作品は何度読んでも違った味わいを感じる事ができます。
ガブリエル ガルシア=マルケス: ぼくはスピーチをするために来たのではありません
百年の孤独は読めなくても、これなら楽しく読めます。百年の孤独は高校の時に友人のA君に勧められて買ったけど、途中ですぐ寝てしまって全然だめだめだったことを思い出します。。。
絲山 秋子: ばかもの (新潮文庫)
こういう恋愛小説もたまにはよいです。
小山田 大: DVD付 ボルダリング1stブック―フリークライミングの基本 (よくわかるDVD+BOOK―SJ sports)
こういうのって、動画で見るとやはり動きがよくわかります。生体イメージングと同じですね。
きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)
久しぶりに読み返しました。
今生きていることの幸せを改めて感じさせてくれます。そして今の自分たちが日本という国の中で平和に生きて行くことができることは、彼らの犠牲のもとであるということは忘れたくないです。
綾辻 行人: アヤツジ・ユキト 2007-2013
個人的に一ファンとして、彼の作品はこの数年全部読んでます。
砂田 貴裕: マラソンは「腹走り」でサブ4&サブ3達成 長い距離をラクに走るウルトラ世界記録保持者の教え (SB新書)
100kmマラソンの世界記録保持者だけに説得力があります。自分が普段考えていることとかなり近いのだけど、きちんと整理されて書かれているので納得できます。ただ、サブスリーを目指すためのトレーニングプランは、僕の場合半分も実践できそうもないです。
古市 憲寿: だから日本はズレている (新潮新書 566)
まだ20代のこの作家の意見を僕はかなり正しいと思っています。自身が40も半ばになると新しい入局員とは20歳近く年が違います。
この本を読んだら若い人達の気持ちがわかる、というようなものではないです。ただ、僕のような熱い(というか激し目?)の性格の人間にとってこういう社会に対する見方もあるんだなあ、というのは参考になるし、それにこちらも気が楽になります。
養老 孟司: 「自分」の壁 (新潮新書)
今回の中国出張の移動中に読みました。
無理な力の入っていない生き方が魅力的です。こうあらねばならない、的なところがないです。教育や自分の生き方に行き詰まったときに、お奨めかも知れません。
白籏 史朗: 白籏史朗の百一名山
登ってみたい山がまだまだたくさんあります。本当にたくさん。
ということで、僕のretire後はここに集約したいので、足腰はしっかりしたまま年を取りたいと思いました。
野崎 昭弘: 数学的センス (ちくま学芸文庫)
少しは数学の素養がないと読み進めるのは難しいですが、学生時代の数学とは違った幅広い世界が楽しめました。
文藝春秋 2014年 09月号 [雑誌]
表紙が少し丈夫になってました。
留学中はずっとお世話になってました。
ヤマザキ マリ: とらわれない生き方 悩める日本女性のための人生指南書
テルマエ・ロマエが面白かったので、とりあえず読んでみました。
kotoba (コトバ) 2013年 07月号 [雑誌]
最近は面白い雑誌が増えました。あまり時間がないのだけど。芸術新潮とともに良く買ってます。
中田 真二: 3000m峰21座ルートガイド―誰でも登れる!絶景の21名山を初・中級ルートで案内
今年の夏も一つ登ります。寝る前にこの本を最近また読み返しています。いい夢が見られます。
奥宮 俊祐: トレイルランニング楽々入門 (LEVEL UP BOOK)
トレランの入門書として最適です。
佐藤 優: 先生と私
佐藤優氏の凄い点は、垂れ流すように一般受けしそうな軽めのhow to本から、この本のような私小説、さらに重い内容の本まで使い分けることができるところにあると思っています。立花隆氏と共に貴重な存在。
平野 啓一郎: 透明な迷宮
彼は僕がもっとも注目してきた作家の一人で、常に変化していると思っています。最近固執していた「分人」論からも離れてくれてよかった。今回の作品は、村上春樹氏の「女のいない男たち」と少しかぶりました。新たな世界への試みとしてまずは評価しますし、まずまず楽しく読めました。
渡辺幸雄: ヤマケイ アルペンガイド7 槍・穂高連峰 (ヤマケイアルペンガイド)
今年の夏は、燕から表銀座、槍ヶ岳、穂高温泉入り口へとぬける縦走路の予定。本を読みながら、イメトレというか妄想というか。。。ワクワクします。
増田晶文: うまい日本酒はどこにある? (草思社文庫)
まあまあぼちぼちというところでした。
石川 直樹: 全ての装備を知恵に置き換えること (集英社文庫)
当時最年少で世界7大陸の最高峰に登頂した石川氏。僕はこの人の写真も好きですが、あらゆる事変に対して澄んだ目と心で対応できるが故に生まれてくる文章もとても気に入ってます。
益川 敏英: ゆとり京大生の大学論―教員のホンネ、学生のギモン
京大の新総長である山極壽一先生がどういう人であるかを知りたくて読みました。僕も昨年アレルギー学という他学部の学生も聴講できる講義を担当しました。
教育とはどうあるべきかをその時改めて考えましたが、大学の教育とは、「世の中答えのないことばかりである」ということをまず認めてもらうことから始まると思ったりしました。
河本 宏: マンガでわかる免疫学
素晴らしい本。その理由は読めばわかります!
島岡 要: 研究者のための思考法 10のヒント〜知的しなやかさで人生の壁を乗り越える
凄い本がでました。研究者はいろいろなことに迷うものです。
最後はもちろん自分で思考して決断しないといけないのですが、それの迷いに対して考える上での貴重な助言やヒントが隠されています。
城山 三郎: 無所属の時間で生きる (新潮文庫)
今日の出張で読む予定。一部は既に読んでしまっていますが、「毎日が日曜日」という感覚で生きていくことをモットーとしております僕に取って、城山氏はいいお師匠さんです。
仲野 徹: エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)
ようやく購入し、先日の出張中に楽しませてもらいました。少しでもサイエンスに興味がある方であれば、一気に読んでしまえると思います。知識人ってサイエンティストにいるのだなあ、と再認識。
石川直樹: ユリイカ2012年1月臨時増刊号 総特集=石川直樹 エベレストから路地裏までを駆ける魂
数ヶ月前に購入していましたが、再読。
彼は当時最年少で世界7大陸の最高峰の登頂に成功しています。石川淳の孫にあたります。高校のときにインドへ旅行したり、彼の独立したかつぶれない見方や生き方には憧憬します。
リチャード ドーキンス: 好奇心の赴くままに ドーキンス自伝I: 私が科学者になるまで
ファインマンみたいな読みやすい自伝とはちょっと異なりますが、パラダイムシフトを起こした著者の生き方を垣間見るのは、それなりに得るものがあります。
みうら じゅん: 人生エロエロ
わすれつつある青春の1ページのようなものを思い出させてくれました。しかも笑いとともに。
映画の『アイデン&ティティ』もオススメです。
松本 紘: 京都から大学を変える(祥伝社新書)
読み始めたところなのですが、最近の若い人に対する「人間的幼さ」、「精神的なタフさの欠如」などが指摘されていて、なかなか面白そうな予感です。
廣木寧: 小林秀雄と夏目漱石
自分に取ってあまり新しい発見はなかったですが、今まで読んできた小林秀雄氏の作品を見つめ直すいい機会になりました。
世阿弥 (別冊太陽 日本のこころ)
これから年を取る毎にこの世界にはひかれていくのだと思います。
村上 春樹: 女のいない男たち
彼には常に大きな期待をかけて読みにかかってしまうので申し訳ないです。世間の評価がどうなのか全く知らないのですが、「女のいない男たち」はいい作品だと思いますよ。僕にはいろいろと響くものがありました。読む年齢とこれまでの人生経験などによっては受け入れられないかも知れませんが。
青木 冨貴子: 731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)
真実を知っておきたいと思って読みました。それとなぜ石井四郎がそのような人物に成長していったのかということも。。。でも結局よくわからなかったです。
作家の決断 人生を見極めた19人の証言 (文春新書)
なんといっても秀逸なのは渡辺淳一氏。彼のところだけであれば、立ち読みでも大丈夫です。
他、懐かしの赤川次郎、筒井康隆氏などの証言も楽しめます。
個人的には佐木隆三氏の「復讐するは我にあり」に関するところ。映画も小説も最も好きな作品の一つです。
丸谷 才一: 文章読本 (中公文庫)
文章読本は、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫らが別個に執筆していますが、その中でも丸谷才一のものが僕はいいかと思います。後出しジャンケンということを差し引いても。
古賀 史健: 20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)
この本は文章講義というよりも、文章を書くことの意義・大切さをつたえてくれています。自分の意思をどのように書くと周りにつたわりやすいのか、そういうことを意識して文章を書くことができるようになるだけでも、この本には非常に価値があります。
藤森 照信: 藤森照信×山口晃 日本建築集中講義
この本は今のところ今年の最高傑作です
読めばわかります!京都の建築も結構取り上げられており、再度訪問せねば。
Discover Japan (ディスカバー・ジャパン) 2014年 04月号 [雑誌]
made in japanの素晴らしい作品がたくさんそろっています。日本のprideを見ることができ、嬉しく思いました。
二木 隆: 京大の石松、東大へゆく―インターン制を変えた男
品川にある京大オフィスで読みました。以前生協で買おうかどうか迷っていて、結局まあ、こうして読めて良かったです。
二木隆さんの自伝です。学生運動のくだりはともかく、僕は基本的に、こういう自伝を書くほどの熱い人の人生は読んでみるか、、、という思いで読んでしまいます。
立花 隆: 読書脳 ぼくの深読み300冊の記録
週刊文春の連載をまとめたものです。2006年からの約10年の出来事を振り返りながら読みました。
わずか10年でこれだけ世界は変化するのだから、僕らが大学生をはじめ若い人の心を捉えることが難しいのも無理はないか。。。
大澤 真幸: 思考術 (河出ブックス)
ハウツー本とはちがって、彼がどのように思考しているのかプロセスがくみ取れます。依頼原稿が来てからどういうプロセスを踏むか、どのような感じで本を読んでいるのかなど興味深い内容。
陶芸家150人―2014年現代日本の精鋭たち (別冊『炎芸術』)
うっとりします。志野、織部、やはり美濃ですなあ。
内田鋼一氏の作品も凄く気にいっています。
安河内眞美: くつろぎを知る大人の骨董生活入門
小倉出身の方であるが故に愛着を持ってしまいます。
鑑定なんとか、、という番組にも出ていました。最近はこの手の本を読むこと多し。
奈良美智: 奈良美智 美術手帖全記事1991-2013 (BT BOOKS)
今はこれを読んでいます。日本人のmodern artistの作品の中ではこの人が僕は一番好きであります。
―WONDER SPOT― 世界の絶景・秘境100
寝る前に眺めているだけでいい夢を見ることができそうになります。いつか行ってみたい、と思うと元気で長生きしたくなります。
ただ、実はすでに結構行ってしまっています。
村松 美賀子: 京都でみつける骨董小もの
手づくり市の情報など、京都の住民には貴重な情報あり。
冨永民雄: 恋する骨董(日経プレミアシリーズ)
読み物としては面白いですが、骨董の細かい情報は不足気味。
(追記)
先日、銀座でこの骨董屋さんを覗いてみました。
とてもいい作品が並んでいて博物館のようです。値段は決して安くはないのでそう簡単に手がとどきませんが。。。
ミチオ・カク: 2100年の科学ライフ
英語版を購入してぱらぱら読みました。Future of Medicineの稿はなかなか読み応えがあります。
南 伸坊: 本人伝説
久しぶりに腹を抱えて笑える本でした
貴道 裕子: 染付―てっさい堂 貴道裕子
伊万里の美しさが伝わって来ます
KYOTO, MY MOTHER'S PLACE キョート・マイ・マザーズ・プレイス [DVD]
大島渚の京都への複雑な思いと母への想いの回帰が見事に交差しています。
小澤 征爾: ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)
大学生に是非読んでもらいたいです。僕にはもう遅すぎます。
実験医学増刊 Vol.31 No.17 病態の理解に向かうアレルギー疾患研究─なぜ、アレルギーが起こるのか?発症・進展の新概念と臨床への展開
初めての実験医学での編集本になります。
是非手にとってみていただければと思います。
西穂・奥穂縦走[DVD]―アドバンス山岳ガイド アルピニスト憧れのジャンダルムを越える (山と渓谷DVD COLLECTION)
堀口 安彦: 発表が楽しくなる! 研究者の劇的プレゼン術〜見てくれスライド論&よってらっしゃいポスター論と聴衆の心をつかむ講演技術
田中 猛雄: マラソンはゆっくり走れば3時間を切れる! 49歳のおじさん、2度目のマラソンで2時間58分38秒 (ソフトバンク新書)
実験医学増刊 Vol.30 No.20 感染・共生・生体防御システム〜ウイルス・細菌と宿主のクロストークからワクチン開発を始めとする予防戦略まで (実験医学増刊 Vol. 30-20)
瀬戸内 寂聴: ボクらの時代 日本人なら「気品」を身につけなさい
この三人みんな好きですから。。。
in vivoイメージング実験プロトコール〜原理と導入のポイントから2光子顕微鏡の応用まで (実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ)
ヒュー・ジョンソン: 地図でみる図鑑 世界のワイン (GAIA BOOKS)
多分ワイン関係の本の中でももっとも好奇心を満たしてくれる本の一つ。